出入国在留管理庁は10月16日、2026年(令和8年)上半期の出入国管理統計を公表した。在留資格「経営・管理」で新たに入国した外国人は635人で、前年同期の3329人から2694人減った。減少率は80.9%で、人数は5分の1以下になった。

「経営・管理」は、日本で会社などの事業を経営したり、その管理に従事したりする外国人に与えられる在留資格だ。2025年10月16日、この資格の上陸許可基準を定める省令が改正されて施行され、資本金などの事業規模や常勤職員の雇用、日本語能力、経営の経験といった要件が加わった。統計はその改正から半年以上が経った期間を初めて丸ごと含んでおり、新基準の下で入国した人数が示された形になる。

「経営・管理」は3329人から635人へ 年計でも6003人だった

出入国管理統計の「在留資格別 外国人新規入国者数の推移」によると、「経営・管理」の新規入国者は2022年が4346人、2023年が5295人、2024年が4483人、2025年が6003人と、おおむね4000〜6000人で推移してきた。2025年上半期は3329人で、同じ年の年計の55.5%をこの半年で占めていた。

2026年上半期はこれが635人である。月平均に直せば約106人で、2025年上半期の約555人から大きく下がった。新規入国者の総数に占める割合は0.0032%にとどまる。

「経営・管理」で入国する人数はもともと多くない。それでも、会社を日本に設立して事業を始める外国人の入口がこの資格に限られていることから、数の増減は外国人の起業の動きを映す指標として扱われてきた。在留手続の面でも、永住許可の申請や在留期間の更新と並んで関心の高い資格である(外国人の在留手続の手数料、10月1日に改定 永住許可は1万円から20万円へ 在留資格の変更と在留期間の更新は一律6000円から最大7万5000円に)。

「高度専門職1号ハ」も570人から137人へ 経営を前提とする類型

「経営・管理」と連動して減ったのが「高度専門職」である。上半期の新規入国者は952人で、前年同期の1442人から34.0%減った。内訳を見ると、減り方は類型によって大きく違う。

減少が大きい在留資格の新規入国者数(上半期)(人)

2025年2026年

経営管理3,329635高専職ハ570137技能5,7682,971企業内転勤5,2134,297定住者4,8323,239
出典: 出入国在留管理庁「出入国管理統計」第4表
数値で見る(単位: 人)
項目2025年2026年
経営管理3,329635
高専職ハ570137
技能5,7682,971
企業内転勤5,2134,297
定住者4,8323,239

高度専門職は、学歴や職歴、年収などを点数化する高度人材ポイント制で一定の点数に達した外国人に与えられる資格で、活動の種類によって1号イ(研究)、1号ロ(技術・人文知識・国際業務に相当する業務)、1号ハ(事業の経営・管理)に分かれ、一定期間の在留後に無期限の「2号」へ移れる。

類型 2025年上半期 2026年上半期
高度専門職1号イ 22人 24人
高度専門職1号ロ 850人 791人
高度専門職1号ハ 570人 137人
高度専門職2号 0人 0人

表: 高度専門職の類型別 新規入国者数(上半期) 出典: 出入国在留管理庁「出入国管理統計」第4表

1号イは2人増、1号ロは59人減にとどまるのに対し、事業の経営・管理を行う1号ハは570人から137人へ433人減り、減少率は76.0%に達した。1号ハの新規入国者は2022年が393人、2023年が947人、2024年が899人、2025年が1299人と増えてきており、今回の落ち込みは流れが変わったことを示す。1号ハは「経営・管理」と同じ活動を前提とするため、上陸基準省令の改正の対象にも含まれていた。

2025年10月16日に施行された四つの要件 資本金は3000万円以上

出入国在留管理庁が公表している改正の概要によると、「経営・管理」の上陸許可基準に加わったのは四つである。

第一に、申請者が営む会社などで1人以上の常勤職員を雇用することが必要になった。この常勤職員の対象は日本人、特別永住者、および入管法別表第二の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)で在留する外国人に限られ、技術・人文知識・国際業務などの別表第一の在留資格で在留する外国人は数に入らない。

第二に、事業の規模として3000万円以上が必要になった。法人の場合は払込済資本の額(資本金の額)または合名会社・合資会社・合同会社の出資の総額を指す。個人事業主の場合は資本金を用意するのではなく、事業所の確保、雇用する職員の1年間分の給与、設備投資経費など、事業を営むために投下されている総額で判断される。

第三に、申請者または常勤職員のいずれかが「相当程度の日本語能力」を持つことが要件になった。水準は「日本語教育の参照枠」のB2相当以上で、日本語能力試験(JLPT)のN2以上、BJTビジネス日本語能力テストで400点以上、中長期在留者として20年以上の在留、日本の大学等高等教育機関の卒業、日本の義務教育の修了と高等学校の卒業のいずれかで確認する。

第四に、経歴の要件が入った。経営管理または申請する事業の業務に必要な技術・知識の分野で博士、修士もしくは専門職の学位を持つか、事業の経営または管理について3年以上の経験が必要になる。学位は外国で授与された相当のものも含み、経営の経験には在留資格「特定活動」に基づく起業準備活動の期間も含める。

このほか、在留資格を決める際に提出する事業計画書について、計画に具体性と合理性があり実現可能かを、経営に関する専門的な知識を持つ者が確認することが義務付けられた。改正後の規模に応じた事業所を確保する必要があることから、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められない。

施行日の前日までに受け付けて審査中の申請には改正前の基準が適用される。すでに「経営・管理」で在留している人については、施行日から3年を経過する日である2028年(令和10年)10月16日までに在留期間の更新を申請する場合、改正後の基準に適合していなくても、経営状況や適合する見込みを踏まえて許否を判断する。3年を過ぎた後の更新申請では改正後の基準に適合する必要がある。ただし、経営状況が良好で法人税などの納付義務を適切に履行し、次回の更新までに新基準を満たす見込みがあるときは、在留状況を総合的に考慮して判断するとしている。

新規入国者の総数は1970万6953人 98.2%は短期滞在

減ったのは基準が変わった資格に限られる。2026年上半期の外国人新規入国者の総数は1970万6953人で、前年同期の1972万8405人から2万1452人、0.1%の減少にとどまった。

このうち98.2%に当たる1935万915人は観光などの「短期滞在」で、前年同期からの減少は7102人(0.04%)である。再入国者と特例上陸許可者を含めた外国人入国者等の総数は2281万7766人で前年同期から2.5%減ったが、これは特例上陸許可者が202万530人から137万546人へ減ったことが主な理由だ。日本人出国者数は694万4615人で、前年同期の660万8996人から5.1%増えた。

就労や就学で滞在する資格を見ると、増えているものもある。「特定技能」は4万3348人で前年同期の3万6689人から18.1%増え、このうち熟練した技能を要する「特定技能2号」は22人から84人になった。「留学」は11万1930人で8.2%増、「介護」は32人から45人へ増えた。

一方で、「技術・人文知識・国際業務」は3万1923人から2万3994人へ24.8%減り、「技能」は5768人から2971人へ48.5%減った。「企業内転勤」は17.6%減、「技能実習」は3.9%減である。身分に基づく資格では「定住者」が33.0%減、「日本人の配偶者等」が21.2%減、「永住者の配偶者等」が39.2%減だった。

在留資格の審査や在留管理に関わる事務は、手数料や設備の面でも見直しが続いている。会計検査院は2026年9月、在留カードを作成するプリンタの一部が使われていないと指摘していた(在留カードを作るプリンタ、700台のうち103台が使われず 調達額5651万円余り 同じ入管局から3年で計100台の増設要望 会計検査院が指摘)。

法務大臣は「移住目的で悪用」と説明 受入環境の課題も挙げた

法務大臣は統計公表と同じ10月16日の閣議後記者会見で、上半期の新規入国者数と、6月末の在留外国人数、7月1日現在の不法残留者数を報告した。在留外国人数は約428万1000人で2025年末から約15万6000人、3.8%増えて過去最高を更新し、不法残留者数は約6万5000人で2026年1月1日時点から約3000人、4.8%減った。

記者から「経営・管理」が前年上半期から80%減り、高度専門職も大幅に減っていることへの受け止めを問われ、法務大臣は「在留資格『経営・管理』が、移住目的に悪用されていると指摘され、事業実態がないことが判明する事案も散見されていた」と述べた。そのうえで「こうした問題に速やかに対処して、この在留資格が我が国の経済・社会の活性化に資するという本来の目的に沿って運用されるよう、昨年10月に許可基準を改正しました」「そのことが本年上半期の『経営・管理』及び『高度専門職1号ハ』の新規入国者数の減少に繋がったと考えられます」と説明した。減少はこの二つの資格に限られ、在留者全体では増えているとも付け加えた。

外国人の起業家や高度人材に選ばれるための受入環境の課題についても問われた。法務大臣は、経済産業省が実施したニーズ調査で、高度人材側が不便を感じる点の上位は転職時の手続の手間や更新・取得にかかる時間であり、企業側が挙げる課題の上位は在留資格の諸申請に関する手続の煩雑さと制度の分かりにくさだったと聞いていると述べ、高度人材ポイント制のさらなる適正化、審査の迅速化、制度の周知に取り組んでいるとして「できるだけ早く見直して取り組んでまいりたい」と話した。

上半期の数値は、基準の改正が新規の入国にどう作用したかを示す最初のまとまった材料になる。すでに在留している経営者への適用は2028年10月16日まで猶予されているため、改正が在留者全体にどう及ぶかは、その前後の在留期間更新の結果を待つことになる。