気象庁によると、大型の台風30号(チャンパー)は25日午前9時には東シナ海の北緯29.0度、東経124.5度にあって、1時間におよそ20キロの速さで北東へ進んでいる。中心気圧は996ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は20メートル、最大瞬間風速は30メートル。台風は26日朝から夜のはじめ頃にかけて九州北部地方へ最も接近し、同日午前9時には長崎県五島市の南約120キロで温帯低気圧に変わる見込みだ。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、九州北部地方では26日にかけて土砂災害に厳重な警戒が呼びかけられている。

先島諸島を通過、勢力は弱まる

台風30号は、19日に「大型で猛烈な」勢力となり、沖縄の南へ進む予想が出ていた(台風30号チャンパー、大型で猛烈な勢力に 22〜23日に沖縄の南へ 中心気圧910ヘクトパスカルまで発達)。その後、先島諸島に接近した。

24日午前11時16分の全般気象解説情報では、台風は同日午前10時に与那国島の北北東にあり、中心気圧980ヘクトパスカル、最大風速30メートル、最大瞬間風速45メートルだった。中心の南東側150キロ以内と北西側110キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっていた。

石垣島地方気象台が24日午前11時28分に出した八重山地方気象解説情報によると、21日午前0時から24日午前11時までの最大瞬間風速は、竹富町大原で51.7メートル(23日午後2時41分、欠測あり)、竹富町波照間で46.6メートル、石垣市登野城で46.5メートルを観測した。22日午前0時の降り始めから24日午前11時までの雨量は竹富町上原で547.5ミリ、石垣市川平で349.0ミリに達した。同気象台はこの時点で、八重山地方に線状降水帯直前予測を出していた。

25日午前9時の解析では、中心気圧は24日より16ヘクトパスカル高い996ヘクトパスカルとなり、最大風速も20メートルまで下がった。予報で強さの表現は付かなくなり、大きさの「大型」だけが残る。25日昼の時点で、宮古島地方気象台と石垣島地方気象台が出している警報・注意報の見出しは、土砂災害や高波への注意を呼びかける内容になっている。

26日に九州北部へ最接近、その後は温帯低気圧に

25日午前9時42分発表の予報では、台風は25日午後9時に東シナ海の北緯30.5度、東経126.1度へ進み、中心気圧は998ヘクトパスカルとなる。26日午前9時には五島市の南約120キロで温帯低気圧に変わり、東北東へ時速20キロで進む。この時点の中心気圧は1002ヘクトパスカル、最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートルと予想されている。

25日午前5時15分の全般気象解説情報は、台風が進路を次第に東寄りに変え、26日には九州に接近し、夜までに四国の南に進んで温帯低気圧に変わる見込みとしていた。その後の予報で、温帯低気圧に変わる時刻は26日朝に早まった。

温帯低気圧に変わることは、雨や風が弱まることを意味しない。同じ解説情報によると、前線が東シナ海から西日本の日本海沿岸、北陸地方を通って日本の東にのびており、26日にかけて南下し、西日本から東日本の太平洋沿岸に停滞する。台風周辺や太平洋高気圧の周辺を北上する暖かく湿った空気が前線へ流れ込み、前線の活動が活発になる。対馬海峡付近では大雨が長く続く可能性があるという。

九州北部は土砂災害に厳重警戒、高潮のおそれも

福岡管区気象台が25日午前5時20分に出した九州北部地方(山口県を含む)の気象解説情報によると、対馬海峡付近には前線が停滞しており、23日午前8時から25日午前4時までの雨量は長崎県対馬市厳原で305.5ミリとなった。

25日午前6時から26日午前6時までの24時間雨量は、多い所で長崎県200ミリ、佐賀県150ミリ、福岡県120ミリ、山口県と大分県で100ミリ、熊本県で60ミリと予想されている。その後の26日午前6時から27日午前6時までも、各県で100ミリが見込まれる。1時間雨量は長崎県で多い所60ミリと予想されている。

風は26日明け方から朝にかけて非常に強く吹き、対馬海峡と九州西海上では最大風速20メートル、最大瞬間風速30メートルが見込まれる。波の高さは九州西海上で6メートル、対馬海峡で5メートルと、うねりを伴う大しけになる。台風の接近と満潮が重なった場合、九州北部地方の沿岸では警報級の高潮となる可能性がある。

同気象台は、土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、暴風、うねりを伴った高波に警戒するよう呼びかけている。高潮にも注意・警戒が必要だとしている。

西日本から東日本にも大雨 和歌山県に線状降水帯直前予測

雨の範囲は九州にとどまらない。全般気象解説情報によると、西日本から東日本では激しい雨や非常に激しい雨が降る。地方別の24時間雨量の予想(多い所)は次の通り。

地方 25日6時〜26日6時 26日6時〜27日6時
九州北部 200ミリ 100ミリ
四国 150ミリ 200ミリ
中国 120ミリ 80ミリ
近畿 100ミリ 150ミリ
九州南部 100ミリ 100ミリ
関東甲信 80ミリ 200ミリ
東海 80ミリ 150ミリ
北陸 80ミリ 60ミリ
地方別の24時間雨量の予想(多い所)出典: 気象庁「全般気象解説情報(台風第30号)」(2026年10月25日5時15分発表)

25日のうちは九州北部が最も多く、26日以降は四国と関東甲信で200ミリが予想されている。26日以降は東の地方で雨量が増える予想だ。気象庁は、西日本では26日にかけて、東日本では27日にかけて土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に注意・警戒するよう求めている。西日本では26日、高潮にも注意・警戒が必要だという。

近畿地方では、大阪管区気象台が25日午後0時4分の気象解説情報で、近畿中部に25日昼過ぎにかけて低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、土砂災害への厳重な警戒を呼びかけた。和歌山県には線状降水帯直前予測が出ている。近畿南部の24時間雨量は、25日正午から26日正午までで多い所150ミリと予想され、線状降水帯が発生した場合はさらに増えるおそれがある。26日朝から夜遅くにかけても、局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降る見込みだ。

「直前予測」は3時間以内の発生を知らせる情報

気象庁によると、線状降水帯直前予測は、今後3時間以内に線状降水帯が発生する危険性が高まったときに「気象防災速報」として出す情報だ。対象は府県天気予報を細分した「一次細分区域」の単位で示される。半日程度前から出す「半日前予測」が府県単位で可能性を伝えるのに対し、直前予測は発生が差し迫った段階で出る。

気象庁は、直前予測が出たときは今後の大雨で外出が難しくなるおそれがあるとして、崖や川の近くなど危険な場所にいる人に、自治体の避難情報に留意して速やかに防災行動をとるよう求めている。直前予測の発表から間を置かずに線状降水帯の「発生情報」に至り、災害の危険度が急激に高まる場合もあるという。

9月の台風25号の接近時には、関東甲信と東海の7都県に半日前予測が出た(線状降水帯の半日前予測、関東甲信と東海の7都県に 台風25号接近で東京は24時間250ミリ、伊豆諸島は最大瞬間風速50メートル予想)。今回は台風が弱まる一方で、前線が西日本から東日本の太平洋沿岸に停滞し、雨の期間は27日まで続く見通しだ。気象庁は、次の全般気象解説情報を25日午後5時頃に発表するとしている。