総務省は10月23日、2026年9月の全国消費者物価指数を公表した。天候で値動きの大きい生鮮食品を除いた指数は、2025年の平均を100として102.3となり、前年の同じ月より2.1%高かった。上昇率は8月の1.7%から大きくなり、2%台に乗ったのは2025年12月(2.4%)以来9か月ぶりとなる。前年より安かった宿泊料と水道料が値上がりに転じたほか、加工食品や外食の値上がりが続いた。

三つの指数がそろって伸びを高めた

消費者物価指数は、全国の世帯が買う品物やサービスの値段をまとめて追う統計で、基準年の平均を100として表す。現在の基準年は2025年で、9月の総合指数102.2は「2025年の平均より2.2%高い水準」を意味する。

総務省が公表する主な指数は三つある。すべての品目を含む総合指数は102.2で、前年同月比2.1%の上昇だった。8月は1.9%だった。生鮮食品を除く総合指数は102.3で2.1%上昇、さらにエネルギーも除いた指数は102.8で2.4%上昇した。後者の8月は1.9%で、2.4%は3月(2.4%)以来の高さとなる。

季節による値動きをならした前月比でみても、総合は0.4%、生鮮食品を除く総合は0.5%、生鮮食品とエネルギーを除く総合は0.5%それぞれ上がった。8月の前月比は総合が0.0%、生鮮食品を除く総合が0.1%だった。

生鮮食品を除く総合の前年同月比は、2025年9月の2.9%から10〜11月に3.0%まで高まった後、12月に2.4%へ下がり、2026年1月の1.9%から8月の1.7%まで2%を下回り続けていた。2〜5月には1.4〜1.7%で推移している。

消費者物価指数の前年同月比(全国・2026年)(%)

生鮮食品を除く総合生鮮食品及びエネルギーを除く総合

1.01.52.02.51.51.42.12.41.72.42月4月6月8月9月
2026年2〜9月。生鮮食品を除く総合は8月まで2%を下回り、9月に2.1%となった出典: 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年9月分」表1
数値で見る(単位: %)
項目生鮮食品を除く総合生鮮食品及びエネルギーを除く総合
2月1.52.4
3月1.72.4
4月1.41.9
5月1.41.8
6月1.61.7
7月1.81.9
8月1.71.9
9月2.12.4

前年より安かった宿泊料と水道料が値上がりに転じた

伸びが大きくなった理由として、総務省は複数の品目を挙げている。目立つのはサービスの値段だ。宿泊料は8月に前年同月より1.4%安かったが、9月は4.6%高くなった。教養娯楽サービス全体の総合指数への寄与は8月の0.06から9月は0.16に増えた。総務省の分析では、宿泊料の変化が総合の上昇率を0.07%分押し上げた。

水道料も8月の3.5%安から9月は4.9%高へ転じた。前月比では8.0%上がっている。総務省は、水道料の変化によっても総合の上昇率が0.07%分押し上げられたとしている。いずれも前年同月の値段との比較なので、前年の水準が低かった品目は、今年の値段が変わらなくても上昇率が大きく出ることがある。総務省の資料は、宿泊料と水道料の値動きの背景までは示していない。

モノでは、家庭用耐久財が8月の3.9%高から9月は6.2%高に、教養娯楽用耐久財が4.5%高から7.4%高にそれぞれ伸びを高めた。家事用消耗品は12.4%上がり、トイレットペーパーは17.8%高かった。携帯電話機は10.9%、任意の自動車保険料は5.9%それぞれ値上がりした。

一方、値下がりで上昇率を押し下げた品目もある。私立高校の授業料は前年同月より73.2%安く、これだけで総合の上昇率を0.15%分引き下げた。教育費全体では3.8%の下落となっている。

食卓の値上がりは加工品と外食に

食料全体は前年同月比2.8%の上昇で、8月の3.1%より伸びが小さくなった。主因は生鮮食品で、上昇率は8月の6.0%から2.1%に下がった。生鮮野菜は8月の5.5%高から3.2%安に転じた。生鮮魚介は13.9%高と高い伸びが続き、さんまは27.8%値上がりした。

これに対し、生鮮食品を除く食料は8月の2.7%から2.9%に伸びを高めた。この区分は消費者物価全体の約4分の1(ウエイト1万分の2375)を占め、総合の上昇率2.1%のうち0.69%分を生んでいる。品目では、調理食品が4.2%上昇し、からあげは9.6%高かった。菓子類は4.3%、肉類は4.3%、飲料は6.0%それぞれ上がり、緑茶は33.8%、輸入品の牛肉は13.1%値上がりした。外食は2.5%上昇し、すし(外食)は15.5%高い。

主食のコメは逆の動きをしている。穀類は5.0%下落し、コシヒカリを除くうるち米は21.1%安かった。この品目だけで総合の上昇率を0.15%分押し下げた。

エネルギーは政策で押し下げ 0.82%分と試算

エネルギーは前年同月比0.6%の下落で、8月の0.7%下落から下げ幅が小さくなった。品目別では、電気代が2.4%、ガソリンが2.6%それぞれ前年より安い。都市ガス代は8月の0.8%安から0.2%高に転じた。プロパンガスは6.3%、灯油は15.3%高い。

品目 8月の前年同月比 9月の前年同月比 9月の前月比
エネルギー −0.7% −0.6% −1.2%
電気代 −2.4% −2.4% −1.9%
都市ガス代 −0.8% 0.2% −0.9%
プロパンガス 6.9% 6.3% −1.3%
灯油 15.5% 15.3% 0.0%
ガソリン −2.6% −2.6% 0.0%
エネルギー構成品目の前年同月比と前月比(全国)出典: 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年9月分」表5

総務省は、ガソリンの暫定税率廃止と政府の政策による効果を試算している。エネルギー全体では総合の上昇率を0.82%分押し下げた。内訳は、9月の施策による押し下げが1.26%分、前年に実施されていた施策の効果がなくなったことによる押し上げが0.44%分だ。品目別の押し下げはガソリンが0.48%分、電気代が0.24%分、灯油が0.07%分、都市ガス代が0.03%分となっている。

この試算に従えば、エネルギー対策がなかった場合の総合の上昇率は2.1%より高かったことになる。8月の物価の動きは8月の消費者物価、生鮮食品を除く上昇率は1.7%に鈍化 電気代とガソリンが前年より安く 一方でキャベツは45.0%高で伝えた。

日銀の2%目標を再び上回る

日銀は2013年1月、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、できるだけ早期に実現すると約束している。生鮮食品を除く総合の上昇率は2026年1月から8月まで8か月続けて2%を下回っていたが、9月は2.1%となり目標を上回った。

ほかの指標も同じ方向を示す。持ち家に住む人が自分に家賃を払っているとみなす「帰属家賃」を除いた総合は2.5%上昇(8月は2.2%)で、食料(酒類を除く)とエネルギーを除いた総合は2.2%上昇(同1.6%)だった。住まいの費用では、家賃が0.6%の上昇にとどまる一方、設備の修繕・維持は4.5%上がり、外壁塗装費は7.5%高かった。総合の上昇率2.1%のうち、生鮮食品を除く食料が0.69%分、家具・家事用品が0.24%分、住居が0.25%分を占める。

物価と賃金、家計の消費の関係は物価と賃金の全体像 実質賃金は8か月連続プラス、それでも家計の消費は実質3.1%減で整理している。9月は宿泊料や水道料のように、前年より安かった品目が値上がりに転じたことが伸びを押し上げており、2%を上回る状態が続くかどうかは、10月分以降の統計で確かめることになる。