会計検査院は9月17日、地方出入国在留管理局に配備されている在留カード作成用のICカードプリンタ700台のうち、7局の103台が使われていなかったと公表した。調達価格に相当する額は5651万円余りにのぼる。一方で、遊休機を抱える局の一部からは、外国人の増加で窓口が混み合うとして、2023年度から2025年度までに計100台の増設要望が本庁に出ていた。出入国在留管理庁は指摘を受け、2026年6月に使っていない機器を他局へ回させる体制を整えた。

倉庫に置かれた62台と、3年8か月で0枚だった63台

検査院は2025年6月から12月にかけて、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の8つの地方入管局を実地検査した。対象は2025年12月時点で配備されていた700台で、買い取ったものが171台(1億5604万円余り)、借りているものが529台(2020年度から2025年度までの支払相当額3億3927万円余り)。合わせた調達価格相当額は4億9531万円余りになる。

このうち東京、名古屋、大阪、広島、高松の5局にある62台(4272万円余り)は、在留カードを作る外国人出入国情報システム(FEIS)の端末につながっておらず、故障時の予備機として倉庫や事務室に保管されていた。しかし保守契約では、故障の連絡を受けた業者が原則として翌日までに代替機を持参することになっており、それぞれの配備先には正常に動く別のプリンタもある。検査院は「代替機を配備しておく必要はないと認められた」とした。

さらに、各局が毎月提出している「在留カード等消耗品使用状況調査票」を2022年3月から2025年11月まで集計したところ、札幌、東京、名古屋、大阪、高松、福岡の6局にある63台(2741万円余り)は、この3年8か月の間に在留カードを1枚も作っていなかった。予備機と重なる22台(1362万円余り)を除くと、7局の103台・5651万円余りが使われていなかった計算になる。

増設を求めながら、手元の機械は遊んでいた

これらの局のうち複数の局からは本庁に対し、外国人入国者の増加で審査の待ち時間が延びていること、中長期在留者の増加で在留資格に関する各種申請が増えていることを理由に、毎年度プリンタの増設要望が出ていた。台数は2023年度が27台、2024年度が31台、2025年度が42台で、3年間の合計は100台になる。

本庁はICカードなど消耗品の在庫を把握するために使用状況調査票を毎月集めていたが、これをプリンタごとの稼働確認には使っていなかった。このため遊休機があること自体を認識しておらず、他局へ移すといった対策も取っていなかった。検査院は、有効活用を図るための対策を講じていなかった事態は適切ではないと指摘し、原因について「使用されていないプリンタについて有効活用が図られるよう地方入管局に適切な指示を行うことについての認識が欠けていた」と結論づけた。

市販の機械では作れない在留カード

在留カードは、3か月を超える在留期間が決まった外国人(中長期在留者)に交付される身分証で、氏名、生年月日、性別、在留資格などが記載される。情報はカードに内蔵されたICチップにも書き込まれるため、市販のプリンタでは作れず、FEIS端末につないだ専用のICカードプリンタで1枚ずつ作成する。プリンタは本庁が購入または賃貸借の契約で調達し、各局に配る仕組みだ。

現場が増設を求める背景には、在留外国人の急増がある。出入国在留管理庁によると、2025年末の在留外国人は412万5395人で、前年末より35万6418人(9.5%)増え、初めて400万人を超えた。このうち在留カードの交付対象となる中長期在留者は385万8499人、特別永住者は26万6896人だった。

「同じ局の中でまず使い回す」ことを周知

指摘を受けた本庁は2026年6月、各地方入管局に通知を出し、使っていないプリンタは原則としてまず同じ局の管内で移して使うこと、それでも余る場合は他の局への管理換え(所管の移し替え)を検討できるよう本庁に相談することを周知した。本庁側も同月、使用状況調査票から各プリンタの稼働状況を把握し、その局で使う見込みのないものは他局へ回させる体制を整えた。

会計検査院はこうした指摘を随時公表しており、9月28日には道路橋の耐震補強工事の設計についても改善を求めている(災害時の緊急輸送道路にある橋、耐震補強した407橋・橋脚1128基で「耐震性能2」が確保されず 会計検査院が指摘 巻き立て部分の工事費111億3415万円分)。今回の在留カードのプリンタに関する指摘も、同院が今後まとめる「令和7年度決算検査報告」に「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として掲載される。