総務省消防庁は10月28日、2026年5月1日から9月30日までに熱中症で救急搬送された人が全国で7万7638人だったとする確定値を公表した。調査を始めた2008年以降で5番目に多い。過去最多だった前年同期の10万510人からは2万2872人減った。搬送された人の59.7%は65歳以上の高齢者で、医療機関での初診時に入院が必要と判断された中等症・重症は39.7%、初診時に死亡が確認された人は120人だった。

過去5番目、前年から2万2872人減

消防庁は全国の消防本部から熱中症による救急搬送の報告を受け、夏の間は毎週速報値を公表し、後に精査した確定値に置き換えている。今回はシーズン全体の確定値で、月ごとの集計を合わせたものになる。

年ごとの合計を多い順に並べると、2025年の10万510人、2024年の9万7578人、2018年の9万5137人、2023年の9万1467人に次ぎ、2026年が5番目となる。2019年の7万1317人、2022年の7万1029人を上回った。2023年から3年続けて9万人を超えていたが、今年は8万人を下回った。

熱中症による救急搬送人員(5〜9月の合計)(人)

050,000100,000150,00047,8772021年71,0292022年91,4672023年97,5782024年100,5102025年77,6382026年
出典: 総務省消防庁「令和8年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」資料6
数値で見る(単位: 人)
項目人
2021年47,877
2022年71,029
2023年91,467
2024年97,578
2025年100,510
2026年77,638

ただし、年によって集計の期間が異なる。2008年と2009年は7月から9月まで、2010年からは6月分が加わり、5月分の集計は2015年に始まった(2020年は5月分の調査データが無い)。古い年ほど集計の月が少ないため、順位はこの違いを含んだうえでの比較になる。

7月だけで半分超、6月は前年の4分の1以下

月別に見ると、増減は月によって大きく異なる。7月は4万1174人で、2018年の5万4220人、2024年の4万3195人に次いで過去3番目に多く、前年7月の3万9375人も上回った。5月も4176人で、2019年の4448人に次ぐ過去2番目だった。7月の搬送は5か月の合計の53.0%にあたり、シーズンの半分以上が1か月に集中した。

一方、6月は4064人で、前年6月の1万7229人の4分の1以下にとどまった。8月は2万4956人で前年から6570人、9月は3268人で前年から6498人それぞれ減った。前年同期からの減少2万2872人のうち、1万3165人は6月だけで生じている。

月 2025年 2026年 2026年の死亡
5月 2,614人 4,176人 4人
6月 17,229人 4,064人 2人
7月 39,375人 41,174人 79人
8月 31,526人 24,956人 34人
9月 9,766人 3,268人 1人
合計 100,510人 77,638人 120人
熱中症による救急搬送人員の月別比較と2026年の初診時死亡

出典: 総務省消防庁「令和8年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」資料6

気象庁の天候のまとめによると、6月の平均気温は北日本で平年より高かったものの、東日本・西日本・沖縄・奄美では平年並だった。梅雨前線や台風第6号、第7号、第8号の影響で、北・東・西日本の太平洋側と沖縄・奄美では降水量がかなり多かった。7月は北・東・西日本で平均気温がかなり高く、西日本では中旬と下旬がそれぞれ1946年の統計開始以降で最も高い気温となった。9月の平均気温は西日本と沖縄・奄美で平年より高く、北日本と東日本は平年並だった。

8月単月の確定値は、8月の熱中症搬送は2万4956人 前年から6570人減 消防庁の確定値 高齢者が59.1%、発生場所は住居が最多で詳しく伝えている。

高齢者が59.7%、入院が必要な人は4割

年齢区分別では、65歳以上の高齢者が4万6345人(59.7%)で最も多く、18歳以上65歳未満の成人が2万4509人(31.6%)、7歳以上18歳未満の少年が6380人(8.2%)、生後28日以上7歳未満の乳幼児が399人(0.5%)と続いた。生後28日未満の新生児も5人いた。

高齢者の占める割合は、2022年の54.5%から2023年に54.9%、2024年に57.4%、2025年に57.1%と推移し、今年は59.7%と、資料に並ぶ直近5年で最も高い。搬送の総数は前年より22.8%減ったが、高齢者は前年の5万7433人から19.3%減にとどまり、成人の28.1%減(3万4096人から2万4509人)より減り方が小さかった。

初診時の傷病程度では、入院を必要としない軽症が4万6346人(59.7%)、入院が必要な中等症(重症・軽症以外)が2万8775人(37.1%)、3週間以上の入院が必要な重症が2055人(2.6%)、初診時に死亡が確認された人が120人(0.2%)だった。中等症と重症を合わせると3万830人で39.7%になる。この割合は2022年が34.1%、2023年が32.2%、2024年が34.2%、2025年が36.4%で、今年が直近5年で最も高い。消防庁は資料で、軽症の中にも早期に病院での治療が必要だった人や通院による治療が必要だった人が含まれると注記している。

初診時の死亡120人は、2024年の120人と同じで、前年の117人を3人上回った。月別では7月が79人と最も多く、8月が34人だった。都道府県別では岡山県の11人が最多で、大分県9人、愛知県8人が続いた。

4割が住居、道路の割合は上昇

熱中症が起きた場所は、住居(敷地内を含む)が3万718人(39.6%)で最も多かった。次いで道路が1万6080人(20.7%)、競技場や屋外駐車場、駅の屋外ホームなど不特定の人が出入りする屋外の場所が8529人(11.0%)、道路工事現場や工場、作業所などの仕事場が7565人(9.7%)だった。劇場や飲食店、百貨店、病院、駅の地下ホームなどの屋内の公衆の場所は6318人(8.1%)、学校や保育園などの教育機関は2371人(3.1%)、農・畜・水産作業中の田畑や森林、海、川は1469人(1.9%)だった。

住居が4割前後で最多となる傾向は、直近5年で変わっていない。7月上旬の速報段階でも住居が最も多く、熱中症搬送、全国で1370人に急増 前週の2.6倍 6月29日〜7月5日 高齢者が6割超、屋内でも多発と伝えていた。一方、道路の割合は2022年と2023年の16.6%から、2024年に19.0%、2025年に19.7%、今年は20.7%と上がり続けている。教育機関の割合は2022年の5.6%から今年は3.1%に下がった。

大阪府が最多、東京都・愛知県が続く

都道府県別では、大阪府の6460人が最も多く、東京都5981人、愛知県5111人、埼玉県4278人、兵庫県4129人、福岡県4002人が続いた。6都府県の合計は2万9961人で、全国の38.6%を占める。少なかったのは福井県の420人、秋田県の441人、青森県の522人、山形県の532人、山梨県の533人だった。

都道府県ごとの中身にも違いがある。東京都は中等症が2292人、重症が222人で、重症の人数は全国で最も多い。大阪府は搬送人員が最多だった一方、中等症は1645人、重症は39人で、軽症が4764人と全体の7割余りを占めた。発生場所では大阪府は道路が2122人で住居の2108人をわずかに上回り、東京都は屋内の公衆の場所が943人と、屋外の公衆の場所の213人を大きく上回った。

前年からの減り方も都府県で差が大きい。東京都は前年の9315人から3334人(35.8%)減ったのに対し、大阪府は前年の7202人から742人(10.3%)減にとどまった。愛知県は前年の6653人から1542人減った。7月だけを見ると、大阪府は3628人、愛知県は2973人で、いずれも資料に並ぶ2022年以降の5年で最も多かった。東京都の7月は3636人で、2024年の4227人を下回った。3都府県とも6月と9月は前年を大きく下回り、東京都の6月は181人(前年1554人)、9月は138人(同857人)だった。

今回の資料には、都道府県別・月別の搬送人員を2022年から5年分並べた表も含まれている。