立憲民主党、国民民主党、公明党など参院の野党6党の国会対策委員長は10月27日、国会内で会談し、衆院で審議中の食料品の消費税減税・支援金法案の参院審議について、特別委員会を設けて審議する体制ができない限り、法案の審議入りには応じられないとの認識で一致した。高市早苗首相の特別委への複数回の出席や地方公聴会の開催、特別委の委員長を野党が務めることも与党に求める方針を確認した。公明党が28日、党の機関紙・公明新聞の記事として公表した。
「特別委を設けない限り審議入りに応じない」
公明党の発表によると、会談には公明党から杉久武国対委員長が出席した。対象は、政府が10月9日に国会へ提出した「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」で、食料品の消費税率を2年間1%に下げ、所得に応じた支援金を配る内容。
6党は、参院でこの法案を審議するなら特別委員会を新たに設けるべきだとし、その体制ができるまでは審議入りに応じないとの認識をそろえた。発表が名前を挙げたのは立憲民主党、国民民主党、公明党の3党で、残る3党の党名は記されていない。
立憲民主党も、この法案を参院でどう扱うかの準備を進めている。同党が29日に公表した記事によると、同日開いた税制調査会など6つの党内会議の合同会議で、熊谷裕人税制調査会長が、衆院で審議が進む中、参院での審議を見据えて党の対案を議論すると述べた。会議では参院での特別委員会の設置をめぐる報道にも触れ、今後の動きに備えて党内で準備を進めていく考えが示された。同党の対案は、すぐに給付する第1段階、減税が行われる2年間の給付による第2段階、給付付き税額控除へ移る第3段階の3段階で組み立てるとしている。
国民民主党はこれより前、法案の参院での扱いについて考えを示していた。経緯は「国民民主・榛葉幹事長、食料品減税法案は参院で「重要広範議案に」 首相と関連大臣の出席求める」で伝えた。
首相の複数回出席、公聴会、委員長ポストを要求
会談では、与党に求める内容も申し合わせた。公明党の発表に挙がった項目は次の通り。
- 高市首相が特別委員会に複数回出席すること
- 地方公聴会を開くこと
- 特別委員会の委員長を野党が務めること
- 野党が出す対案を、政府案と並行して審議すること
- 衆院を上回る審議時間を確保すること
- 少数会派に配慮して質問の機会を確保すること
出席者からはこのほか、与党との話し合いが一定程度進まない場合には、議長への申し入れなど、さまざまな対応を取るべきだとの意見が出た。
衆院での審議時間をめぐっては、立憲民主党の徳永エリ政務調査会長が22日の党の政調審議会で、与党が約20時間で衆院の審議を終えて参院に送ろうとしているとの見方を示し、懸念を表明していた(同党の公表記事による)。
特別委員会の設置は、野党がこれまでも求めてきたことだった。立憲民主党の水岡俊一代表は26日の定例記者会見で、法案が農林水産事業者や飲食産業、地方財政にも大きな影響を及ぼすとして、野党が一致して特別委員会の設置と十分な審議を与党に求めてきたことに触れ、公聴会の開催や少数会派の発言権の確保も必要だと主張した。そのうえで、与野党が逆転している参院で十分な議論を尽くしていく考えを示した(同党の会見記事による)。会見の内容は「立憲・水岡代表、支援金法案「高市総理自身が国民に説明を」 改正皇室典範は「総意とは受け止めていない」」で伝えた。
法案は衆院財務金融委で審議中
衆議院の議案審議経過情報によると、法案は内閣提出の第222回国会の閣法第1号で、衆院が10月9日に受理し、20日に財務金融委員会に付託した。29日午後の時点で、衆院の委員会の審査終了日と本会議の議決日はいずれも空欄で、衆院を通過していない。参院は9日に予備審査のための議案を受け取っているが、参院での付託先の欄は空いている。衆院財務金融委員会のニュース一覧には、この国会で開いた委員会として10月20日と21日の2回が載り、21日の回の議題にこの法案が掲げられている。
内閣官房と財務省がまとめた法案の概要によると、2027年4月1日から2029年3月31日まで、飲食料品の消費税率を国税分0.78%、地方消費税と合わせて1%とする。地方消費税の減収分は地方特例交付金で補う。あわせて「就業者負担軽減支援金」を毎年1回支給する。支給の対象となる勤労所得や合計所得の線引きの額、支援額は、いずれも政令で定める。支援金の費用は3分の2以上を国が負担し、残りを都道府県と市区町村が半分ずつ負担する。支援金を担当する「租税・社会保険料負担に関する総合調整本部」を内閣府に置く。施行日は2027年4月1日。
税率の引き下げに加え、新しい給付制度の創設と地方の費用負担、内閣府の新しい組織まで一つの法案に含まれている。衆院では財務金融委員会が審査を担っている。
特別委員会とは何か 委員長は委員の互選
国会法は、各院に常設の常任委員会を置くと定め、参院の常任委員会として財政金融委員会や予算委員会などを列挙している。これとは別に、第45条は「各議院は、その院において特に必要があると認めた案件又は常任委員会の所管に属しない特定の案件を審査するため、特別委員会を設けることができる」と規定する。特別委員は議院が選任し、付託された案件がその院で議決されるまで任に就く。特別委員長は、委員会で委員が互選する。常任委員長が本会議の選挙で選ばれる(第25条)のとは選び方が異なる。
特別委員会を設ければ、法案はその委員会に付託され、常任委員会とは別の場で、その法案のために選ばれた委員が審査に当たる。衆院では、野党が特別委の設置を求めたものの、法案は常任委員会の財務金融委員会に付託された(議案審議経過情報)。参院の野党6党は、同じ要求を参院での審議入りの条件として示した形になる。
6党が委員長を野党が務めることを求めたのは、この互選で誰を委員長に選ぶかをめぐる要求になる。国会法第48条は、委員長が「委員会の議事を整理し、秩序を保持する」と定める。
参院は自民会派が過半数に届かず
参議院の会派別所属議員数一覧(10月28日現在)によると、参院の議員は合計247人で、過半数は124人になる。最も多い自由民主党・無所属の会は101人で、過半数に届かない。6党の国対会談で名前が挙がった3党の会派は、立憲民主・無所属が39人、国民民主党・新緑風会が25人、公明党が21人。
| 会派 | 議員数 |
|---|---|
| 自由民主党・無所属の会 | 101 |
| 立憲民主・無所属 | 39 |
| 国民民主党・新緑風会 | 25 |
| 公明党 | 21 |
| 日本維新の会 | 19 |
| 参政党 | 15 |
| 日本共産党 | 7 |
| いのちの党 | 5 |
| 日本保守党 | 2 |
| 沖縄の風 | 2 |
| チームみらい・無所属の会 | 2 |
| 社会民主党 | 2 |
| 各派に属しない議員 | 7 |
| 合計 | 247 |
参院では自民党の会派だけで過半数に届かず、特別委を設けるかどうかを含む審議の日程と体制は、与野党の協議が焦点になる。法案の施行日は2027年4月1日で、減税と支援金の実施には、衆参両院での可決と成立が前提になる。
