立憲民主党の水岡俊一代表は10月26日、国会内で定例記者会見を開き、今国会の最大の焦点である消費税・支援金法案について、23日の衆院の委員会審議でも給付対象者や給付額、消費税減税分を含めた財源について政府から具体的な説明がなかったと指摘した。その上で「何より高市総理自身が国会で直接、国民に説明することは欠かせない」と述べた。24日に施行された改正皇室典範については、党として「総意とは受け止めていない」と改めて表明した。発言の内容は、党が公式サイトに掲載した会見記事による。
「給付額を明らかにすることが国民の悲願に」
党の会見記事によると、水岡代表は23日の衆院の委員会審議を取り上げ、給付対象者や給付額、財源の説明が政府から無かったと述べた。「高市総理が悲願とする法案の説明が、このような不十分なものでいいのか」と疑問を示し、「このままでは給付対象者や給付額を明らかにすることが国民の悲願となりかねない」と述べた。
さらに、法案が農林水産事業者や飲食産業、地方財政にも大きな影響を及ぼすとして、野党が一致して特別委員会の設置と十分な審議を与党に求めてきたことに触れた。公聴会の開催や少数会派の発言権の確保も必要だと主張した。首相自身による説明を求めたうえで、与野党が逆転している参院で十分な議論を尽くしていく考えを示した。
水岡代表は2週間前の13日の定例会見でも同じ点を挙げていた。党の会見記事によると、このときは衆院予算委員会の審議が始まった日で、代表質問で各党が支援金の対象となる所得の範囲や給付額、消費税減税分を含めた財源を重ねて質問したのに、首相から具体的な説明が無かったと指摘していた。26日の会見は、委員会での実質審議に入った後も説明が示されていないと訴えた形になる。
法案は対象と額を政令に委ねる
法案の正式な名称は「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」。衆議院の議案審議経過情報によると、内閣が提出し、衆院は10月9日に受理した。20日に財務金融委員会へ付託された。29日朝の時点で、委員会の審査終了の日付は記載されていない。審議入りの経緯は食料品1%減税・支援金法案が衆院で審議入り 財務金融委へ付託、国民民主は対案を同日提出で伝えた。
内閣官房と財務省が公表した法案の概要によると、柱は2つある。1つは、2027年4月1日から2029年3月31日までの間、飲食料品の消費税率を0.78%(地方消費税と合わせて1%)とすること。もう1つは、一定の要件を満たす就業者に「就業者負担軽減支援金」を毎年1回支給することだ。
水岡代表が問題にした給付対象者と給付額は、法案の条文では決まらない。概要によると、支給の要件は4つあり、勤労所得の額が「政令で定める額」を超えること、合計所得金額が「政令で定める額」以下であることなど、いずれも基準の額を政令に委ねている。支援額も、前年の所得額や19歳未満の扶養親族の数に応じて「政令で定める額」とされている。
費用は3分の2以上を国が負担し、残りを都道府県と市区町村が半分ずつ負担する。財源は「特例公債に頼ることなく、歳出・歳入全般の見直しにより確保する」とされているが、概要に金額は書かれていない。施行日は2027年4月1日。水岡代表が求めた給付対象者・給付額・財源の3点は、いずれも概要の段階で金額が示されていない項目にあたる。
改正皇室典範、女性皇族は結婚後も皇族に 継承資格は男系男子のまま
皇室典範を改める「皇室典範等の一部を改正する法律」は7月24日に公布され、10月24日に施行された。成立までの経緯は改正皇室典範、10月24日に施行 木原官房長官が令和3年の有識者会議に結果報告 「79年ぶりの本格改正」で伝えた。e-Gov法令検索に載る改正前後の条文を比べると、主な変更は2つある。
1つは女性皇族の結婚の扱いだ。改正前の第12条は「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定めていたが、改正でこの条文は削除された。施行の時点で内親王・女王である人については経過措置があり、皇族以外の男性と結婚するとき、皇室会議の議によらず本人の意思で皇族の身分を離れることができる。
もう1つは、新設の第6章「養子皇族男子」だ。親王や内親王、女王などが、皇室会議の議を経て、かつて皇族男子であった人の男系の子孫で、15歳以上、配偶者と子のいない男性を養子にできるとした。養子は縁組の時から皇族になるが、皇位継承の順序を定めた第2条は養子皇族男子には適用しないとしている。
改正に伴う皇族費の扱いは彬子女王殿下の皇族費に予備費533万円 改正法で女性皇族の額が男性と同額に 10月27日閣議決定で伝えた。
党の会見記事によると、水岡代表は、政府が改正を「立法府の総意」を受けたものとしていることに対し、党として「総意とは受け止めていない」と改めて表明した。安定的な皇位継承の実現には、皇室典範第1条が定める男系男子による継承の在り方について国民的な議論が必要だと指摘し、「早期に国会に有識者会議を設置し、議論を始めるよう粘り強く求める」との考えを示した。
改正後も第1条は「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」のまま変わっていない。女性皇族は結婚後も皇族にとどまれるようになったが、皇位継承の資格は男系の男子に限られたままで、養子皇族男子も継承の順序には入らない。改正法の附則は、施行の状況を踏まえて検討を加え、皇族の数の確保の状況などを勘案して必要があれば30年ごとに見直すと定めている。水岡代表が求めた有識者会議は、この附則の見直しとは別に、国会に設けるよう求めているものだ。
サイバー攻撃とAIのリスクにも言及
会見では、インターネットを巡るリスクにも触れた。党の会見記事によると、水岡代表は、不正アクセスによる個人情報の流出や、PHPの脆弱性を受けたウェブサイトの停止などで、リスクが顕在化していることに強い懸念を示した。立憲民主党の公式サイトも一時公開を停止し、安全性を確認したうえで再公開したと報告した。
AIについては、社会の利便性や生産性を高める一方、急速な発展に伴ってリスクも大きくなっていると指摘した。政府にはリスクを最小限に抑え、安全な形で社会に定着させるための対応を求めた。党としても被害状況を確かめ、再発防止に向けた政府への提言を議論していく考えを示した。
水岡代表は発言に先立ち、「台風の影響で、沖縄・九州地方を中心に被害が出ている。豪雨による被害が大きくならないことを願う」と述べた。
