内閣官房地域未来戦略本部事務局副首都整備等推進室は10月3日、「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」(副首都整備等推進法)の施行令案と施行規則案を公表し、意見募集を始めた。締切は10月16日午後11時59分。政令案は、どの地域を「副首都」に指定できるかを数値の要件で定めている。
東京圏と一緒に被災しない地域に絞る
まず対象地域の絞り込みがある。法律は副首都の候補を「東京圏との同時被災の可能性が低いもの」に限り、その具体的な線引きを政令に委ねていた。政令案はこれを、首都直下地震緊急対策区域と富士山の火山災害警戒地域のいずれにも該当しない地域とした。
首都直下地震緊急対策区域は、内閣府の指定市区町村一覧によると1都9県309市区町村である(平成27年3月31日現在)。茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡の10都県にまたがり、うち東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県は全域が指定されている。富士山の火山災害警戒地域は、内閣府の一覧で山梨県と静岡県の27市町村が指定されている(令和6年8月1日現在)。
この二つは、いずれも副首都とは関係なく、防災のために内閣府が先に指定していた区域である。政令案は新しく線を引くのではなく、既にある防災上の区域指定をそのまま除外条件として使っている。
出先機関14以上、人口1.2%、経済2.1%
絞り込んだ地域の中で、法律は三つの柱で副首都を指定する。
一つめは、国の行政機構の立地状況だ。政令案は「地方支分部局が14以上設置されている市町村」とした。地方支分部局とは、府省が地方に置いている出先機関のことで、地方整備局、地方厚生局、経済産業局、管区警察局、国税局などがこれにあたる。行政の中枢機能を代替するには、国の役所が現にそこへ集まっている必要がある、という趣旨である。
二つめは、人口と経済の集積状況である。人口は、国内総人口に対する指定都市の人口の割合が1.2%以上の指定都市。経済は、国内総生産に対する道府県内総生産の割合が2.1%以上の道府県とする。総務省統計局の人口推計では、2026年9月1日現在の総人口は1億2265万人(概算値)だった。これに1.2%を当てはめると、約147万人以上の指定都市が条件を満たすことになる。経済の2.1%という水準は、全国を47都道府県で単純に割った約2.13%をわずかに下回る線だ。
三つめは、必要な地方行政体制である。大都市法に基づく特別区の設置か、地方自治法に基づく連携協約の締結および推進体制の構築のいずれかを満たすこととされた。
「特別区」か「連携協約」か
三つめの要件は、二つの道を用意した形になっている。特別区の設置とは、指定都市を廃止して特別区に再編する仕組みで、「副首都」法案が審議入り 災害時に東京を代替、大阪を念頭 与党は今国会成立目指す 審議欠席続ける野党の責任も問うで取り上げた大阪都構想がこれに重なる。
もう一方の連携協約は、再編を伴わない道だ。政令案によると、道府県と指定都市が首都中枢機能の代替と経済成長のための基本的な計画を共同で作成したうえで、連携する事務と役割分担、連携方法を具体的に定めた協約を結ぶ。連携する事務として挙がっているのは、産業振興、官民データ活用などの情報通信、教育・研究、都市計画の一部の決定と変更、道府県と指定都市が分担管理する一般国道や一級・二級河川、国際戦略港湾や大規模な都市公園の整備と管理、スポーツ施設や会議場といった公益的施設、国土強靱化地域計画などの防災の8分野だ。
推進体制としては、副首都整備の施策を進める内部組織を共同で設置し、指定都市都道府県調整会議を毎会計年度に少なくとも2回以上開く。協議の結果はそれぞれの議会に報告し、公表することも求める。道府県内に指定都市が複数ある場合は、要件を満たす指定都市以外の指定都市とも同様の協約を結べるようにする。
法律は7月31日公布、政令は10月末
副首都整備等推進法は令和8年法律第78号で、議員立法として令和8年特別国会(第221回国会)で成立し、7月31日に公布された。施行日は、公布の日から3月を超えない範囲内で政令で定めるとされている。施行期日を政令に委ねる方式は、防災庁、11月2日に発足 施行期日の政令を閣議決定 統括官4人・参事官15人を置く 地方機関「防災局」の施行日は決まらずでも使われた手法である。
意見募集の期間が行政手続法の原則である30日に届かない理由について、推進室は「法律の施行に合わせて本政令を定め、確実に施行する必要があるため」と記載した。今後のスケジュールは、令和8年10月末に政府令を公布するとしている。
意見はe-Govの提出フォームか、郵送(東京都千代田区永田町1-6-1 内閣官房地域未来戦略本部事務局副首都整備等推進室)で受け付ける。郵送は10月16日の消印まで有効だ。政令案と意見募集要領には、要件に当てはまる道府県や指定都市の名前は書かれていない。今回の政令案が根拠とするのは法律第2条第3項と第18条第1項などで、具体的にどこを副首都とするかは、この要件が確定したあとの判断になる。
