宝塚歌劇団は9月18日、2027年5月から8月にかけて上演する星組公演の演目を発表した。1986年に日本テレビ系列で放送が始まった刑事ドラマ「あぶない刑事」を、宝塚歌劇として史上初めて舞台化する。主演は星組トップスターの暁千星とトップ娘役の詩ちづる。脚本・演出は齋藤吉正が担当する。

公演日程は、兵庫県宝塚市の宝塚大劇場が2027年5月8日から6月20日まで、東京宝塚劇場が7月10日から8月22日まで。チケットの一般前売は大劇場が2027年4月10日、東京が同年6月13日に始まる。

原作をなぞらず、1989年の横浜を描く

宝塚歌劇の大劇場公演は、芝居とショーを続けて上演する二本立てが基本で、今回発表されたのもその2作である。1作目が「あぶない刑事」で、「YOKOHAMA CITY MEMORY」という副題が付く。原作のクレジットは「あぶない刑事」(セントラル・アーツ)。

宝塚歌劇団の発表によると、物語はテレビシリーズや劇場版の筋をなぞるのではなく、完全なオリジナルとして書き下ろす。舞台は横浜博覧会の開幕を控えた1989年の横浜。主人公の刑事・タカ(鷹山敏樹)が、相棒のユージ(大下勇次)とともに、七年前に何者かの陰謀で葬られた同期の刑事・山添の事件の真相に迫る。山添の婚約者で今も悲しみを抱えるエイミーに寄り添うタカの生き方を、宝塚歌劇の視点から描くとしている。

原作は、型破りな二人の刑事の軽妙な会話と、速さと派手さを前面に出したアクションを売りにした作品である。宝塚歌劇団は、昭和から平成、令和と時代をまたいで魅力が色あせていないと評した。ハードボイルドな空気を柱に据えた現代日本の刑事ものは、歴史劇や海外ミュージカルを主軸としてきた宝塚歌劇では手薄な題材にあたる。トップスターが刑事役で主演する編成そのものが、今回の発表の目新しさである。

放送40周年の企画の一つ

舞台化は、原作側が進めている放送40周年プロジェクト「ABDK40+」の一環として発表された。特設サイトによると、同プロジェクトは2026年8月21日に始動し、劇場版の4Kリバイバル上映のほか、9月18日には全7作品に使える共通ムビチケの発売が始まった。

関連企画も横浜を軸に組まれている。9月17日には横浜の11のブルワリーと組んだコラボビールの醸造が発表され、10月3日から売り出される。10月5日午後9時には横浜で第1話の生コメンタリー上映会が開かれる。宝塚歌劇の舞台化は、これら一連の企画のなかでも先の日程にあたり、2027年まで40周年の展開を引き延ばす役割を担う。

併演は鴨川清作の没後50年ショー

2作目のショー「PURE LOVE!!」には「清らかなる愛の軌跡」という副題が付く。作・演出は藤井大介、監修を三木章雄と中村一徳が務める。

2027年は、宝塚歌劇の演出家だった鴨川清作の没後50年にあたる。鴨川は「シャンゴ」「ハロー!タカラヅカ」「ラ・ラ・ファンタシーク」など、色彩の強い情熱的なショーを次々に手がけた人物で、宝塚歌劇団は「鬼才」と呼ばれた作風だったと説明している。今回のショーは、繰り返し再演されてきた代表作「ノバ・ボサ・ノバ」をはじめ、鴨川作品の名場面を集めた構成になる。

外部の映像作品を初めて舞台に載せる芝居と、自前の演出家の遺産をたどるショー。性格の異なる2作を並べたのが、2027年夏の星組公演である。