総務省は10月6日、台風第18号で被災した鹿児島県徳之島町に2億9400万円、台風第25号で被災した神奈川県の横須賀市と三浦市に計17億6800万円の普通交付税を繰り上げて交付することを決めた。地方交付税法第16条第2項に基づく「繰上げ交付」で、いずれも翌7日に現金を渡している。台風第25号での繰上げ交付は、9月30日に千葉県内の42団体へ142億5500万円を渡したのに続く2回目で、この台風を理由とする交付総額は31市12町1村の160億2300万円になった。
横須賀市14億5500万円、三浦市3億1300万円
総務省自治財政局の報道発表資料によると、台風第25号分の対象は神奈川県の2市で、横須賀市が14億5500万円、三浦市が3億1300万円。10月6日に交付を決定し、7日に現金を渡した。
これに9月30日の千葉県内42団体(29市12町1村)の142億5500万円を加えた160億2300万円が、台風第25号を理由とする繰上げ交付の総額となる。団体別で最も多いのは千葉市の30億6700万円で、横須賀市の14億5500万円が2番目に大きい。千葉県内の内訳や、災害時に交付の時期を前倒しする仕組みそのものは普通交付税の「繰上げ交付」とは 災害時に11月定例交付分の30%を前倒し 2026年度は台風第25号で千葉県42団体に142億5500万円、台風第24号で名古屋市に1億6100万円で詳しく伝えている。
台風第18号分は対象が徳之島町の1町だけで、2億9400万円。こちらも10月6日に決定し、7日に現金を渡した。
神奈川県の死者5人、住家被害60棟
繰上げ交付が神奈川県に及んだ背景には、9月下旬の人的・住家被害がある。消防庁が10月5日午前9時時点でまとめた第25報(台風第25号・第26号と前線による大雨を合わせた集計)によると、神奈川県の死者は5人で、内訳は横須賀市3人、三浦市2人。負傷者は重傷1人と軽傷6人の計7人だった。住家被害は60棟で、うち全壊が8棟、一部破損が52棟。県の災害対策本部は9月21日午後4時30分に設置され、10月2日午後6時に廃止された。
この災害全体では死者17人(千葉県10人、神奈川県5人、熊本県1人、宮崎県1人)、住家被害は2412棟に達している。棟数では千葉県の2297棟が大半を占める。
横須賀市と三浦市には災害救助法が適用されており、総務省は両市の住民向けに生活支援ガイドブックを作成した。住宅の応急修理や公営住宅の一時提供、災害ごみの処理、浸水家屋の消毒といった手続きの窓口を市別に並べたもので、10月2日の初版から10月9日の第5版まで更新を重ねている。
徳之島町は「町内全域で甚大な被害」
台風第18号は8月25日から26日にかけて奄美群島を通過した。徳之島町は公式サイトで「台風18号の暴風域に入った徳之島町は、家屋の倒壊や停電をはじめ、町内全域で甚大な被害を受けました」と説明している。島内では40〜50メートルの強風が吹き、大雨に伴う土砂災害も各地で発生した。同町は復旧費用に充てるため災害支援型のふるさと納税の募集を始めており、島内の天城町と伊仙町も同時に募集している。
消防庁の第3報(9月4日正午時点)では、鹿児島県の負傷者は重傷2人と軽傷1人の計3人、住家被害は29棟。沖縄県でも軽傷3人が報告された。鹿児島県の災害対策本部は8月25日午前9時に設置され、翌26日午後6時30分に廃止されている。被災から1か月以上たって繰上げ交付が決まった形で、復旧事業の支出が本格化する時期に合わせた措置といえる。
前倒しであり、年間に受け取る額は増えない
普通交付税は、自治体の間の財源の偏りをならすために国が配る使い道の自由な財源で、地方交付税法第16条第1項により4月、6月、9月、11月の年4回に分けて交付される。繰上げ交付はこの定例の時期を前に倒すもので、総務省は「災害により多大な被害を受けた地方公共団体における資金繰りを円滑にするため」と説明している。交付する額は11月定例交付額の30%と決まっている。
今回の交付額から逆算すると、11月に渡される予定だった普通交付税は、横須賀市が約48億5000万円、三浦市が約10億4000万円、徳之島町が約9億8000万円となる。徳之島町の額が三浦市と近いのは被害の大小ではなく、もとになる普通交付税の交付額そのものが団体ごとに違うためだ。繰り上げて渡すのは11月に払う分の一部であり、年間に受け取る総額が増えるわけではない。災害で急に支出が必要になった自治体が、復旧費を立て替える現金を手元で切らさないようにする措置である。
