喜劇役者の伊東四朗さん(89)が、2027年6月15日に迎える90歳の誕生日をもって芸能活動を引退する。文化放送が10月1日に公表した。同局は、伊東さんがフリーアナウンサーの吉田照美さんとパーソナリティを務めるラジオ番組「伊東四朗 吉田照美 親父・熱愛」を、2027年6月12日の放送をもって終了すると発表した。
番組は毎週土曜の午後3時から5時までの生放送で、1997年4月13日に始まった。通算放送回数は2026年10月3日の放送で1493回に達する。2027年4月には30周年を迎える長寿番組だ。文化放送は引退の発表元として、伊東さんのオフィシャルウェブサイト(株式会社オルテ企画)を案内している。
「眼、耳、脳、腰、膝」が急速に退化
伊東さんは文化放送を通じて直筆のコメントを出した。昭和31年の高校卒業時に受けた就職試験について「すべてに落っこちて失意の中、かすかに手招きしてくれた芸能界に入れて貰い何とか69年」と振り返っている。
引退の理由はこう書かれている。「いい爺ィになりました。えッ?未練たっぷりに見える?それがですね。『眼、耳、脳、腰、膝・・』すべてが急速に退化。ドラマ撮影ではスタッフ、キャストに迷惑をかけることに・・・」。締めくくりは「これからは、観させていただき、聴かせていただきます」だった。
節目に選んだ90歳は「卒寿」と呼ばれる。「卒」の略字が「九十」と読めることに由来する長寿の祝いで、伊東さんも「卒寿をもちまして引退をさせていただきます」と記している。
文化放送の土曜に43年
伊東さんと文化放送の関わりは1984年に始まる。同年4月7日に土曜午前の大型生ワイド番組「伊東四朗のあっぱれ土曜ワイド」がスタートし、1996年9月28日まで12年半続いた。半年後の1997年4月13日、その流れを受け継ぐ形で「親父・熱愛」が始まり、持ち場は土曜午後へ移っている。最終回の2027年6月12日まで数えると、伊東さんが文化放送の土曜に立つ期間は43年を超える。
「親父・熱愛」は放送開始当初は録音番組で、2012年4月から生放送に切り替わった。同局の説明によると、当時60歳を迎える目前だった伊東さんと吉田さんの「年の差コンビ」によるトーク番組として誕生し、「こだわり親父のこだわりの話」をテーマに世の中の出来事から身近な疑問までを語り合う形で支持を集めた。アシスタントは文化放送アナウンサーの水谷加奈さんが務めている。
1493回を数える10月3日の放送から最終回までには、土曜が37回ある。休みなく毎週放送されれば、最終回は通算1529回となる計算だ。
てんぷくトリオから「電線音頭」、「伊東家の食卓」まで
伊東さんは1937年生まれ。1958年の初舞台以来、第一線で活動してきた。三波伸介さん、戸塚睦夫さんと結成した「てんぷくトリオ」で喜劇役者として人気を集め、「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」(NET系)では「ベンジャミン伊東」として「電線音頭」が大きな話題になった。「伊東家の食卓」(日本テレビ系)の「お父さん」役や、NHKの「コメディー お江戸でござる」でも親しまれた。
司会業でも「ザ・チャンス!」(TBS系)、「脳内エステ IQサプリ」(フジテレビ系)を担当。ドラマではNHK連続テレビ小説「おしん」、「十津川警部シリーズ」(TBS系)、「おかしな刑事」(テレビ朝日系)などに出演している。舞台は「劇団ヴォードヴィルショー」や「伊東四朗一座」の公演に立ち、「白子のり」「ヤクルト」のCMにも長く起用された。
文化放送は「長年にわたり番組をご愛聴いただいたリスナーの皆様、ご尽力いただいた関係者の皆様に、心より感謝申し上げます」とコメントしている。番組は最終回まで通常どおり放送される予定で、次の放送は10月3日の午後3時からとなる。
