日本とオーストラリアの間で新しく設けられた2つの対話の枠組みが10月8日、東京でそろって初会合を開いた。両国の各界の有識者が集まる「日豪リーダーシップ対話」と、両国外務省の事務方トップ同士が話し合う「日豪次官戦略協議」である。外務省が8日と9日に、それぞれの結果を公表した。どちらも、本年が日豪友好協力基本条約の署名から50年にあたることを踏まえ、5月に立ち上げが決まったものだ。
官民20人が3つのテーマで議論
リーダーシップ対話は、本年5月に高市早苗首相がオーストラリアを訪問した際、アンソニー・アルバニージー首相との間で立ち上げに一致した。外務省によると、目的は相互理解と知的交流を深め、中長期的な両国の協力関係を強めることにある。毎年1回、日豪交互に開き、年ごとのテーマに応じて各界の関係者が集まり、政治・経済を含む日豪関係の将来像を話し合う。
議長は、日本側が広瀬道明・東京ガス相談役(日豪経済委員会委員長)、オーストラリア側がスティーブン・スミス元外相・国防相が務めた。外務省が別添で公表した参加メンバーは両国10人ずつの計20人。日本側は大学教授や元大使、企業経営者、資源機関の元調査部長らで、オーストラリア側も大学の経済学教授や資源・データセンター関連企業の幹部らが名を連ねた。両国の駐在大使と外務省幹部も加わっている。
議論は3つのセッションに分かれた。第1セッションは「平和で、安定し、繁栄するインド太平洋の実現に向けて」をテーマに、安全保障面を含む連携の強化と、地域の自律性と強靱性を支えるために日豪が果たすべき役割を話し合った。第2セッションは「経済・エネルギー協力、更なる繁栄に向けた道筋」で、経済・エネルギー分野での強靱性強化を含む経済安全保障上の新たな協力の可能性を取り上げた。第3セッションは「将来に向けたイノベーション・パートナーシップ」とし、人的交流やビジネス交流の新たな機会づくりを議論した。両議長は、今後も緊密に連携していくことで一致した。
次官協議は約3時間、FOIPへの連携を確認
同じ8日の午後6時30分から約3時間、船越健裕外務事務次官が、訪日中のジャン・アダムズ豪外務貿易省次官と第1回の次官戦略協議を行った。この枠組みは、本年5月26日にインドのデリーで開かれた日豪外相会談で、茂木敏充外相とペニー・ウォン外相が立ち上げに一致していた。アダムズ次官は、同じ日のリーダーシップ対話にも参加メンバーとして名を連ねている。
外務省によると、両次官は安全保障、経済安全保障、経済を含む幅広い分野で二国間の具体的な協力をさらに強めることで一致した。厳しい戦略環境についての認識を共有し、インド太平洋の地域情勢や国際社会の課題について意見を交わしたうえで、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて連携を強めることを確認した。
資源で結ばれた相互補完の関係
日豪関係は、資源・食料を輸出するオーストラリアと工業製品を輸出する日本という、相互補完的な経済関係を土台にしてきた。外務省の基礎データによると、2025年の日本からオーストラリアへの輸出は約2兆571億円、オーストラリアからの輸入は約6兆2042億円で、オーストラリアは日本にとって3番目の輸入相手国にあたる。日本の輸入品目は石炭(37.3%)、天然ガス(31.4%)、鉄鉱石(10.1%)が上位を占める(2024年、豪外務貿易省統計)。リーダーシップ対話の第2セッションがエネルギーと経済安全保障を正面から扱ったのは、こうした依存関係の大きさを映している。
外務省は両国の関係を、基本的価値と戦略的利益を共有する「特別な戦略的パートナーシップ」と位置づける。近年は経済に加えて安全保障分野の協力も広がってきた。今回は、政府の事務方が政策を詰める協議と、民間を交えて中長期の将来像を描く対話が、条約50周年の年に同じ日に動き出した。リーダーシップ対話は毎年1回、日豪交互に開くため、次回はオーストラリア側が会場になる番となる。
