気象庁は10月1日、2026年9月の東日本太平洋側が記録的な多雨と日照不足になったと発表した。月降水量は平年比236%、月間日照時間は平年比46%で、どちらも地域ごとの統計を始めた1946年以降の9月で1位の記録となった。

降水量236%、日照46% どちらも1946年以降の記録

東日本太平洋側の9月の月降水量平年比は236%で、これまでの最多だった1982年の182%を超えた。月間日照時間の平年比は46%で、これまでの最少だった1988年の54%を下回った。雨が降った量と日が差した時間の両方で、1946年以降の9月で最も極端な月になった。

気象台など個別の地点でみると、関東地方南部を中心とする12地点で、9月の月降水量の多い方からの記録を更新した。この判定は全国153の気象台などの観測値によるものだ。

地域の区分でみると、降水量が多い方の記録を更新したのは東日本、東日本太平洋側、関東甲信地方、東海地方。日照時間が少ない方の記録を更新したのは東日本、東日本太平洋側、東海地方で、関東甲信地方と近畿太平洋側は過去の記録と同じ値で並んだ。一方、北日本日本海側は中旬を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多く、月降水量は少なく、月間日照時間は多かった。同じ9月でも地域によって天候が分かれている。

月の平均気温は、西日本と沖縄・奄美で高く、北日本と東日本では平年並みだった。雨と日照の記録が出た東日本では、気温そのものは平年の範囲に収まっていた。

「平年比」は1991〜2020年の30年平均と比べた数字

ここでの「平年」は、長期の平均値として気象庁が定めた数値を指す。気象庁は1991〜2020年の30年間のデータを用いて「2020年平年値」を作成し、2021年5月19日から使用を始めた。いま使われている平年比は、この30年平均に対する比率だ。

したがって平年比236%は「30年平均の2.36倍の雨が降った」、平年比46%は「30年平均の半分を下回る時間しか日が差さなかった」という意味になる。記録を比べている1946年以降という範囲は、地域ごとの統計を気象庁が開始した年にそろえたものだ。

秋雨前線が1か月停滞し、台風が3つ重なった

気象庁は原因として、気圧配置が1か月を通して固定されたことを挙げた。日本付近の偏西風は日本の東海上を中心に平年よりかなり強く、本州付近は上昇気流が生じやすい場所になった。さらに日本の東海上に太平洋高気圧と一体化した優勢な高気圧が停滞する一方、大陸からは秋の高気圧が張り出し、本州付近で南北の気温差が大きくなった。この配置が月を通して現れ、秋雨前線が本州付近に長期間とどまった。

そこへ、太平洋高気圧の縁辺と日本の南海上の低圧部の東縁に沿って暖かく湿った空気が流れ込み続けたため、前線の活動が非常に活発になった。台風も重なった。上旬は台風第24号とそれから変わった熱帯低気圧の影響で、8日に愛知県と岐阜県で線状降水帯が発生し、名古屋では日最大1時間降水量104.5ミリを観測して観測史上1位となった。この時期の東日本太平洋側と西日本太平洋側の旬間日照時間はそれぞれ平年の30%、41%で、1961年の統計開始以降、9月上旬として1位の寡照だった。

下旬は21日に台風第25号が関東甲信地方に接近し、伊豆諸島や千葉県などで記録的な大雨となった。台風25号の接近前には、関東甲信と東海の7都県に線状降水帯の半日前予測が出されている(線状降水帯の半日前予測、関東甲信と東海の7都県に 台風25号接近で東京は24時間250ミリ、伊豆諸島は最大瞬間風速50メートル予想)。27日には秋雨前線に向かって台風第26号から湿った空気が流れ込み、九州北部地方で9月として記録的な大雨となった所があった。千葉県では台風26号の接近を前に、印旛沼で国と県が緊急排水に当たっている(印旛沼の緊急排水、国と千葉県が「チーム印旛沼」結成 水位3.0メートルを平常時の2.3メートルへ 台風26号接近前に決壊4か所を応急復旧)。

10月は「晴れの日が多い見込み」 西日本の少雨は解消しない見込み

今後の見通しについて気象庁は、引き続き台風や秋雨の時期ではあるものの、10月は全国的に天気が数日の周期で変わり、平年に比べ晴れの日が多い見込みだとした。東日本太平洋側で降水量の多い状態や日照時間の少ない状態が続く可能性は「小さい見込み」としている。

ただし西日本は事情が逆だ。9月は平年を上回る降水量となったところが多かったが、7月から9月までの3か月でみると降水量は少なくなっている。10月の降水量は西日本日本海側で平年並みか少なく、西日本太平洋側では少ない見込みで、気象庁はこれまでの少雨の状態を解消する可能性は「小さい見込み」としている。東日本では雨が多すぎ、西日本では夏からの雨不足が残るという形になる。

気象庁は、最新の気象情報に一層留意するよう呼びかけている。なお原因を示した大気の流れの図は、異常気象分析検討会の協力を得て作成したものだとしている。