政府は10月9日、環境影響評価法施行令の一部を改正する政令と、2025年6月に成立した改正環境影響評価法の施行期日を定める政令を閣議決定した。既存の発電所を取り壊し、同じ場所か近くに同じ種類の発電所を新しく造る「建替事業」について、環境アセスメント(環境影響評価)の手続きを一部簡素にする新制度の対象を定めた。改正法と新制度の施行は2027年4月1日。環境省が同日発表した。

300メートル以内、出力は火力2倍・地熱1.3倍・風力1.1倍まで

改正法は、建替事業を行う事業者が作る「計画段階環境配慮書」の記載事項を新たに定め、どこまでを建替事業とみなすかの距離と規模を政令に委ねていた。

今回の政令は発電所の種類ごとに要件を決めた。いずれも既存設備のある区域の境界から300メートル以内で、新しい設備の出力が既存設備の出力に比べて、火力発電所は2.0倍、地熱発電所は1.3倍、風力発電所は1.1倍の範囲に収まるものを対象とする。あわせて、ダムの改築の事業についても、アセスの対象となる第一種事業と第二種事業の要件などを定めた。

発電設備の立地をめぐっては、自治体が独自に規制を強める動きもある(千葉県、メガソーラーを知事の許可制に 条例案の意見募集は24日締め切り 出力1000キロワット以上が対象、2027年10月施行へ)。

配慮書の周辺調査を不要に 既存設備の情報で配慮を書く

計画段階環境配慮書は、事業の計画を固める段階で、環境にどう配慮するかを事業者がまとめる書類だ。環境省の説明によると、建替事業向けの配慮書(建替配慮書)は、事業を行う場所が大きく変わらないという特性を踏まえ、周囲の概況などの調査を不要とする。その代わり、建て替え前の既存事業で生じた環境影響の情報などをもとに、新しい設備での環境配慮の内容を具体的に書くよう求める。従来の配慮書と同じく、環境大臣が意見を述べる機会は残る。

要件の数値は、過去にアセス手続きを経て建て替えた事業の実績から導いた。火力は24件について、大気質、水質、二酸化炭素、温排水の熱量と出力比の関係を整理し、大気質・水質・温排水の熱量が建て替え前から大きく変わっていないことを確かめた値を参考にした。風力は19件で土地の改変面積や切り土・盛り土の量と出力比を調べたが、明確な関係は見られなかった。このため、これまでのアセス手続きの意味を損なうほど大きな環境影響の増加を生じない範囲の変更を定めた、法の「軽微変更」の要件を参考に定めたという。

検討は「改正環境影響評価法の施行に関する技術検討会」で2025年10月から2026年1月にかけて行われた。

意見募集に71件 「火力2倍は気候変動対策に逆行」の声も

政令案への意見募集は8月25日から9月23日まで行われ、71件の意見が寄せられた。火力発電所の出力2倍までを簡素化の対象とすることに「気候変動対策に逆行する」とする意見や、風力発電は少数の大型風車への置き換えで出力比1.1倍以内でも景観や鳥類への影響が変わるとして、風車の高さや基数なども比べるよう求める意見があった。

環境省は、建替配慮書についても、建て替え後に著しい環境負荷が生じる懸念があれば環境大臣意見で厳しい意見を述べると回答した。要件は今後の技術の進展などに応じて適宜見直されるべきだとの考えも示した。