千葉県は8月24日、「千葉県太陽光発電施設の規制に関する条例案要綱」を公表し、県民からの意見募集を始めた。意見の提出期限は9月24日必着で、この日が締め切りにあたる。大規模な太陽光発電施設、いわゆるメガソーラーの設置を知事の許可制とする内容で、県は寄せられた意見を踏まえて条例を制定する方針を示している。

1000キロワット以上が許可の対象 住民説明会も義務に

要綱は、出力1000キロワット以上の太陽光発電施設を「大規模太陽光発電施設」と定義し、新たに設置する場合や、増設して1000キロワット以上になる場合に知事の許可を必要とする。木を切ったり土地の形を変えたりする工事も設置に含まれる。一方、建築物に設置するものは条例の対象そのものから外れるため、住宅や工場の屋根に載せるパネルは規制されない。

許可を申請する前には、周辺地域の住民に施設の設置・維持管理・廃止の計画案を知らせ、説明会を開くなどして意見を求めなければならない。住民から意見が出たときは、事業者は誠実に回答する義務を負う。知事は、計画が県の定める基準に合っているか、事業者に計画を実行できる資金と技術があるかを審査し、満たさなければ許可できない。許可した場合は申請内容の概要を公表する。

許可を受けた後も、定期的に維持管理の状況を知事へ報告し、施設が壊れたり周辺環境に支障が出たりしたときは直ちに報告する。施設をやめるときは廃止の30日前までに撤去の計画を届け出る。立ち入り検査や措置命令、許可の取り消しに加え、罰則も設ける。施行は2027年10月1日を予定し、施行の時点ですでに設置されている施設の設置者には、2028年3月31日までに知事へ届け出るよう求める。

導入容量は全国3位 土砂崩れや住民トラブルが背景

県が意見募集にあわせて公表した資料によると、県内の太陽光発電の導入容量は2025年6月末時点で3593メガワットで、都道府県別で全国3位にあたる。固定価格買い取り制度(FIT)などの認定を受けた件数は19万9060件で、このうち出力1000キロワット以上は547件だった。ただしこの件数は地上に置くものと建築物の上に載せるものの両方を含んでおり、認定を受けた数であるため、そのまま条例の規制対象の数になるわけではない。2024年度の県内の太陽光発電の発電電力量は4.6テラワット時で、県全体の年間電気使用量37.9テラワット時の1割強を占める。

県は、こうした急速な普及の一方で、土砂崩れや濁った水の流出、設備が飛ばされる事故や火災といった災害、生活環境や景観への悪影響、住民の不安や反対運動といった問題が起きていると指摘する。盛土規制法や森林法、電気事業法、景観法などの現行の法令はあるものの、許可の対象にならない規模の施設や、造成が終わった後の維持管理には手が届きにくい。電気事業法の保安は事業者の自主的な取り組みが原則で、景観法による規制は市町村ごとに差が出る。

国の買い取り支援から外れる地上設置分を条例で補う

県が条例を急ぐ理由のひとつに、国の制度の変化がある。県の資料は、2027年度から地上に設置する太陽光発電施設はFITなどの認定の対象外になるとしている。認定を受ける施設には、住民説明会の開催やパネル撤去費用の積み立てが認定の要件として課されてきたが、認定の枠から外れれば、この要件も及ばなくなる。県は、計画から廃棄までの一連の流れを現行の法令ではカバーしきれず、事業全体を遂行する能力の確認や事業者の情報公開が不十分だとして、条例で補う必要があるとしている。国の再生可能エネルギー政策そのものも見直しが進んでおり、高市首相、「パワーGX戦略」を年末までにまとめるよう赤澤経産相に指示している。買い取り制度の費用は電気料金に上乗せされる再エネ賦課金でまかなわれる仕組みで、経済産業省は納付を怠った事業者について再エネ賦課金の納付金を納めず、新電力1社の社名を公表している。

要綱には、市町村が独自に太陽光発電施設に関する条例を作っている場合や作ろうとしている場合、市町村長が県条例の適用除外を申し出られる規定も盛り込んだ。県と市町村のどちらが規制を担うかを選べる形にした。県と市町村の役割分担は各地で論点になっており、地方制度調査会では政令市を県から切り離す「特別市」、住民投票は市だけか県全体かで対立している。

条例案は、行政法や都市計画、太陽光発電の専門家4人でつくる「太陽光発電事業に係る条例検討会議」の議論を経てまとめられた。会議は千葉大学名誉教授の鈴木庸夫氏を座長とし、5月22日と7月14日の2回開かれ、現状と課題の整理と骨子案の検討を行った。