2027年4月に導入される新しい給付制度「就業者負担軽減支援金」は、いつ振り込まれるのか。内閣官房は9月11日、「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場の第4回会合に示した資料で、支給時期の見通しを示した。支給は市町村が年1回行い、制度が本格的な給付へ切り替わる2029年度だけは4月と秋の2回に分けて配る。
2027・2028年度は「秋支給」、2029年度は4月と秋の2回
資料に載った給付のイメージ図では、2027年度(令和9年度)中と2028年度(令和10年度)中の支給がいずれも「秋支給」と記されている。飲食料品の消費税率を1%に下げる2年間の「つなぎ」の期間にあたる部分だ。
例外は、つなぎが終わって本格的な制度へ移る2029年度(令和11年度)だ。内閣官房は、消費税率の引き下げが終わるときに新しい制度へなめらかにつなぐため、この年度は2回に分けて支給するとした。まず2029年4月に、2028年度の受給資格者に対して、2029年度以降の制度による支援額の半年分相当額を基本とした額を先行して支給する。その後、2029年度の受給資格者に対して残る半年分相当額を基本とした額を支給する。図では後半の支給が「秋支給」の位置に置かれている。2030年度(令和12年度)以降はまた秋の年1回に戻る。
4月分の配り方には、自治体の手間を抑える工夫が盛り込まれた。内閣官房が「今後の検討の方向性」として挙げたのは、2029年4月の支給を、すでに確定している2028年度の受給資格者に対して「支援額のみ変更して支給」する形にし、受給の意思をあらためて確認する手続きは要らないようにすることだ。支援額そのものも前もって決めておき、繁忙期を迎える前の2月までに支給の準備を終え、4月は金融機関での振込だけを行う仕組みを検討するとしている。年度の替わり目は自治体の事務が立て込むため、そこに新しい確認作業を持ち込まない組み立てだ。
「年末までに負担割合」 国と地方の協議は制度の後も続く
支援金は市町村が窓口になる制度だが、費用を国と地方がどの割合で分け合うかは、まだ決まっていない。9月15日に閣議決定された大綱は、支給に要する費用の「3分の2以上を国が負担し、残余のうち2分の1ずつを都道府県と市町村がそれぞれ負担する」としたうえで、割合の決定に際しては地方と協議すると書いている。
第4回会合の資料は、その協議の期限を示した。内閣官房は「令和9年度の制度開始に向けて、本年末までに『就業者負担軽減支援金』に関する費用の負担割合等について協議させていただく」とし、2026年末までに決着させたいとの意向を示した。細かい事務の内容を詰める「実務検討チーム」での検討も並行して続ける。
制度が始まった後も協議は終わらない。資料は、国と地方の役割分担のあり方について「国の役割を拡大する方向で」、制度の導入後すみやかに協議の場で協議したいとした。国が直接給付を行う場合の論点整理も含め、必要の都度、少なくとも年2回は会合を開くとしている。大綱にも、社会の構造の変化や情報システムの整備の進展などを踏まえ、国の役割を拡大する方向で地方と十分に協議し、検討を続けるとの一文が入った。支援金制度そのものについても、施行から5年をめどに状況を勘案して見直しを検討する。
市区町村の費用負担には、当面の手当ても用意された。大綱の概要資料によると、国は普通交付税の交付を受けないと見込まれる市区町村(特別区を含む)に対し、その負担に相当する額を上限として、当分の間、特別交付金を交付する。さらに2027年度と2028年度は、これにかかわらず、すべての市区町村に対して負担に相当する額の特別交付金を交付する。地方負担分は地方財政計画の歳出に全額計上し、個別の自治体の地方交付税の算定でも、負担の全額を「見える形で」基準財政需要額に算入するとしている。
国が用意する支援 算定ツールとコールセンター
配る側と受け取る側の手間を減らすため、国が自ら整えるとした仕組みもある。大綱の概要資料が挙げているのは、支援額を計算するツールの無償提供、給付支援サービスを国が一括して契約して自治体に提供すること、国の情報システムの機能拡充だ。周知や広報も国の役目とし、国によるコールセンターの設置と、利用者がウェブサイトで自分の支援額を試算できる仕組みを作るとしている。
受け取り方の入り口になるのが公金受取口座だ。支援金は市町村への請求に基づいて認定するのが原則だが、公金受取口座を登録している人は、請求が無くても市町村長が職権で認定して支給できる。国はこの登録者数を増やす措置として、口座が実際に存在するかを確かめる機能の実装と、照会への対応能力の強化を進めるとした。制度の全体像や対象者の要件は「給付付き税額控除」2029年度に本格導入、2027年4月から支援金で先行 閣議決定した基本方針の中身 支給額は今も「検討し定める」にまとめている。
もっとも、支給の日取りの見通しが立っても、いくら振り込まれるのかは依然として白紙だ。食料品の消費税1%、大綱を閣議決定 2027年4月から2年間 支援金の額は決定後も「検討し定める」のままのとおり、支援金の基本となる額も所得の上限・下限も「検討し定める」と書かれたままで、数字は示されていない。自治体側が2月までに準備を終えるには、その前に金額が固まっている必要がある。年末の予算編成と、年末までに決めるとされた国と地方の負担割合の協議が、その前提になる。
なお子育て支援のあり方については、こども家庭庁の「こども政策に関する国と地方の協議の場」などで議論し、必要に応じて国と地方の協議の場へ報告するとされた。内閣官房は、地方に大きな事務負担と費用負担が生じる分野について、国と地方が丁寧に意見を交わす新たな協議の仕組みも、関係府省と連携して検討するとしている。
