外務省は10月7日、ASEAN AIサミットのプログラムの一環として、日本政府主催の日ASEANフォーカスセッション「Advancing ASEAN-Japan Co-Creation Initiative for AI」を10月6日にオンラインで開いたと発表した。日本はこの場で、ASEAN各国とのAI協力をどこまで具体化したかを説明し、特定の領域に特化した「バーティカルAI」と、製造業を土台にした「フィジカルAI」を前面に打ち出した。
出席者と日本側の発言
セッションには日本側から米谷光司ASEAN日本政府代表部大使、花田貴裕・外務省経済局参事官のほか、総務省の関係者やAI関連企業が参加した。ASEAN側からはフィリピン情報通信技術省(DICT)のレアンドロ・アンジェロ・Y・アギーレ次官をはじめ、各国の官民関係者が出席した。
外務省によると、花田参事官は、AIのリスクを最小限に抑えつつ成長とイノベーションの原動力として使うには、「信頼できる」パートナーと「安全、安心で信頼できるAI」のエコシステムを共に作ることが欠かせないと述べた。そのうえで日本は、投資や消費電力を安く抑えながら特定領域に特化する「バーティカルAI」と、日本の強みである製造業を土台とする「フィジカルAI」を推進しているとし、各国と「信頼できるAI」を作り上げたいと訴えた。
総務省はASEANで進めている取り組みを紹介し、中小零細企業(MSME)にAIを活用してもらう案を示した。参加した各AI企業も、ASEANでの事業を紹介した。
1年前に立ち上げた「共創イニシアティブ」
花田参事官が具体化の土台に挙げたのが「日ASEAN・AI共創イニシアティブ」だ。2025年10月26日の第28回日ASEAN首脳会議で立ち上げた枠組みで、外務省・総務省・経済産業省の3省がまとめた文書は、次の四つを柱に据える。
- 柱1「AIソリューションの共創」: 社会課題を解決するための共創の場の立ち上げ、国際協力機構(JICA)の民間連携事業などの活用
- 柱2「制度整備・ガバナンス」: AI戦略や法制度づくりへの協力、広島AIプロセスの「フレンズグループ」を通じた連携
- 柱3「人材育成・能力構築」: AIの開発・運用を担う人材の育成とジョブマッチング、サイバーセキュリティなど安全性での協力
- 柱4「基盤支援」: 現地の言語や文化に対応したAIモデルの研究・開発支援、データ連携の支援
今回の説明もこの四つに沿っている。花田参事官は、AIソリューションの共創、広島AIプロセスやAIの安全性を含む制度整備、人材育成を進めていると述べた。基盤支援として、アジアの多様な言語・文化を反映したAIモデルの開発や、データセンターなどのインフラ支援にも取り組んでいるという。
AIを外交と産業の両面で使う
イニシアティブの文書は、AIを「国力を左右する技術」で、安全保障にも直結する外交上の課題と位置づける。ASEAN各国が自前でAIを使いこなす力を高めることに貢献しつつ、日本企業の海外展開を後押しし、ASEANの成長を日本経済に取り込むことも目標に掲げている。
広島AIプロセスは、日本がG7議長国だった時に立ち上げた、AIの国際ルールづくりの枠組みだ。日本はASEANのほかにも、2025年8月のモディ・インド首相の来日時に「日印AI協力イニシアティブ」を立ち上げるなど、国や地域ごとにAI協力の枠組みを広げている。
