農林水産省は13日、令和8年産の水田における作付状況(9月15日時点)を公表した。主食用米の作付面積は136万ヘクタールで、近年で最も高い水準だった令和7年産の136万7000ヘクタールより7000ヘクタール少なく、ほぼ前年並みとなった。一方で、飼料用米や麦、大豆などの作付面積は軒並み減り、主食用米以外の作物をまとめた「戦略作物等」の合計は34万4000ヘクタールと、前年産の38万8000ヘクタールから4万4000ヘクタール減った。農水省は、非主食用米などの作付水準は「低い状況」だとしている。
主食用米は2年続けて136万ヘクタール台
この調査は、全国の水田で何がどれだけ植えられたかを、年1回、9月15日時点でまとめたものだ。農水省は毎年1月末、4月末、6月末の3回、地域の農業再生協議会への聞き取りで「作付意向」を公表しており、今回の数字はその着地点にあたる。
令和8年産の主食用米の作付意向は、1月末時点で136万1000ヘクタール、4月末時点で136万3000ヘクタール、6月末時点で136万ヘクタールと推移し、9月15日時点の実績も136万ヘクタールで6月末と変わらなかった。1月末時点の公表で農水省は、主食用米136万1000ヘクタールが生産量にして732万トンに相当すると示していた。
主食用米の作付面積を年ごとに見ると、平成30年産の138万6000ヘクタールから減り続け、令和4年産は125万1000ヘクタール、令和5年産は124万2000ヘクタール、令和6年産は125万9000ヘクタールだった。令和7年産で136万7000ヘクタールへ一気に10万ヘクタール余り増え、令和8年産もほぼその水準を保った。
今回の集計では、主食用米とは別に備蓄米の作付けが3万6000ヘクタールあった。令和7年産の備蓄米の作付けはゼロで、令和6年産は3万ヘクタールだった。令和8年産の備蓄米は1月末時点の意向では1万4000ヘクタールで、6月末時点の意向からは3000ヘクタール少ない。主食用米と備蓄米を合わせると139万6000ヘクタールになる。
なお、主食用米の面積は農水省統計部が公表した数字を使っている。主食用米の収穫量の見込みについては、「今年の主食用米、予想収穫量710万トン 前年より7万6000トン減 東北・西日本で長雨や日照不足」で伝えている。
飼料用米は4年前の2割を下回る
大きく減ったのは、家畜の餌にする飼料用米だ。令和8年産は2万5000ヘクタールで、前年産の4万6000ヘクタールから2万1000ヘクタール減った。統計表に載っている平成30年産以降で最も多かった令和4年産の14万2000ヘクタールと比べると、2割を下回る水準になった。
飼料用米は、米粉用米や輸出用米などと並ぶ「新規需要米」の一つで、主食用とは別の用途に向けて取組計画を届け出て作る米だ。新規需要米全体の作付面積は8万6000ヘクタールで、前年産から2万2000ヘクタール減った。令和4年産の20万6000ヘクタールの半分に届かない。WCS用稲(稲発酵粗飼料用稲)も4万3000ヘクタールと、前年産より6000ヘクタール減った。
新規需要米の中でも、増えた品目はある。輸出用米などの新市場開拓用米は1万1000ヘクタールで前年産より2000ヘクタール増え、米粉用米は4000ヘクタールから7000ヘクタールに増えた。加工用米は4万5000ヘクタールで、前年産より1000ヘクタール多い。ただ、農水省はこれらについて「令和7年産から微増にとどまる」と説明している。
令和8年産からは、酒造好適米の面積も別に示されるようになった。全国で1万7000ヘクタールあり、都道府県別では兵庫県の4829ヘクタールが突出して多い。新潟県の1722ヘクタール、岡山県の1319ヘクタールが続く。
麦・大豆も減り、戦略作物等の合計は平成30年産以降で最少
水田で作る麦は8万5000ヘクタールで前年産より1万ヘクタール減り、大豆は6万7000ヘクタールで8000ヘクタール減った。牧草などの飼料作物、そば、なたねを合わせた面積も6万1000ヘクタールと、前年産より6000ヘクタール少ない。麦や大豆などの面積は、地方農政局などが都道府県の農業再生協議会に聞き取った数字だ。
これらと飼料用米、WCS用稲などを合わせた戦略作物等の合計は34万4000ヘクタール。統計表にある平成30年産は47万ヘクタール、最も多かった令和4年産は54万9000ヘクタールで、そこから4年で20万ヘクタール余り減ったことになる。平成30年産以降で最も少ない。
平成30年産と比べると、麦は9万7000ヘクタールから8万5000ヘクタールへ、大豆は8万8000ヘクタールから6万7000ヘクタールへ減った。飼料作物・そば・なたねは10万2000ヘクタールから6万1000ヘクタールへと、4割ほど少なくなっている。
一方、水田を畑に切り替える取り組みも続いている。令和8年度に畑地化促進事業で採択された面積は、麦や大豆、飼料作物に高収益作物などを加えて3000ヘクタールだった。
東北・新潟で主食用米が減り、九州などで増える
都道府県別では、主食用米の作付けが最も大きく減ったのは福島県で、6万7000ヘクタールから6万1900ヘクタールへ5100ヘクタール減った。新潟県は10万8600ヘクタールから10万4400ヘクタールへ4200ヘクタール、秋田県は8万1200ヘクタールから7万8500ヘクタールへ2700ヘクタール、山形県は5万7100ヘクタールから5万5600ヘクタールへ1500ヘクタール、それぞれ減った。
これらの県では、備蓄米の作付けがまとまっている。備蓄米の作付面積は福島県が6632ヘクタールで最も多く、新潟県の5224ヘクタール、青森県の4096ヘクタール、山形県の3475ヘクタール、宮城県の3061ヘクタール、秋田県の2707ヘクタールが続く。東北6県と新潟県を合わせると2万5830ヘクタールで、全国の備蓄米の7割を超える。
主食用米が増えたのは、熊本県(1300ヘクタール増の3万3200ヘクタール)、岩手県(1200ヘクタール増の4万8100ヘクタール)、滋賀県(1100ヘクタール増の3万400ヘクタール)、佐賀県(900ヘクタール増の2万4600ヘクタール)、福岡県(800ヘクタール増の3万5300ヘクタール)など。北海道は9万500ヘクタールで、前年産より100ヘクタール多かった。
戦略作物等の合計は、ほとんどの道府県で前年産を下回った。減少幅が大きいのは北海道の4503ヘクタール、宮城県の3918ヘクタール、青森県の3647ヘクタール、熊本県の3415ヘクタールなど。前年産より増えたのは埼玉県(528ヘクタール増)、神奈川県、奈良県の3県だけだった。
千葉・熊本は確定値を後日公表
今回の全国値には注意点がある。令和8年8月の千葉豪雨と令和8年熊本地震の影響で、農水省は千葉県と熊本県について、9月15日時点ではなく6月末時点の作付意向を集計に使った。両県の確定値は今後公表する見込みだ。6月末時点で意向が公表されていなかった青刈り稲・わら専用稲、飼料作物、そば、なたねの4品目は、両県を除いて全国値を出している。
添付資料には、主食用米の作付面積と生産量、需要実績の推移も参考として載っている。平成16年に165万8000ヘクタールあった主食用米の作付面積は、令和5年に124万2000ヘクタールまで減った。表の令和7年の欄では、作付面積136万7000ヘクタール、生産量746万8000トンに対し、需要実績は682万6000トンだった。令和5年は生産量661万トンに対し需要実績704万9000トン、令和6年は生産量679万2000トンに対し需要実績712万7000トンと、生産量が需要実績を下回っていた。
地域農業再生協議会ごとの作付状況は、農水省のホームページで公表されている。
