農林水産省は13日、令和8年産水稲の作付面積と9月25日現在の予想収穫量を公表した。主食用米の予想収穫量は、生産者が実際に使っているふるい目幅(1.80〜1.90ミリ)のベースで710万5000トン。前年産の718万1000トンより7万6000トン少ない。主食用の作付面積が減ったことに加え、一部の地域で梅雨前線による長雨や日照不足の影響が出た。全国の作況単収指数は102と見込まれる。

面積も単収も前年をわずかに下回る

予想収穫量は、主食用の作付面積に10アール当たりの予想収量を掛けて出す。

主食用の作付面積は136万ヘクタールで、前年産の136万7000ヘクタールより7000ヘクタール減った。青刈りを含む水稲全体の作付面積は152万8000ヘクタールで、前年産の152万ヘクタールより8000ヘクタール増えている。稲を植えた田んぼ自体は広がったものの、主食用に回る分が減った形だ。農水省は、主食用が減った理由を「備蓄米等への転換等があったため」と説明している。主食用の面積は、水稲全体から備蓄米、加工用米、飼料用などの新規需要米の作付面積(9月15日時点)を差し引いた値だ。

全国の10アール当たり予想収量は524キロで、前年産の526キロを2キロ下回る。田植え期以降は総じて日照に恵まれたが、一部の地域で長雨や日照不足が続き、もみの数が前年を下回った地域があった。

もう一つの物差しである、ふるい目幅1.70ミリで選別したベースでは、10アール当たり予想収量は546キロ(前年産547キロ)、予想収穫量は740万6000トン(同746万8000トン)で、6万2000トン減る見込みだ。生産者が使うふるいから落ちる小粒の米(ふるい下米)も含めた量で、ふるい下米の一部は主食用として流通する。

ただし今回の数字はまだ「予想」だ。収穫を終えていない地域ではもみの数を実測し、その後の実り方は気象が平年並みに推移するとして推定している。農水省は、豪雨や地震などの災害、9月の長雨・日照不足で刈り取り調査が昨年より遅れている県があるとして、災害や長雨の詳しい影響は次回の公表に反映するとした。次回(10月25日現在)は11月中旬に公表する予定だ。

北は増え、東北と西日本は減る

地域による差ははっきりしている。北海道、北陸、関東・東山は田植え期以降に日照が多く、もみの数がおおむね前年並み以上に確保された。10アール当たり予想収量は北海道が562キロ(前年産比13キロ増)、北陸が520キロ(同3キロ増)、関東・東山が526キロ(同2キロ増)となった。

一方、東北、東海、近畿、中国、四国、九州は長雨や日照不足で、もみの数が前年を下回った地域があった。10アール当たり予想収量は東北552キロ(同5キロ減)、東海483キロ(同7キロ減)、近畿500キロ(同7キロ減)、中国511キロ(同8キロ減)、四国478キロ(同17キロ減)、九州486キロ(同6キロ減)。沖縄は出穂期に台風が近づいた影響もあり、294キロ(同17キロ減)だった。

量で見ると、最大の産地である東北の落ち込みが大きい。東北の主食用の作付面積は35万2800ヘクタールで前年産より8300ヘクタール減り、単収の低下と重なって予想収穫量は194万7000トンと、前年産より6万5000トン少ない。全国の減少幅7万6000トンの大半を東北が占める計算だ。北陸も面積が4700ヘクタール減り、予想収穫量は95万200トンと2万100トン減る。

逆に北海道は予想収穫量50万8600トンで1万2300トン増え、九州は作付面積が4400ヘクタール増えたことで、単収が下がっても予想収穫量は74万7900トンと1万1000トン増える見込みだ。

作況単収指数「102」と前年割れが並ぶ理由

全国の10アール当たり予想収量が前年を下回るのに、作況単収指数は「平年より良い」ことを示す102になっている。この指数は、前年産までの5年のうち最高と最低を除いた3年の平均収量を100として、その年の収量を比べたものだからだ。

統計部の累年データでは、生産者ふるい目幅ベースの10アール当たり収量は令和4年産511キロ、5年産515キロ、6年産519キロ、7年産526キロと伸びてきた。7年産の作況単収指数は102で、収量は令和に入って最も多かった。今年はそれより2キロ少ないが、過去5年の中位3年の平均と比べれば上回る。「去年よりはやや少ないが、平年よりは多い」というのが今回の作柄の姿だ。

収穫量で見ても、主食用米(生産者ふるい上米)は令和4年産と5年産が639万トン、6年産が651万9000トンだった。7年産で718万1000トンへ大きく増え、今年の予想710万5000トンも、それに次ぐ水準を保っている。

農水省は8月31日、気象データや人工衛星のデータから予測した8月15日現在の見込みを公表していた。このときは収量を数値で示さず、平均との比較で「やや上回る」が24道府県、前年との比較では「やや下回る」が21府県としていた。今回の調査はこれを、実際の刈り取りやもみ数の実測に基づく数値で裏付けた形になる。

需給見通しと備蓄米の買戻しへの影響

この予想収穫量は、国の米の需給見通しの前提になる。農水省が9月2日の食料・農業・農村政策審議会食糧部会に示した資料では、令和8年産の主食用米等の生産量を735万〜754万玄米トン(中央値745万トン)と見込んでいた。6月末時点の作付意向と過去の平均収量、8月15日現在の見込みを使って幅をもって設定したもので、資料は「9月25日現在の予想収穫量が公表された以降は、当該数値に置き換え」るとしていた。今回の1.70ミリベースの740万6000トンと単純に比べると、この幅の中に収まり、中央値をやや下回る。

同じ資料では、令和9年6月末の民間在庫量を、令和7年産米21万トンの政府備蓄米の買戻しを踏まえて246万〜283万トンと見通していた。食料品店の米価の動きはスーパーの米、5kg平均3,160円 1年前より604円安く 卸値はなお前年比16%高で伝えた。

簗和生農相は公表当日の13日、公表前に開いた記者会見で、予想収穫量については公表前としてコメントを控えた。そのうえで備蓄米の買戻しについて「先般決定をした令和7年産米21万トンについて、引渡しに向けた手続を円滑に進めていくことが重要」と述べた。さらに「適正水準100万トン程度というものを回復することは、これは必要」とし、「需給状況等をしっかりと見定めた上で、時期を逸することなく、着実に備蓄水準の回復に努めてまいりたい」と語った。

長雨については「生産者の皆さん、非常に収穫が遅れたり、こういった状況もあって、心を痛めていらっしゃる」と述べ、生産現場に寄り添って状況を注視し、適切な対応を講じる考えを示した。

9月の資料によれば、政府備蓄米の売り渡しは全体で59万トンにのぼる。備蓄水準をどの時期にどこまで戻すかは、今年の作柄と需給を見ながらの判断になる。11月中旬に出る10月25日現在の調査では、長雨や災害の影響が反映され、数字がさらに動く可能性がある。