文部科学省は9月29日、学校給食の衛生管理の決まりを定めた「学校給食衛生管理基準」の見直しを検討する有識者会議の第4回を開き、関係5団体から意見を聞いた。あわせて公表された書面による意見聴取の結果では、基準にある「食品は、過度に加工したものは避け」という記述の削除や、冷凍食品や加工食品の前日納品を認めることなどを、事業者団体と消費者団体が求めている。現行の基準は2009(平成21)年3月31日の告示で、制定から17年が経つ。
学校給食衛生管理基準は、学校給食法第9条第1項に基づいて文部科学大臣が定める基準で、食中毒などを防ぐために「維持されることが望ましい」水準を示す。施設・設備の整え方、食品の選び方、調理の温度管理、記録の取り方までを細かく定めており、2009年4月1日に施行された。有識者会議は今年3月10日に設けられ、期間は2028年3月31日までとなっている。第4回は9月29日午後3時30分から2時間、関係団体からのヒアリングを議題に開かれた。
「過度に加工したものは避け」の削除を要望
現行基準は、食品の選定について「食品は、過度に加工したものは避け、鮮度の良い衛生的なものを選定するよう配慮すること」と定めている。公益社団法人学校給食物資開発流通研究協会と一般社団法人全国消費者団体連絡会は、冷凍食品を過度に忌避する自治体があり、それが調理現場の人手不足などの解決を阻む一因になっているとして、「過度に加工したものは避け」の削除を求めた。
添加物についても、基準が「有害若しくは不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤その他の食品添加物が添加された食品」は使用しないとしている点に対し、「厚生労働省により使用を認められ、適正に使用されている食品添加物等(うま味調味料を含む)は除く」と書き加えるよう要望した。原材料の原産国についても、基準の「可能な限り、使用原材料の原産国についての記述がある食品を選定すること」という記述が特定の原産国を過度に避ける傾向を生み、価格を抑えるうえで支障が出ているとして、「食品表示基準に基づく原料原産地表示を確認する」にとどめるよう求めた。
学校給食の食材は、2025年6月と11月の第3週の調査で、地場産物が57.2%、国産食材が90.0%を占める。地場産物や国産食材の使用率は食育の数値目標にもなっており、その達成状況は食育の数値目標24のうち達成は2つ 第5次食育推進基本計画は10項目で目標を引き下げ 朝食を抜く子どもは「0%」から「5%以下」へで取り上げている。
当日納品と「同一ロット」の要求が物流とフードロスを生む
全国給食事業協同組合連合会など3団体は、基準が生鮮食品について「原則として、当日搬入する」と定めているのに対し、実際には冷凍食品やその他の加工食品まで当日納品を求められる例があると指摘した。多くの納入業者は自社で配送しており、人手不足で朝の納品業務が集中しているとして、適切な保管環境を前提に前日納品を認めるよう求めた。
検収でロットの情報を毎日点検するという規定についても、学校側が同一日付・同一ロットでの納品を条件とする例があり、端数で残った商品がフードロスになっていると訴えた。「同一日付・同一ロットであることを求めない」旨の一文の追加と、ロットがそろわない場合の保存食の予備分を納入業者の負担としないよう配慮する文言の追加を要望した。加工食品について微生物・理化学検査の結果を納品の都度求められる運用をやめること、自治体ごとに様式が異なる商品規格書を全国で使える共通の書式にすることも挙がった。
全日本パン協同組合連合会は、「調理後2時間以内に給食できるよう努めること」という規定は配送費が増えた現状では現実的でないとして見直しを求め、パンや米飯の委託加工工場には基準が適用されない旨を記述に明記するよう要望した。牛乳では、一般社団法人Jミルクが2024年の調査(131件の回答)を示し、輸送方法などの供給体制が改善されないまま10年が経った場合、県内の学校給食用牛乳について「安定供給は難しい」が33%、「一部地域で安定供給が難しい」が53%と、あわせて86%が懸念を示したと報告した。
現場は施設の老朽化と点検の多さを挙げる
公益社団法人全国学校栄養士協議会は、2025年度に771施設で衛生管理の研究会を開いたと報告した。内訳は単独校440、共同調理場299、親子方式32で、参加者は2201人。衛生管理の点検項目は施設設備から食物アレルギーまで78にわたり、学校給食日常点検票は83のチェックリストに及ぶ。課題として施設の老朽化、ドライシステムへの改修、調理室の室温管理を挙げ、温度の測定や帳簿のデジタル化で効率化を図るよう求めた。
全国消費者団体連絡会は、食中毒の原因菌やノロウイルスについて最新の科学的知見を反映させる一方、「現場が毎日確実に実行できること」を最優先にした見直しを求め、予算の確保と設備投資の支援をあわせて進めるよう要望した。
文科省の基礎資料によると、完全給食を実施する学校は2万7212校で、栄養教諭と学校栄養職員の配置は1万1200人、配置率は37.8%にとどまる。給食の調理を1校だけで行う単独実施校は小学校で45.5%、中学校で24.3%で、残りは共同調理場などが担っている。ヒアリングの対象は6団体が検討されたが、一般社団法人全国農業協同組合中央会が出席を辞退したため、5団体から聞き取った。
