農林水産省が6月16日に公表した令和7年度食育白書で、第4次食育推進基本計画(2021〜2025年度)が掲げた24の数値目標のうち、最終年度にあたる令和7年度の時点で目標に届いたのは2項目だけだったことが分かった。朝食を欠食する子どもの割合は計画作成時の4.6%から6.4%へ、20〜30歳代の若い世代は21.5%から28.2%へと、いずれも計画期間中に悪化した。

食育白書は食育基本法に基づき、政府が毎年国会に提出する報告書である。食育推進基本計画はおおむね5年ごとに作られ、第4次は16の目標のもとに24の数値目標を置いていた。

達成は給食の指導回数と郷土料理の2つだけ

目標に届いた2項目は、「栄養教諭による地場産物に係る食に関する指導の平均取組回数」と「郷土料理や伝統料理を月1回以上食べている国民の割合」だった。前者は月12回以上の目標に対して月14.1回、後者は50%以上の目標に対して54.7%となった。

白書は、このほかに計画作成時の値より改善した項目として、1日当たりの食塩摂取量の平均値(10.1グラムから9.6グラムへ)、食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民の割合(76.5%から77.2%へ)、推進計画を作成・実施している市町村の割合(87.5%から92.8%へ)の3つを挙げた。裏を返せば、残る19の数値目標は達成できなかったうえ、5年前より数字が悪くなっている。

主な悪化は次の通りだ。食育に関心を持っている国民の割合は83.2%から79.1%。朝食または夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数は週9.6回から週8.6回。1日当たりの野菜摂取量の平均値は280.5グラムから258.7グラムで、350グラムの目標からむしろ遠のいた。農林漁業体験を経験した国民(世帯)の割合は65.7%から57.1%、食育の推進に関わるボランティア団体などで活動する人は36.2万人から30.3万人に減った。

白書は要因について、単身世帯や共働き世帯の増加といった社会構造の変化、働き方の多様化に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や食料品等の物価高騰を挙げ、「数値目標の進捗については、このような社会情勢等の影響も大きく受けている」と説明した。食料品の値動きは家庭の食卓に直結する(スーパーの米、5kg平均3,160円 1年前より604円安く 卸値はなお前年比16%高)。

新しい計画は10項目で目標を緩めた

政府は6月24日、鈴木農林水産大臣を会長とする第9回食育推進会議で、2026年度からおおむね5年間を対象とする第5次食育推進基本計画を決定した。5月27日に公布・施行された改正食育基本法の内容を具体化するもので、目標年度は令和12年度(2030年度)となる。

第4次と共通する指標で目標値を突き合わせると、10項目で数値が緩められている。朝食を欠食する子どもの割合は「0%」から「5%以下」へ、若い世代は「15%以下」から「25%以下」へ。共食の回数は「週11回以上」から「週10回以上」へ。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている国民の割合は「50%以上」から「45%以上」へ、若い世代は「40%以上」から「30%以上」へ下がった。農林漁業体験は「70%以上」から「60%以上」、環境に配慮した農林水産物・食品を選ぶ国民の割合は「75%以上」から「60%以上」、食育のボランティアは「37万人以上」から「31万人以上」になっている。

一方、第4次で達成した2項目は逆に引き上げられた。栄養教諭の指導回数は「月12回以上」から「月15回以上」、郷土料理を月1回以上食べる国民の割合は「50%以上」から「60%以上」となる。食塩摂取量は「8グラム以下」から「7グラム」へ強めたが、達成期限は令和14年度(2032年度)に先送りした。

「大人の食育」を新たな柱に

第5次計画は、重点事項として「学校等での食や農に関する学びの充実」「健全な食生活の実現に向けた『大人の食育』の推進」「国民の食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大」の3つを定めた。これまで子どもを中心に語られてきた食育の対象を、働く世代や高齢者を含む大人に広げる点が特徴になる。

目標の立て方も変えた。第4次では24の数値目標が一つの表に並んでいたが、第5次は「国民一人一人が自ら実践する目標(個人目標)」と「地域等が主体となって取り組む目標(地域目標)」に分けた。朝食の欠食や栄養バランスは個人目標、学校給食での地場産物の活用や市町村の推進計画づくりは地域目標にあたる。誰が動けば数字が動くのかを対応させ、少なくとも年1回は達成状況を調べて公表し、要因を分析して施策を見直すと明記した。

学校給食の目標では、地場産物・国産食材の使用割合を「維持・向上した都道府県の割合」で測る方式を引き継いだうえで、基準となる年度を令和元年度から令和7年度に改めた。第5次計画によると、国産食材を使用する割合は令和7年度に全国平均で90.0%に達しており、高い水準を保つこと自体を目標に据える形になる。