厚生労働省は10月6日、人口動態統計月報(概数)の令和8(2026)年5月分を掲載した。1〜5月に生まれた日本人の子は26万3635人で、前年同期の26万3421人を214人(0.1%)上回った。死亡は65万3391人で前年同期より5万5243人(7.8%)少なく、婚姻は19万8983組と前年同期の19万9010組からほとんど動かなかった。
出生は4月に増え、5月に減った
月報の第1表と第2表で、2026年の出生数を月ごとに前年同月と並べると、1月は5万1874人(前年5万1816人)、2月は4万7904人(同4万8256人)、3月は5万752人(同5万767人)、4月は5万6441人(同5万4686人)、5月は5万6664人(同5万7896人)だった。
前年同月を上回ったのは1月と4月で、とくに4月は1755人多かった。逆に5月は1232人少なく、減少率は2.1%。2月は352人、3月は15人の減少だった。1〜5月を足し合わせると、増えた月と減った月がほぼ相殺し、累計で214人の増加にとどまった。
人口千人あたりの出生率(年換算)は、1〜5月の累計で5.4と、前年同期の5.3をわずかに上回った。5月単月では5.6で、前年同月の5.7を下回っている。
5月の出生を都道府県別にみると(第3表)、最も多いのは東京都の7892人で、神奈川県4396人、埼玉県3369人、千葉県2909人と首都圏が続いた。北海道は1789人だった。
「概数」どうしの比較という前提
この数字を読むうえで押さえておきたいのは、比べている前年の数値も確定数ではない点だ。月報の注は「前年の数値は概数である」と明記している。月報は、市区町村が受理した出生・死亡・婚姻・離婚・死産の届け出をもとに、日本で起きた日本人の事象を毎月集計したものだ。
厚労省の「調査の概要」によると、人口動態統計は3段階で公表される。最も早いのは調査月の約2か月後に出る「速報」で、日本にいる外国人や外国にいる日本人も含む。次が調査月の約5か月後に出る「月報(概数)」で、日本における日本人に絞る。1〜12月分をまとめた月報年計(概数)は翌年6月上旬に、これに修正を加えた年報(確定数)は翌年9月に公表される。同省は、年計の数値は確定数と「若干相違する」が、大局的な観察にはほとんど支障はないとしている。
厚労省が9月30日に公表した2025年の確定数では、出生数は67万1270人で過去最少となり、10年連続で減った。前年からの減少は1万4903人、減少率は2.2%で、同省は「△5%台で推移していた近年と比べて緩やか」と説明している。母の年齢が30〜34歳の出生数は増えたという。
2025年の確定数に至る経緯と合計特殊出生率は、「2025年の出生数は67万1270人で過去最少 合計特殊出生率1.14も過去最低で10年連続の低下」で詳しく扱っている。
2026年の1〜5月が前年同期を上回ったことは、少なくとも年の前半では2025年と同じ水準で推移していることを示す。ただし差は214人、率にして0.1%と小さく、5月単月では減少に転じている。年間で減少が止まるかどうかは、6月分以降の月報と、来年公表される年計を待たないと分からない。
死亡は5万5000人余り減少 感染症による死亡が縮小
1〜5月の死亡数65万3391人は、前年同期の70万8634人より5万5243人少ない。月別では1月の差が大きく、2026年1月は14万5818人で、前年1月の17万2287人より2万6469人少なかった。5月単月は12万1194人で、前年同月より2083人(1.7%)減った。
死因別の第4表をみると、1〜5月のインフルエンザによる死亡は1171人で、前年同期の5358人から4187人減った。新型コロナウイルス感染症による死亡は3155人で、前年同期の1万3582人から1万427人減っている。肺炎は3万3377人(前年同期4万666人)、心不全は4万1393人(同4万5425人)で、いずれも減少した。
一方で、死因の分類上「老衰」とされた死亡は5月単月で1万7234人と、前年同月の1万6426人より808人多かった。1〜5月の累計では9万2798人で、前年同期の9万4171人を下回っている。悪性新生物(がん)による死亡は1〜5月で15万4092人と、前年同期の15万5567人とほぼ同じ水準だった。自殺は1〜5月で7532人(前年同期7728人)だった。
出生数から死亡数を引いた自然増減は、1〜5月で38万9756人の減少だった。前年同期の44万5213人減と比べ、減少幅は5万5457人小さい。出生がほぼ横ばいだったのに対し死亡が大きく減ったためで、自然減の縮小は死亡側の動きによるところが大きい。
婚姻は横ばい、離婚は4.1%減
1〜5月の婚姻件数は19万8983組で、前年同期より27組少なかった。月別では3月が5万7078組と前年同月の5万4342組を2736組上回った一方、5月は3万9698組で前年同月の4万1870組より2172組(5.2%)少なかった。4月も2万9500組で787組減っている。
2025年の確定数では婚姻件数は48万9158組で、前年より4066組増えていた。2026年は5月までのところ、その水準をほぼ保っている。
離婚は1〜5月で7万3661組となり、前年同期の7万6843組より3182組(4.1%)少なかった。5月単月は1万3154組で、前年同月の1万4114組より960組少ない。2026年4月に施行された改正民法で離婚後の共同親権が選べるようになっており、5月分の月報は施行2か月目の親権の内訳も集計している。その結果は「共同親権、5月は子2248人で21.5% 施行初月4月の24.7%から下がる 母だけが親権を行う子は67.3%から70.1%へ」で伝えた。
乳児死亡と死産
1〜5月の乳児死亡(生後1年未満の死亡)は483人で、前年同期の549人から66人減った。乳児死亡率は出生千人あたり1.7で、前年同期の2.0を下回った。生後4週未満の新生児死亡は216人(前年同期242人)だった。
死産は1〜5月で6341胎と、前年同期の6411胎より70胎少ない。内訳は自然死産が2754胎(同2810胎)、人工死産が3587胎(同3601胎)だった。妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡を合わせた周産期死亡は933で、前年同期の911をやや上回った。
月報の用語では、死産は妊娠満12週以後の死児の出産を指す。このうち人工死産は、胎児が母体内で生存していることが確実なときに、人工的な処置を加えたことで死産に至ったものをいい、それ以外は自然死産に分類される。1〜5月の死産率は出産(出生と死産の合計)千あたり23.5で、前年同期の23.8を下回った。5月単月では人工死産が659胎と、前年同月の740胎から81胎(10.9%)減った。
なお、都道府県別の集計は、出生は子の住所、死亡は死亡者の住所、死産は母の住所、婚姻は夫の住所によって分類している。死因は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回改訂(ICD-10)」に準拠した統計分類で集計されている。
