厚生労働省は10月6日、人口動態統計月報(概数)の令和8(2026)年5月分を掲載した。5月に離婚を届け出た父母のもとで、父母双方が親権を行う未成年の子は2248人で、親権を行う子1万469人の21.5%を占めた。4月1日に施行された改正民法で離婚後の共同親権が選べるようになって2か月目の集計で、施行初月4月の24.7%から下がった。

母だけが親権を行う子が7割

数字は月報の統計表「離婚件数及び親権の種類別にみた親権を行う子(親が離婚した未成年の子)の数」による。5月に届け出られた離婚は1万3154組で、そのうち親権を行う未成年の子がいたのは6107組だった。残りの7047組には、親権を行う未成年の子がいない。

子1万469人の内訳は、母(妻)だけが親権を行う子が7335人で70.1%、父母双方が2248人で21.5%、父(夫)だけが880人で8.4%。このほか、親権者の指定を求める家事審判または家事調停の申立てがされている子が6人いる。

施行初月の4月は、離婚1万5224組のうち子がいたのが7294組で、子の総数は1万2558人だった。母だけが8454人で67.3%、父母双方が3103人で24.7%、父だけが985人で7.8%、家事審判・調停の申立て中が16人である。2か月で、父母双方の割合は24.7%から21.5%へ下がり、母だけの割合は67.3%から70.1%へ戻した。

施行前の3月は母だけが89.2%

法務省民事局の資料は、今回の改正内容の一つを「離婚後の親権者に関する規律を見直し」と整理している。改正法が施行された4月1日より前に離婚した父母は、父母の一方しか親権者にできなかった。同じ統計表の3月分を見ると、親権を行う子1万6205人のうち母だけが親権を行う子が1万4452人で89.2%、父だけが1753人で10.8%。1月は1万1158人のうち母だけが87.7%・父だけが12.3%、2月は1万743人のうち母だけが89.1%・父だけが10.9%で、いずれも父母双方の欄は空欄だ。

3月と4月以降を並べると、母だけの割合は89.2%から67.3%、70.1%へ下がり、父だけも10.8%から7.8%、8.4%へ下がっている。新しく生まれた父母双方という区分は、母だけ・父だけの両方が減った分を取り込んだ形だ。制度の変更が統計の姿を変えた例としては、相手の落ち度を主張しなくても離婚できる制度の導入後に申し立ての形が変わった離婚までの結婚期間が13.0年で過去最長 英イングランドとウェールズ、1985年の8.9年から延びる 落ち度を問わない新制度での解消が94.2%がある。

共同で行使するが、急迫の事情と日常の行為は単独でできる

根拠法は民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)で、法務省民事局の資料によると施行期日は令和7年10月31日に閣議決定され、11月6日に公布された。改正は親の責務等に関する規律の新設、親権・監護等に関する規律の見直し、養育費の履行確保、安全・安心な親子交流の実現、財産分与・養子縁組などの見直しの5本柱からなる。

親権者の協議が調わない場合は家庭裁判所が判断する。法務省のQ&A資料は、新民法819条7項により、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無や、協議が調わない理由その他の事情を考慮して「父母が共同して親権を行うことが困難と認められるとき」には、裁判所が「必ず単独親権としなければならない」と説明している。身体的なDV(配偶者からの暴力)に限らず、精神的・経済的・性的なDVによって父母が互いに話し合うことができない状態にある場合も、この要件に当てはまることがあるとしている。

父母双方が親権者になった場合、新民法824条の2は親権を父母が共同して行うと定める。ただし子の利益のため急迫の事情があるとき(同条1項3号)と、監護及び教育に関する日常の行為(同条2項)は、一方が単独で行使できる。Q&A資料は、DVや虐待からの避難が必要な場合は急迫の事情に当たり、認められるのは「現にDVや虐待の被害に遭っているときやその直後のみに限られず、加害行為が現に行われていない間も、急迫の事情が認められる状態が継続し得る」としている。

施行前に離婚した父母も対象外ではない。Q&A資料は、施行後はそれまでに離婚している父母も「父母の双方を親権者とすることを含む」親権者の変更を申し立てることができ、裁判所が子の利益のため父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮して判断すると説明する。改正法附則6条により、施行日前にされた親権者変更の申立てでも、家庭裁判所の判断が施行日後になれば単独親権から共同親権への変更が可能だ。

離婚そのものは減っている

5月の離婚1万3154組は、前年同月の1万4114組より960組(6.8%)少ない。1〜5月の累計は7万3661組で、前年同期の7万6843組より3182組(4.1%)減った。婚姻は5月が3万9698組で前年同月の4万1870組より2172組(5.2%)少なく、1〜5月累計は19万8983組で前年同期の19万9010組とほぼ同じ水準だ。

人口動態統計は、戸籍法と死産の届出に関する規程により届け出られた出生・死亡・婚姻・離婚・死産をもとにした統計で、2025年の出生数は67万1270人で過去最少 合計特殊出生率1.14も過去最低で10年連続の低下 人口動態統計の確定数もこの統計の年報にあたる。月報の数値は概数で、年報の確定数では修正が加えられる。

親権の種類別の統計表が月報に載り始めたのは4月分からで、3月分までの月報には存在しない。6月分以降も、施行後の月が1か月ずつ積み上がる。