厚生労働省は9日、9月28日から10月4日までの第40週の新型コロナウイルス感染症の発生状況を公表した。全国の定点医療機関から報告された患者は5635人で、1医療機関あたり1.51人だった。前週の1.25人から増えたものの、昨年同じ週の4.82人(1万8587人)と比べると3分の1以下の水準にとどまっている。
夏から秋にかけての推移
厚労省が毎週公表している資料を5月末からさかのぼると、全国平均は第22週(5月25〜31日)の0.36人を底に増え始め、第26週(6月22〜28日)に1.08人、第29週(7月13〜19日)に2.12人まで上がった。その後はいったん下がり、第33週(8月10〜16日)に1.12人、第34週(8月17〜23日)に1.18人となった。
8月末から再び増え、第35週(8月24〜30日)は1.47人、第36週(8月31日〜9月6日)は2.08人、第37週は2.44人と続き、第38週(9月14〜20日)に2.65人となった。5月末以降の各週で最も高い値だ。第39週(9月21〜27日)は1.25人と半分以下に下がり、第40週は1.51人に戻した。
第39週には、敬老の日(9月21日)、祝日法による休日(同22日)、秋分の日(同23日)の3日の休日が含まれていた(内閣府「国民の祝日について」)。同じ週は、インフルエンザの全国平均も第38週の8.48人から7.17人に下がり、第40週に11.35人へ増えている。インフルエンザの流行の詳細はインフルエンザ全国11.35人、注意報の目安10人超え 16都県が上回るで伝えた。
昨年との違いは大きい。昨年は同じ時期に第34週の8.73人、第37週の8.43人と8人台が続き、第40週でも4.82人あった。今年は夏から秋にかけて、どの週も3人を超えていない。
埼玉・長野など東日本で高め
第40週の都道府県別では、埼玉県の3.10人が最も多く、長野県2.64人、群馬県2.51人、山梨県2.50人、神奈川県2.21人、新潟県2.11人、茨城県と栃木県の2.00人が続いた。東京都は1.76人、愛知県は1.76人、大阪府は1.05人だった。
少なかったのは佐賀県の0.38人、宮崎県の0.50人、熊本県の0.51人、福岡県の0.59人などで、九州では長崎県(1.10人)を除く6県が1人を下回った。
全国平均が今年の5月末以降で最も高かった第38週では、埼玉県が5.87人、長野県が5.55人、栃木県が4.72人、山形県が4.46人、新潟県が4.16人と、関東甲信越や東北の一部で4人を超えていた。
年代別では、第40週の報告数のうち10歳未満が1474人、10〜14歳が915人で、合わせて全体の4割を超えた。9月に入ってからの増え方を年代別の定点当たり報告数で見ると、10〜14歳は第36週の0.18人から第38週に0.55人、15〜19歳は0.09人から0.25人に増えた。一方、20歳以上の各年代は第36週から第40週まで0.07〜0.15人の幅でほぼ横ばいだった。
入院は週258人、6割近くが70歳以上
全国約500か所の基幹定点医療機関から届け出があった新型コロナによる入院患者は、第40週に258人だった。第36週から順に287人、277人、324人、262人と、週250〜330人の間で推移している。
第40週の258人を年代別に見ると、80歳以上が87人、70歳代が63人で、合わせて150人と6割近くを占めた。集中治療室(ICU)に入った人は10人、人工呼吸器を使った人は5人だった。
2025年12月29日以降に入院した人の累計は1万5197人に上る。このうち80歳以上が6487人、70歳代が3559人で、70歳以上が全体のおよそ3分の2を占める。ICUに入った人は累計340人、人工呼吸器を使った人は186人だった。
月別では、1月が3469人、2月が3521人と多く、春にかけて減って5月は512人だった。夏に再び増え、8月は1418人、9月は1121人だった。
厚労省の「新型コロナワクチンについて」のページによると、令和7年度(2025年度)に新型コロナで亡くなった人は約2万1500人で、そのうち65歳以上が98%、80歳以上が81%を占めた。
定点把握とはどういう仕組みか
新型コロナは2023年5月8日に感染症法上の5類感染症へ移行し、すべての患者を数える全数把握から、都道府県が指定した医療機関の報告で動きをつかむ「定点把握」に切り替わった。発表される「定点当たり報告数」は、1週間に報告された患者数を定点医療機関の数で割った平均だ。
厚労省の資料は、2025年4月7日に急性呼吸器感染症(ARI)のサーベイランスが始まり、定点医療機関の設置基準が変わって定点の数も変わったことから、データの解釈に注意が必要だと注記している。それより前の年と単純に並べて比べるときには、この点を踏まえる必要がある。
入院患者の数は、2023年9月25日以降、全国約500か所の基幹定点医療機関からの届け出で集計している。重症化の動きは、外来の定点報告とは別にこの数字で追う形になっている。
定期接種が10月から、次回公表は16日
厚労省によると、新型コロナワクチンの定期接種は2026年10月から自治体が実施している。対象は65歳以上の人と、60〜64歳で心臓、腎臓、呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活が極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能の障害で日常生活がほとんど不可能な人だ。費用は原則として自己負担がある。
厚労省は同じページで、高齢者は重症化リスクが高く、年齢が高いほど疾病負荷が高いとして、高齢者施設の入所者などへの接種の機会を確保することが重要だとの考えを示している。
日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会は9月1日にまとめた「2026年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」で、10月から始まる流行株に合わせた最新のワクチンの定期接種を「強く推奨」した。見解によると、定期接種に使われるワクチンは5種類で、オミクロン株のJN.1系統であるXFGやNB.1.8.1に合わせた製剤が供給される。mRNAワクチンのほか、組換えたんぱく質ワクチンや自己増幅型のmRNAワクチンも含まれる。
見解は、65歳以上の新型コロナによる死亡数は減少傾向にあるものの、2025年は2万1003人で、インフルエンザの6333人を大きく上回ったと指摘した。新型コロナは5類移行後も冬と夏に流行を繰り返しているとし、変異株が繰り返し出現していることをその要因の一つに挙げている。高齢者の接種率は十分でないとして、今冬と来夏の流行に備えるよう求めた。
インフルエンザの流行が早い時期から広がるなか、新型コロナの報告数は昨年を大きく下回る水準で推移している。厚労省は第41週(10月5〜11日)分を16日に公表する予定だ。
