文部科学省がまとめた令和7年度学校保健統計で、むし歯(う歯)のある子どもの割合が幼稚園・小学校・中学校・高等学校のいずれでも過去最少となった。幼稚園19.44%、小学校30.83%、中学校25.23%、高等学校32.77%で、小学校と高等学校は4割を、中学校は3割を、幼稚園は2割をそれぞれ下回った。調査は学校で行われた健康診断の結果をもとに令和7年4月1日から6月30日までに実施され、結果は令和8年2月13日に公表された。

10年前と比べると、小学校は5割超から3割へ

同じ調査の平成27年度の数値と並べると、減り方の大きさが分かる。むし歯のある者の割合は、幼稚園が36.23%から19.44%へ、小学校が50.76%から30.83%へ、中学校が40.48%から25.23%へ、高等学校が52.46%から32.77%へと、4つの学校種すべてでほぼ半分近くまで下がった。小学生は10年前には2人に1人がむし歯を持っていたが、いまは3人に1人を下回る。

前の年度である令和6年度と比べても、幼稚園は20.74%から19.44%、小学校は32.89%から30.83%、中学校は26.50%から25.23%、高等学校は34.70%から32.77%へと、4つとも下がった。単年の揺れではなく、長く続く減少傾向の延長線上にある。

なお文部科学省は、令和2年度から令和5年度の数値については調査時期の異なる数値が含まれている影響があるため、他の年度と単純に比べられないと注意書きを付けている。「過去最少」も、この4年度を除いた比較である。

国の目標は「12歳児のむし歯ゼロが9割を超える県を25に」

むし歯が減っているとはいえ、国は歯の健康づくりでさらに先の水準を目標に置いている。

厚生労働省は令和5年10月5日、「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次)」(歯・口腔の健康づくりプラン)を告示した。計画期間は令和6年度から令和17年度までの12年間で、13の指標に目標値を設けている。

このうち子どもに関わる指標の一つが「12歳児でう蝕のない者の割合が90%以上の都道府県数」だ。データの出どころは、今回の学校保健統計調査そのものである。現状値は令和2年度で0都道府県。令和14年度までにこれを25都道府県にするのが目標となっている。

目標の置き方には理由がある。厚生労働省の資料によると、令和2年度の学校保健統計調査で12歳児のむし歯のない者の割合は全国平均が約70.6%、最も多い都道府県で80%を超えていた。全国平均を上げるだけでなく、都道府県の間の差を縮めることを狙って、あえて「90%以上の県がいくつあるか」という形の指標にしたという。

もう一つ、3歳児について「4本以上のむし歯のある歯を持つ者の割合」を令和14年度までに0%にする目標も掲げられている。

今回の令和7年度の結果は中学校全体で25.23%、つまりむし歯のない生徒が74.77%という数字で、国の指標が見ている12歳児という年齢区切りとも、都道府県別という単位とも切り口が違うため、そのまま目標との距離を測ることはできない。ただ、全国平均の水準が7割台から動いてきていることは読み取れる。

視力は逆の方向へ 高等学校で7割超

歯とは対照的に、目の数字は改善していない。

裸眼視力1.0未満の者の割合は、学校段階が進むほど高くなる。令和7年度は幼稚園23.90%、小学校36.07%、中学校59.35%、高等学校71.51%だった。高校生はおよそ10人に7人が、裸眼では視力1.0に届かない計算になる。

10年前の平成27年度は、幼稚園26.82%、小学校30.97%、中学校54.05%、高等学校63.79%だった。幼稚園だけは下がっているが、小学校・中学校・高等学校はいずれも当時より高い。前年度の令和6年度と比べると、幼稚園(26.53%)、小学校(36.84%)、中学校(60.61%)は下がった一方、高等学校は71.06%から71.51%へ上がった。

このほか、鼻・副鼻腔疾患のある者の割合は小学校11.36%、中学校10.87%で、ともに1割程度だった。

5歳から17歳まで、抽出で年1回

この調査は昭和23年度から毎年続いている。根拠になっているのは学校保健安全法で、第13条は「学校においては、毎学年定期に、児童生徒等の健康診断を行わなければならない」と定める。同法は学校医に加え、大学以外の学校には学校歯科医と学校薬剤師を置くものとするとも規定している。学校で毎年行われる健康診断そのものが、この統計の土台になっている。

対象は国立・公立・私立の幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校に通う満5歳から17歳までの子どもの一部で、全数ではなく抽出調査である。令和7年度は、身長・体重を測る発育状態調査が全体の5.2%にあたる64万7623人、疾病・異常の有無を見る健康状態調査が25.4%にあたる314万3588人を対象にした。

発育状態のほうは、身長・体重とも平成10年度前後まで伸びたあと横ばいが続いている。令和7年度の平均身長は17歳男子が170.6センチ、17歳女子が157.9センチ。肥満傾向児の割合は男女とも11歳前後が高く、男子は9歳以降おおむね1割を超えており、11歳男子で13.24%だった。痩身傾向児は10歳ごろまで上昇し、その後は3%前後で、12歳女子の4.46%が最も高い。

文部科学省は、この結果を都道府県などに知らせたうえで、国と地方の学校保健に関する政策を検討する基礎資料として使うとしている。また、今後この調査で特別支援学校をどう扱うかについては現在検討中だという。