11月6日午後1時30分ごろ、信用金庫の共同システムで障害が起き、窓口の入出金や振り込み、ATM、インターネットバンキングが使えなくなった。本紙が各金庫のホームページを確認したところ、静岡から九州までの少なくとも39金庫が同じ日付で取引の停止を告知していた。岐阜信用金庫は同じ日付で各種サービスを全て再開したと告知したが、午後5時ごろに約190のサイトを開き直した範囲で、内容まで読めた他の金庫に復旧の告知は無かった。読んだ告知の中に、原因を特定したものも無い。
午後1時30分ごろ一斉に止まる
発生の時刻を示した金庫の告知は、ほぼ同じ時間帯を挙げている。福岡信用金庫はトップページで「本日、13時30分頃しんきん共同センターの通信障害により窓口やATM、インターネットバンキング等すべての取引ができなくなっています」と告知した。富士、三島、尾西、碧海、倉吉、中兵庫の各金庫も午後1時30分ごろとし、京都北都信用金庫は午後1時33分ごろと記している。
障害の場所については、金庫によって書き方が異なる。福岡、尾西、豊田、倉吉の各金庫は「しんきん共同センター」と書き、倉吉信用金庫はそのうちの「西日本センター」と特定した。大阪シティ信用金庫は「しんきん共同オンラインシステム」、中兵庫信用金庫は「共同オンラインシステム」と呼んでいる。尾西、豊田の両金庫は、止まったのは「勘定系システム」だと説明した。勘定系は、預金の残高や入出金を記録する、金融機関の中核のシステムである。
各金庫の告知に、原因を特定した記述は見当たらない。福岡信用金庫は「通信障害」と表現したが、富山、広島みどり、京都北都などの金庫は原因を調査中としている。
窓口もATMも、他行のATMも使えない
止まった取引の範囲は広い。大阪シティ信用金庫は「窓口・ATM・インターネットバンキング・他行キャッシュカードによるATM取引等による勘定に関わる全ての取引」が利用できないと告知した。信金のキャッシュカードは、コンビニや他の金融機関のATMでも使えない。尾西、豊田、永和、熊本などの金庫がその旨を明記している。
| 告知した金庫 | 使えないと告知した取引 |
|---|---|
| 三島 | 店頭での入出金、振り込み、ATM、ネットバンキング、その他すべてのオンラインサービス |
| 尾西 | 窓口業務、ATM(提携先・コンビニを含む)、ネットバンキング、でんさい |
| 碧海 | 窓口業務、ATM(提携先・コンビニを含む)、アプリ、ネットバンキング。口座振替は一部が遅延または保留 |
| 豊田 | 窓口業務、ATM(提携先・コンビニを含む)、アプリ、ウェブバンキング。口座振替は一部が遅延または保留 |
| 熊本 | 窓口取引、ATM(他行・コンビニを含む)、ネットバンキング、通帳アプリ、ことら送金、Bank Pay |
| 九州ひぜん | ATM、ネットバンキング、Pay-easy、ことら送金、Bank Pay、電子マネーのチャージ、J-Debit |
出典: 三島、尾西、碧海、豊田、熊本、九州ひぜんの各信用金庫の告知
現金の出し入れだけではない。九州ひぜん信用金庫の告知には、税金や公共料金を支払うPay-easy、少額の送金サービス「ことら」、スマートフォン決済のBank Pay、デビットカードのJ-Debitが並ぶ。尾西信用金庫は、手形に代わる電子記録債権のでんさいも挙げた。事業者の資金のやり取りにも影響が及んでいる。
少なくとも39金庫、急ぐ振り込みは信金以外で
本紙は6日午後、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州の信用金庫のホームページを開き、読めた約120のサイトのうち少なくとも39金庫で、11月6日付の障害の告知を確認した。富士、三島、浜松いわたといった静岡県の金庫から、富山、のと共栄など北陸の金庫、奄美大島信用金庫までが含まれる。この数は本紙が日付まで確かめられたものに限っており、実際に影響を受けた金庫はさらに多い可能性がある。
中兵庫信用金庫は経過報告で「全国の信用金庫」で取引ができなくなっていると説明した。ただ、関東、東北、北海道、甲信越の金庫のサイト約100件を見た範囲では、同じ日の障害の告知は確認できなかった。影響を受けた金庫の総数は、確認できていない。全国信用金庫協会と信金中央金庫のトップページ、金融庁の報道発表にも、午後5時ごろの時点で本件の掲載は見当たらなかった。
口座振替について、碧海と豊田の両信用金庫は「一部処理の遅延または保留」が出ると告知した。どの引き落としが対象になるのかは、告知からは読み取れない。
利用者への案内も金庫によって異なる。大阪シティ、唐津、永和の各信用金庫は、急ぐ振り込みなどについて信用金庫以外の金融機関を使うよう呼びかけた。九州ひぜん信用金庫は「本日中の振込がある場合は、他行にてお振込願います」と案内している。岐阜信用金庫は、再開前の告知で、急ぐ場合は取引のある店舗へ相談するよう求めていた。碧海、三島などの金庫は、告知に相談窓口の電話番号を載せている。
熊本第一信用金庫は「オンライン障害が復旧次第、直ちに通常処理を行います」と告知した。一方、福岡、富山、浜松いわたの各金庫は再開の見通しが立っていないとし、熊本信用金庫も復旧の時間は未定としている。
岐阜信用金庫も当初は再開の見通しが立っていないと告知していたが、その後の「サービス復旧のお知らせ」で、ATMやネットバンキング、アプリバンキングなどの各種サービスを「全て再開いたしました」と伝えた。再開の時刻は書いていない。東春信用金庫もトップページに「システム障害の復旧について」と掲げたが、資料本文は開けず、内容と日付は確認できていない。
金融庁への報告の仕組み
金融機関のシステム障害には、当局への報告の決まりがある。金融庁の「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」は、システムの障害の発生を認識したら直ちに当局へ報告するよう求めている。報告の対象には、預金の払い戻しや為替といった決済機能に遅延や停止が生じているものが挙がる。金融庁は9月に、この報告の様式を改めた(金融機関の障害報告、10月1日から共通様式へ サイバー攻撃によらないシステム障害も同じ用紙で 監督指針など17本を一括改正)。
今回の障害を起こしたセンターの運営主体と、システムの構成については、本紙が開いた資料では確認できていない。信用金庫向けのシステムを手がける、しんきん情報システムセンターの沿革によると、同社は1985年に設立され、内国為替などを扱う全信金システムを運営してきた。同社のサイトに今回の障害に触れた告知は見当たらなかった。
各金庫は、復旧の状況をホームページや店頭で知らせるとしている。
