日本銀行は10月13日午前8時50分、2026年9月の「貸出・預金動向」速報を公表した。都市銀行などの大手行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫を合わせた貸出の月中平均残高(平残)は681兆9747億円で、前年同月より5.3%増えた。伸び率は8月(訂正後)と同じだった。実質預金と譲渡性預金(CD)を合わせた平残は1071兆5876億円で、前年同月比1.6%増。貸出の伸びが預金の伸びを3倍以上上回る状態が続いている。日銀は6月と9月の金融政策決定会合で政策金利を段階的に引き上げており、今回の速報は、2度目の利上げを決めた9月の残高を示している。

貸出は都銀等が7.7%増、地銀IIは1.9%増にとどまる

業態別に見ると、貸出の伸びを引っ張っているのは大手行だ。日銀が「都銀等」として集計する10行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、埼玉りそな銀行、SBI新生銀行、あおぞら銀行)の貸出平残は280兆9598億円で、前年同月比7.7%増だった。7月は7.9%増、8月は7.8%増(訂正後)で、伸び率は高い水準を保ちながらわずかずつ縮んでいる。

地方銀行(地銀)と第二地方銀行(地銀II)を合わせた貸出平残は320兆7868億円で4.1%増。内訳は地銀が264兆6769億円で4.5%増、地銀IIが56兆1099億円で1.9%増だった。地銀IIは7月の2.4%増から8月に2.0%増、9月に1.9%増と鈍っている。信用金庫は80兆2281億円で2.0%増と、8月と同じ伸びだった。

大手行と地銀・地銀IIを合わせた「銀行計」は601兆7466億円で5.7%増。7〜9月の3か月平均では銀行・信金計が5.3%増となり、4〜6月の5.6%増から伸びが小さくなった。都銀等は4〜6月の8.4%増から7〜9月は7.8%増へ、地銀IIは2.6%増から2.1%増へ、それぞれ伸びが縮んでいる。一方で信用金庫は1.7%増から1.9%増へと伸びを高めた。

参考として掲載されている外国銀行の円貸出は7兆6280億円で、前年同月比14.5%増だった。7月の28.3%増、8月の25.6%増から伸び率がほぼ半分になっている。

前年同月からの増加額を、公表された平残と伸び率から逆算すると、銀行・信金計の貸出はおおよそ34兆円増えた計算になる。

預金は1.6%増、地銀IIは前年割れが続く

預金側では、日銀は表面上の預金から未決済の手形・小切手を除いた「実質預金」にCDを加えて集計している。都市銀行、地銀、地銀IIの3業態と信用金庫を合わせた平残は1071兆5876億円で、前年同月比1.6%増だった。7月、8月と同じ伸び率で、増加額は逆算でおよそ17兆円になる。

業態別では、都市銀行5行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)が488兆1151億円で2.7%増と、8月と並んで最も伸びた。地銀は348兆8383億円で1.2%増、地銀IIは72兆4169億円で前年同月を0.6%下回った。地銀IIの預金は7月が0.5%減、8月が0.7%減で、前年割れが3か月続いている。7〜9月平均でも0.6%減で、4〜6月平均の0.1%増からマイナスに転じた。信用金庫は162兆2173億円で0.1%増と、ほぼ横ばいだった。

貸出と預金を業態別に並べると、大手行は貸出が7.7%増、預金が2.7%増、地銀IIは貸出が1.9%増、預金が0.6%減となる。ただし、日銀は貸出の「都銀等」と預金の「都銀」で集計対象の銀行が異なると注記しており、両者の比率をそのまま比べることはできない。

半年前は預金の伸びが1%台前半だった

日銀が4月10日に公表した2026年3月分の速報と並べると、この半年の動きが見える。3月分の時点で、3業態・信用金庫の預金平残は2025年10〜12月が前年同期比0.9%増、2026年1〜3月が1.2%増だった。今回の速報では4〜6月が1.9%増、7〜9月が1.6%増で、預金の伸びは春に高まったあと、夏にかけてやや落ち着いた形になる。

都市銀行の預金は、3月分の時点で2025年10〜12月が0.7%増、2026年1〜3月が1.1%増だった。今回は4〜6月が2.6%増、7〜9月が2.5%増で、伸び率は0.7%増から2.5%増へ高まった。信用金庫は、3月分の時点で10〜12月が0.3%減、1〜3月が0.1%減とマイナスだったが、4〜6月以降は0.1〜0.3%増のわずかなプラスで推移している。

貸出のうち都銀等は、3月分の時点で2025年10〜12月が5.1%増、2026年1〜3月が5.9%増だった。4〜6月の8.4%増でいったん大きく伸び、7〜9月は7.8%増となっている。

なお、日銀は地銀と地銀IIについて、2026年1月と5月に銀行の合併による統計の不連続があると注記している。不連続がある系列は、その時点の前後で数字が連続していない。地銀IIの預金が前年を下回っている理由について、速報は説明していない。

「貸出・預金動向」とは何か 月中の平均で残高を測る

「貸出・預金動向」は、日銀金融機構局が毎月まとめる統計で、銀行と信用金庫がどれだけ貸し、どれだけ預金を集めているかを、翌月に速報で示す。9月分は10月13日、8月分は9月8日に公表された。月末1日の残高ではなく、月中の毎日の残高を平均した「平残」で示すため、月末に資金が一時的に出入りしても数字がぶれにくい。

貸出の範囲は、国内店の円建て貸出(オフショア勘定を除く)、国内店と海外店の外貨建てインパクトローン、海外店のユーロ円インパクトローンを合わせたもので、いずれも居住者向けに限る。金融機関向けと中央政府向けの貸出は含まない(外国銀行の数字を除く)。信用金庫の数字は信金中央金庫を通じて集計している。

日銀は同じ10月13日、過去の計数を訂正したとも発表した。銀行・信金計、銀行計、地銀・地銀II、地銀などの貸出平残について、2023年8月から2026年7月までの数字を改めた。訂正後のデータは日銀の「時系列統計データ検索サイト」に掲載されている。今回の速報でも8月の銀行・信金計は5.3%増に、都銀等は7.8%増に、地銀は4.5%増に、それぞれ訂正後の値として示されている。

政策金利は6月に1.0%、9月に1.25%へ

日銀は6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.75%程度から1.0%程度に引き上げた。9月18日の会合では、賛成7、反対2で1.25%程度への再引き上げを決めた(日銀、政策金利を1.00%から1.25%程度へ引き上げ 賛成7・反対2 借入金利が同じだけ上がると1社平均で年46万円の利息負担増)。日銀当座預金への付利金利も1.25%とした。

9月会合の説明資料で、日銀は「わが国の金融環境は、緩和した状態にある」とし、「緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポート」すると記した。そのうえで、経済・物価・金融情勢に応じて「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整」する方針を示している。会合では、政策金利を早めに「おおよそのゴール」に近づけるべきだとの意見も出ていた(日銀9月会合の「主な意見」 追加利上げへ「早めにおおよそのゴールに近づけて」「上振れの兆候がみえればペースを速めざるを得ない」 政府は累積的な影響の点検を要望)。

日銀が10月1日に公表した9月短観では、借入金利が「上昇」したとする企業の広がりが中小企業で最も大きかった(日銀9月短観、大企業製造業の業況判断はプラス24 6月調査のプラス22から上向き3か月前の予測プラス17も上回る 中小企業の借入金利「上昇」超は61から70へ)。今回の貸出・預金動向は月中平均の残高の統計で、金利の水準そのものは示さない。9月18日の利上げは月の後半に決まったため、9月の平残に含まれる利上げ後の日数は限られる。金利の上昇が貸出と預金の伸びにどう表れるかは、10月分以降の速報で確かめることになる。