厚生労働省は9月18日、病院の機能再編を国が集中的に支援する「重点支援区域」に、岡山県の高梁・新見構想区域を新たに選んだと発表した。再編などの検討対象になるのは、いずれも新見市にある医療法人真生会新見中央病院、医療法人社団淳和会長谷川紀念病院、医療法人緑隆会太田病院の3病院。選ばれた区域は、医療機関のデータ分析といった技術的な支援と、地域医療介護総合確保基金の優先配分などの財政的な支援を国から受けられる。重点支援区域の選定は令和2年(2020年)に始まり、今回を含めて14道府県27区域になった。
対象の3病院は231床、新見市の病床の7割にあたる
岡山県が公表している病床機能報告によると、令和7年(2025年)7月1日時点で3病院が持つ許可病床は、新見中央病院が115床(急性期59床・慢性期56床)、長谷川紀念病院が60床(急性期33床・回復期27床)、太田病院が56床(回復期29床・慢性期27床)。合わせて231床になる。
新見市には病院が4つあり、病床は合わせて319床。今回対象になった3病院は、そのうちの3つで、病床数では72.4%を占める。市内で残るのは医療法人思誠会渡辺病院の88床だけだ。高梁・新見構想区域は高梁市と新見市からなり、区域全体では7病院・622床。3病院はその37.1%にあたる。
新見市の人口は8月31日現在で2万4749人、世帯数は1万2235。市の人口規模に対して病院の数が多く、しかもその大半が同じ市内で機能の重なりを抱えている、という構図が今回の選定の背景にある。
選ばれると何が受けられるのか
厚労省の資料によると、重点支援区域への支援は技術的支援と財政的支援の2本立てだ。技術的支援は、地域の医療提供体制や再編を検討する医療機関に関するデータ分析と、関係者との意見調整の場の開催など。財政的支援は、地域医療介護総合確保基金の優先配分と、病床機能の再編支援を一層手厚く実施することが挙げられている。
地域医療介護総合確保基金は消費税の増収分などを財源に都道府県ごとに置かれている基金で、厚労省は同じ9月18日に、この基金の令和8年度・介護分の1回目の内示として全国276億2500万円を各都道府県に示したことも公表している。重点支援区域に選ばれることは、この配分の順番で有利になることを意味する。
申請するのは都道府県だ。区域の「地域医療構想調整会議」で重点支援区域に申請することへの合意を得たうえで国に申請し、厚労省が選ぶ。ただし厚労省は資料に「重点支援区域の申請または選定自体が、医療機能再編等の方向性を決めるものではない」と明記し、選定後も再編の結論はあくまで調整会議の自主的な議論によるものだと注意を促している。国が病院の統廃合を決める仕組みではない、という位置づけである。
岡山県内では2区域目、令和8年の選定は2件目
地域医療構想は、医療法に基づいて都道府県が医療計画の一部として定めるもので、中長期の人口構造や医療ニーズの変化を見据えて医療機関の機能分化と連携を進め、効率的に医療を提供できる体制を確保することを目的としている。都道府県は構想区域ごとに調整会議を置いて議論を進める。厚労省は「病床削減や統廃合ありきではなく」、各都道府県が地域の実情に基づいて主体的に取り組むものだとしている。
重点支援区域は、この構想を進めるうえで複数の医療機関が絡む再編の事例を国が後押しする仕組みだ。令和2年の初回選定には宮城県の仙南区域や北海道の南空知区域などが入り、岡山県では県南東部区域が選ばれている。県内では今回の高梁・新見区域が2区域目になる。
令和8年の選定は、京都府の中丹区域に続いて今回が2件目。なお27区域には、広島県の尾三区域と兵庫県の阪神区域のように、年をまたいで2度選ばれた区域も含まれる。厚労省は重点支援区域の申請を随時募集しており、今後も選定を続ける予定だとしている。
