厚生労働省は9月1日、各国の労働・社会保障制度をまとめた「2025年 海外情勢報告」を公開した。韓国の章では、公的年金である国民年金の保険料率が2026年に所得の9.5%となり、2033年以降は13%になる予定だと記している。保険料率が動くのは1998年の第1次年金改革以来27年ぶりで、2026年がその最初の年にあたる。

9%から13%へ、8年かけて上げる

韓国保健福祉部の発表によると、国民年金法の改正案は2025年3月20日に国会本会議を通過した。保険料率は2026年から毎年0.5%分ずつ段階的に上げ、8年後の2033年に13%へ到達させる。改正は2026年1月1日に施行された。

厚労省の報告は、2026年の保険料率を所得の9.5%と記載している。日本の厚生年金と同じく事業所加入者は労使で半分ずつ負担するため、働く本人が払うのは4.75%だ。事業所に属さない地域加入者は全額を本人が負担するが、農業者・漁業者と低所得労働者には保険料の一部を国庫で補助する仕組みがある。保険料を計算するもとになる基準所得月額には上限があり、2025年7月から2026年6月までは637万ウォンが上限となっている。

年金改革そのものは2007年の第2次改革以来18年ぶりで、保険料率の改定に限れば1998年以来27年ぶりという位置づけになる。韓国は1988年に国民年金を始めてから保険料率を9%に据え置いてきたが、少子高齢化で制度の収支が持たなくなり、負担を増やす方向へ舵を切った。

「所得代替率」は下げ続ける仕組みをやめ、41.5%から43%へ

今回の改正で動いたのは負担だけではない。「所得代替率」は、現役時代の平均所得に対して受け取る年金額がどれだけの割合になるかを示す数字で、韓国の制度では年ごとに下がっていく設計になっていた。厚労省の報告は2025年の所得代替率を41.5%とし、改正によって43%へ上がると記している。保健福祉部は、従来は毎年下がり続ける予定だったものが2026年から43%で固定されると説明した。改正前の制度のまま進めば、最終的に40%まで下がる見込みだった。

負担を増やし給付も上げたことで、政府の見立ては大きく変わった。保険料率9%・所得代替率40%のままなら積立基金は2056年に尽きると試算されていたが、保険料率13%・所得代替率43%になれば2071年まで維持できるという。15年の先延ばしになる計算だ。ただし保健福祉部は、この試算が基金の運用利回りの想定を年4.5%から5.5%へ引き上げたうえでのものだと明記している。

保険料の納付実績を増やす手当ても入った。兵役期間を加入期間として認める「軍服務クレジット」は現行の6か月から最大12か月へ広がり、「出産クレジット」はこれまで第2子からだった対象を第1子に広げ、上限50か月という規定を廃止した。年金を受け取り始める年齢は現在63歳で、2013年から5年ごとに1歳ずつ上がり2033年に65歳となる。年金を受け取るのに必要な最低加入期間は10年だ。

日本は18.3%で9年前から動かず、本人負担は9.15%

日本の厚生年金保険料率は、2004年の制度改正に基づいて段階的に引き上げられ、2017年9月を最後に引き上げが終わった。日本年金機構は、以後18.3%で固定されていると説明している。事業主と被保険者が半分ずつ負担するため、働く本人が給与から引かれるのは9.15%にあたる。

両国を並べると、負担の水準には開きが残る。韓国の本人負担は2026年の4.75%から、13%に達する2033年でも6.5%にとどまり、日本の9.15%には届かない。国民年金保険料の納め方や納付率の実情は国民年金保険料の納付率、令和5(2023)年7月分は85.4%で確定 新潟92.6%と大阪81.0%で開き 免除・猶予の595万人は計算に入らないでみたとおり、日本でも制度を支える側の事情は一様ではない。

韓国が負担増に踏み込んだ背景には、日本以上に急な人口の変化がある。厚労省の報告は、韓国国家データ処の「2025年出生統計(暫定)」として、2025年の合計特殊出生率が0.80だったと記した。2023年の0.72、2024年の0.75から2年連続で上がったが、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で唯一1を下回り、最下位が続いている。世界全体でも高齢化は進み、60歳以上が2050年に21億人へ 国連「高齢者の日」テーマは「長寿の時代」 100歳以上は4倍超にで示されたように、年金と医療の負担をどう割り振るかはどの国にも共通する問題になっている。

改正法は施行済みで、保険料率は2032年まで毎年上がる。13%に達するのは2033年で、所得代替率はその間も43%に据え置かれる予定だ。