藤井総務相は10月9日の閣議後記者会見で、簗和生農林水産相が2024年と2026年の衆院選で支持者をバスで無料送迎したとする一部報道について問われ、個別の事案への回答は控えたうえで、一般論として公職選挙法の買収罪の規定を説明した。選挙制度を所管する大臣が、閣僚をめぐる報道に関連して条文を名指しした形となる。
総務相「実質的調査権を有しておらず」
総務省の会見概要によると、記者は、報道で指摘された送迎が公職選挙法違反ではないかとの見方があるとして、見解と、選挙中に支持者をバスで無料送迎することについての一般論を尋ねた。
藤井総務相は「報道につきましては承知しております」としつつ、「総務省といたしましては、個別の事案について実質的調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にはありません」と述べ、個別の判断には踏み込まなかった。
そのうえで「一般論として」、同法第221条第1項第1号に、当選を得る目的などで選挙人や選挙運動者に金銭、物品その他の財産上の利益を供与したときの買収罪の規定があると紹介した。最後に「個別の事案が、公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実に即して判断されるべきもの」と締めくくった。
簗農水相「法令に則り、適正に処理」
簗農水相は同じ10月9日の閣議後会見で、シャトルバスの無料送迎をめぐる週刊誌報道について質問を受けた。「御指摘の報道については承知をしております。法令に則り、適正に処理をしているという認識をしております」と答えた。
無料で送迎したかどうかの事実関係を問われると「今、しっかりと、この事象について、事実確認をしてございます」と述べ、改めて説明の場を設けるかについては「事実関係をしっかりと整理でき次第、それは説明させていただきたい」とした。
同じ会見では、衆院選後に自治体の予算について問い合わせた問題をめぐる質問も相次いだ。国会日程への影響は参院予算委は7時間ずつ2日間・計14時間で与野党合意 日程は与党が16日・19日、立憲は19日・20日を希望 農林水産委は簗農水相の所信聴取に入れずで伝えている。
買収罪とは 候補者本人なら刑が重く、当選無効も
公職選挙法第221条は「買収及び利害誘導罪」を定める。第1項第1号は、当選を得たり得させたりする目的で、選挙人や選挙運動者に対し「金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与」やその申し込み・約束、供応接待をした場合を対象とし、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科す。
同条第3項は、候補者本人や選挙運動を総括主宰した者、出納責任者などが同じ罪を犯した場合、刑を4年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に引き上げている。
刑が確定した場合の影響も大きい。第251条は、当選人がその選挙に関して同法の罪で刑に処せられたとき、当選を無効とすると定める。第252条は、罰金刑の場合でも裁判確定から5年間、選挙権と被選挙権を失うとしている。
もっとも、総務相が述べた通り、条文に当たるかどうかは個別の事実関係で決まる。報道された送迎が「財産上の利益の供与」に当たるのか、当選目的があったのかといった点は、簗農水相が予告した事実確認の結果と、その後の説明が焦点となる。
