内閣府が公表した令和8年秋の叙勲の集計によると、11月3日付の受章者は3861人で、このうち女性は400人だった。女性の割合は10.4%で、前年秋の10.8%を下回った。受章者の総数も女性の人数も、同府がサイトで公開している令和3年秋以降の11回で最も少ない。一方、勲章の段階別に見ると、小綬章以上の女性は48人で、同じ11回で最も多かった。
小綬章以上の女性は48人、前年秋の25人から増える
今回の叙勲は旭日章と瑞宝章からなり、それぞれ上から大綬章、重光章、中綬章、小綬章、双光章、単光章の6段階に分かれる。内閣府の表を段階別に並べると、女性の増減は上の4段階と下の2段階で逆の向きになった。
| 勲章 | 受章者 | うち女性 | 女性の割合 | 前年秋の女性 |
|---|---|---|---|---|
| 大綬章 | 11 | 0 | 0% | 0 |
| 重光章 | 50 | 3 | 6.0% | 0 |
| 中綬章 | 330 | 17 | 5.2% | 8 |
| 小綬章 | 855 | 28 | 3.3% | 17 |
| 双光章 | 1415 | 153 | 10.8% | 178 |
| 単光章 | 1200 | 199 | 16.6% | 224 |
| 合計 | 3861 | 400 | 10.4% | 427 |
小綬章以上の4段階を合わせた受章者は1246人で、女性は48人だった。前年秋は1237人のうち25人で、割合は2.0%から3.9%に上がった。これまでの最多は令和5年秋と令和7年春の41人だ。
下の2段階は反対に動いた。双光章と単光章を合わせた女性は352人で、前年秋の402人から50人減り、11回で最も少ない。小綬章以上で23人増え、双光章と単光章で50人減った結果、女性全体は27人の減少となった。
重光章の女性3人はいずれも瑞宝重光章で、元公正取引委員会委員の青木玲子氏(70)、元高松高裁長官の髙部眞規子氏(70)、元厚生労働事務次官の村木厚子氏(70)だ。重光章の女性は前年秋が0人、今年春が1人だった。大綬章の女性は、前年秋、今年春に続いて今回もいない。
受章者は5回続けて4000人を下回る
内閣府のパンフレットは、春秋叙勲の規模を毎回「おおむね4,000名」と記している。実際の受章者は令和6年春の4106人を最後に4000人を割り、令和6年秋から5回続けて下回っている。今回の3861人は、今年春の3875人をさらに14人下回った。
| 回 | 受章者 | うち女性 | 女性の割合 | 小綬章以上の女性 |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年秋 | 4036 | 401 | 9.9% | 23 |
| 令和4年秋 | 3999 | 436 | 10.9% | 32 |
| 令和5年秋 | 4075 | 411 | 10.1% | 41 |
| 令和6年秋 | 3987 | 439 | 11.0% | 36 |
| 令和7年秋 | 3963 | 427 | 10.8% | 25 |
| 令和8年秋 | 3861 | 400 | 10.4% | 48 |
女性の割合は、11回を通じて9.9%から11.5%の間で推移している。最も高いのは今年春の11.5%(3875人のうち445人)で、今回は半年で10.4%に下がった。受章者数が減っている理由について、内閣府のページに説明は載っていない。
令和7年秋の受章者は、内閣府のページの文章では3963人、勲章別の表の合計では3962人で、1人の差がある。女性の割合はどちらで計算しても10.8%だ。
勲章の種類別では、旭日章が895人で女性は62人(6.9%)、瑞宝章が2966人で女性は338人(11.4%)だった。内閣府によると、旭日章は功績の内容に着目して顕著な功績を挙げた人に、瑞宝章は公務などに長年従事して成績を挙げた人に贈られる。受章者の約77%、女性の約85%が瑞宝章だ。
大綬章は11人、豊田章男トヨタ会長ら
最も高い段階の大綬章は11人が受章した。旭日大綬章は7人で、元最高裁判事の宇賀克也氏(71)、元三井住友銀行頭取の奥正之氏(81)、元厚生労働相の武見敬三氏(74)、トヨタ自動車会長の豊田章男氏(70)、大阪ガス会長の本荘武宏氏(72)、元青森県知事の三村申吾氏(70)、元農相の山本有二氏(74)が名を連ねた。
瑞宝大綬章は4人で、元首相補佐官の和泉洋人氏(73)、元統合幕僚長の河野克俊氏(71)、元宮内庁長官の西村泰彦氏(71)、元名古屋大学長の濵口道成氏(75)だ。各省の所管分の内訳は、総務省の分を「秋の叙勲、三村申吾・元青森県知事に旭日大綬章 総務省が所管分の名簿を公表」で伝えている。
勲章の渡し方は段階で異なる。内閣府の制度概要によると、大綬章は宮中で天皇陛下から親授され、重光章は宮中で内閣総理大臣から伝達される。中綬章以下は各府省の大臣らから伝達される。いずれの場合も、受章者は勲章を着けて配偶者とともに天皇陛下に拝謁する。
女性候補者は「別枠」で推薦できる
春秋叙勲は、昭和21年の閣議決定で止まっていた生存者への勲章の授与を、昭和38年の閣議決定で再開したもので、昭和39年4月29日付の第1回から続いている。候補者は、内閣総理大臣が決めた「春秋叙勲候補者推薦要綱」に基づいて各省各庁の長が推薦し、内閣府賞勲局の審査を経て閣議で決まる。平成15年の栄典制度改革で設けられた一般推薦制度を使えば、一般の人が内閣府賞勲局へ直接候補者を推薦することもできる。対象は70歳以上が基本で、労苦の多い業務や人目につきにくい分野の業務に精励した人は55歳以上となる。
女性の受章については、政府が平成28年9月16日に閣議了解した「栄典授与の中期重点方針」に定めがある。方針は社会経済の変化の例に「女性の活躍」を挙げたうえで、「女性への授与が少ない分野等において女性候補者を別枠で推薦できる措置を講ずる」と記した。あわせて、自治会・町内会の功労者と保育士について、春秋叙勲で毎回おおむね50人に贈る目標も示している。
この方針の期間は平成29年春から「5年程度」とされた。内閣府の賞勲局のサイトにある最近のトピックスの一覧と方針のページを確かめた範囲では、後継の方針は確認できていない。女性の割合について数値の目標を示した記述も、方針の本文には無い。
外国人叙勲は99人、褒章は761人
11月3日付では、春秋叙勲のほかにも複数の栄典が発令された。外国人叙勲は99人で女性は22人、褒章は761人で女性は160人だった。女性の割合はそれぞれ22.2%、21.0%で、春秋叙勲の10.4%の2倍を超える。褒章のうち、産業の振興や社会福祉の増進に業績を挙げた人、保護司や民生・児童委員など公共の事務に携わった人らに贈られる藍綬褒章は443人で、女性は132人を占めた。
警察官や自衛官など危険性の高い業務に就いた人を対象とする危険業務従事者叙勲は、第47回の今回、女性が28人だった。受章者数は内閣府のページの文章で3617人、勲章別の表の合計で3615人と2人の差があり、ページに理由の説明は無い。消防関係の内訳は「第47回危険業務従事者叙勲、消防関係は1人死亡で640人に 11月3日発令 東京60人が最多」に書いた。
文化勲章は8人が受章した。受章者の顔ぶれは「文化勲章に宮本茂氏・伊東豊雄氏ら8人 文化功労者は渡辺貞夫氏ら21人」で伝えている。
春秋叙勲は毎年2回発令され、次回は来年4月29日付になる。
