厚生労働省は11月4日、生活保護の被保護者調査(令和8年8月分概数)の結果を公表した。8月の保護の申請件数は2万1181件で、前年同月の2万703件から478件(2.3%)増えた。実際に保護が始まった世帯は1万6849世帯で、前年同月の1万6723世帯から126世帯(0.8%)増えた。受給者は196万5132人で、前年同月より2万588人(1.0%)少なく、今年度に入って最も少なかった。

申請は5か月のうち4か月で前年を上回った

今年度の申請件数を月ごとに見ると、前年同月を下回ったのは5月だけだった。4月は260件、6月は73件、7月は151件、8月は478件、それぞれ前年同月より多い。8月の増え方は、この5か月で件数も伸び率も最大である。

ただし、4月から8月までを足し合わせると、前年より少ない。申請件数の合計は10万9239件で、前年同期の11万314件を1075件(1.0%)下回った。5月の申請が前年同月の2万3028件から2万991件へ2037件(8.8%)減り、その分がほかの4か月の増加分を上回っている。保護開始世帯の合計も9万1515世帯で、前年同期の9万3558世帯より2043世帯(2.2%)少ない。合計と差は、厚労省が毎月公表した数値を本紙が足し合わせて算出した。

月 申請件数 前年同月 保護開始世帯数 前年同月
4月 20,861 20,601 18,263 18,199
5月 20,991 23,028 18,062 19,922
6月 20,970 20,897 18,171 18,022
7月 25,236 25,085 20,170 20,692
8月 21,181 20,703 16,849 16,723
2026年度の保護の申請件数と保護開始世帯数(月別)

出典: 厚生労働省「被保護者調査」令和8年4月分〜8月分概数

7月に多く8月に減る動きは、ここ3年続いている。8月の申請件数は7月より4055件少なく、前年は4382件、前々年は3876件、それぞれ7月を下回った。厚労省の資料は、月ごとの増減の理由を示していない。

今年度の動きは、生活保護の申請、4月は2万861件で2か月連続増 厚労省速報、前年同月比1.3%増で伝えた4月から続いている。

8月の申請は2019年以降で3番目、開始は2023年より1218世帯少ない

同じ8月どうしで比べると、今年の申請件数は2019年以降の8回のうち3番目に多い。最も少なかったのは2020年の1万7451件で、その後は2024年の2万1359件まで増え続けた。2025年に2万703件へ減り、今年は再び2万1000件台に戻っている。

一方、保護開始世帯数の戻りは小さい。2023年の1万8067世帯、2024年の1万8040世帯から、2025年に1万6723世帯へ減り、今年は1万6849世帯だった。2024年と比べると、申請件数は178件しか減っていないのに、開始世帯数は1191世帯少ない。2023年からは1218世帯減っている。

8月の保護の申請件数と保護開始世帯数(件・世帯)

申請件数保護開始世帯数

14,00016,00018,00020,00022,00018,18617,45121,35921,18116,00914,76618,06716,8492019年2021年2023年2025年2026年
2019年の数値は令和2年8月分の前年同月の欄による出典: 厚生労働省「被保護者調査」各年8月分概数
数値で見る(単位: 件・世帯)
項目申請件数保護開始世帯数
2019年18,18616,009
2020年17,45114,766
2021年19,20216,139
2022年20,56217,555
2023年21,34118,067
2024年21,35918,040
2025年20,70316,723
2026年21,18116,849

申請に対する開始世帯の割合は8月として最も低い79.5%

同じ月の申請件数に対する保護開始世帯数の割合を本紙が計算すると、今年の8月は79.5%だった。2019年の88.0%から下がり、2020〜2024年は84〜85%台で推移した。2025年に80.8%となり、今年はさらに下がって、2019年以降の8月で最も低い。今年度の月別では、4月が87.5%、5月が86.0%、6月が86.7%で、7月は79.9%、8月は79.5%と、夏の2か月が低い。

この割合は、申請のうち何割が認められたかを示す数字ではない。申請は件数、開始は世帯数で数えており、単位が異なる。生活保護法は第24条で、保護を決定した結果の通知を申請から14日以内に行うと定め、扶養義務者の資産や収入の調査に日時を要するなど特別な理由がある場合は30日まで延ばせるとしている。月末に受け付けた申請の結果は翌月に出ることがあり、同じ月の申請と開始は必ずしも対応しない。

同じ条文は、申請から30日以内に通知がないとき、申請者は実施機関が申請を却下したものとみなせるとも定める。保護は第7条により、本人や扶養義務者、同居の親族の申請に基づいて始まるのが原則である。今回の報道発表資料には、却下や取り下げの件数は載っていない。割合が下がった理由も、資料からは確認できない。

受給者は1年で2万588人減、世帯は3672世帯減

8月の受給者数(被保護実人員、保護停止中を含む)は196万5132人で、7月より4523人少ない。4月の197万2071人から、5月に197万237人、6月に196万9502人と減り、7月にわずかに増えたあと、8月に今年度の最少を更新した。保護率は人口100人あたり1.60%で、前年同月の1.61%を下回った。

受給世帯数(被保護実世帯数、保護停止中を含む)は164万1451世帯で、前年同月より3672世帯(0.2%)少ない。人の減り方に比べて、世帯の減り方は小さい。

10年の幅で見ると、その差は大きくなる。10年前の平成28年8月は受給者214万6143人、受給世帯163万6636世帯だった。この10年で受給者は18万1011人減ったのに対し、世帯は4815世帯増えている。1世帯あたりの受給者数を計算すると、約1.31人から約1.20人に縮んだ。7月分の時点の状況は、生活保護の受給者196万9655人、1年で2万438人減 2026年7月分 受給世帯は10年前と同水準で、単身の高齢者世帯が51.6%で詳しく伝えている。

母子世帯は3894世帯減、障害者・傷病者世帯は4277世帯増

保護停止中を除く163万2557世帯を世帯類型別に見ると、前年同月を上回ったのは、障害者・傷病者世帯と、高齢者世帯のうちの単身世帯だった。

世帯類型 8月の世帯数 構成割合 前年同月差 伸び率
高齢者世帯 900,635 55.2% −1,703 −0.2%
うち単身世帯 842,484 51.6% +805 +0.1%
うち2人以上の世帯 58,151 3.6% −2,508 −4.1%
母子世帯 54,679 3.3% −3,894 −6.6%
障害者・傷病者世帯 418,400 25.6% +4,277 +1.0%
その他の世帯 258,843 15.9% −1,777 −0.7%
世帯類型別の被保護世帯数(2026年8月、保護停止中を含まない)

出典: 厚生労働省「被保護者調査」令和8年8月分概数

高齢者世帯は、男女とも65歳以上の人だけで構成されるか、これに18歳未満の人が加わった世帯を指す。全体の半分を超える単身の高齢者世帯は84万2484世帯で、前年同月より805世帯増えた。高齢者世帯の総数が減っているのは、2人以上の世帯が2508世帯(4.1%)減ったためだ。

減少幅が最も大きかったのは母子世帯である。7年前の令和元年8月の8万1462世帯から5万4679世帯へ2万6783世帯減り、構成割合は5.0%から3.3%に下がった。同じ期間に、障害者・傷病者世帯は40万6869世帯から41万8400世帯へ、どの類型にも当てはまらない「その他の世帯」は24万3192世帯から25万8843世帯へ増えた。

厚労省は、詳しい結果を政府統計の総合窓口(e-Stat)に掲載するとしている。今回の数値は概数である。