NTTは11月4日、2026年4〜9月期(中間期)の連結決算(国際会計基準)を発表した。営業収益は7兆3622億円で前年同期比8.7%増え、決算説明資料によると過去最高を更新した。一方、営業利益は8301億円で12.2%減、純利益(当社に帰属する中間利益)は5002億円で16.0%減の増収減益だった。通期の業績予想は、NTTドコモの販売が好調だとして、5月に示した数字から収益と利益を引き上げた。

減益額を上回る前年の譲渡益
営業利益は前年同期の9450億円から1150億円減った。事業別に見ると、減少はNTTデータグループが担うグローバル・ソリューション事業に集中している。同事業の営業利益は2690億円から1442億円へ1248億円減り、46.4%の減益となった。ドコモの総合ICT事業は73億円、NTT東西の地域通信事業は7億円の増益で、不動産やエネルギーのその他事業は54億円の減益だった。
NTTデータグループの説明資料によると、前年同期にはデータセンターの譲渡益1295億円が入っていた。譲渡先はREIT(不動産投資信託)で、譲渡したデータセンターの運用は同グループが続けている。この1295億円は、NTT連結の減益額1150億円より大きい。同グループは「営業利益は前年度のDC譲渡益1,295億円を除くと増益」と説明している。
同グループの増減の内訳は、日本が184億円の増益だった。公共・社会基盤が151億円、金融が89億円、法人が47億円増え、3分野とも増益となった。海外は1361億円の減益だが、このうち1295億円が譲渡益の反動で、為替は33億円の増益要因だった。譲渡益と為替の影響を除くと、海外は100億円の減益になる。
純利益の減少率は営業利益より大きい。金融費用が1100億円から1513億円へ413億円増えたためで、金融収益(352億円から529億円)や持分法による投資損益(191億円から347億円)の増加では埋まらず、税引前中間利益は13.8%減の7664億円となった。基本的1株当たりの中間利益は7.20円から6.15円に減っている。
増収の中心はNTTデータとドコモ
営業収益の増加額5894億円のうち、グローバル・ソリューション事業が2563億円、総合ICT事業が2494億円を占めた。
| 事業 | 営業収益 | 前年同期からの増減 | 営業利益 | 前年同期からの増減 |
|---|---|---|---|---|
| 総合ICT(ドコモ) | 3兆2821億円 | 2494億円増 | 4821億円 | 73億円増 |
| グローバル・ソリューション | 2兆6168億円 | 2563億円増 | 1442億円 | 1248億円減 |
| 地域通信(NTT東西) | 1兆5442億円 | 88億円増 | 1882億円 | 7億円増 |
| その他(不動産、エネルギー等) | 8948億円 | 825億円増 | 295億円 | 54億円減 |
| 連結 | 7兆3622億円 | 5894億円増 | 8301億円 | 1150億円減 |
NTTデータグループの売上高は10.9%増えた。海外の売上高は1兆4375億円から1兆6231億円へ1857億円増えたが、このうち1370億円は為替の影響で、期中平均の対ドル相場は146.03円から159.49円へ円安が進んだ。日本の売上高は9436億円から1兆243億円に増え、中央府省向けの案件拡大などで3分野とも増収だった。データセンター事業を除いた受注高は2兆2694億円から2兆7263億円へ20.1%増えた。国内の金融分野は大型案件の獲得などで3693億円から6260億円に増えている。
ドコモは金融で増収、販促費は276億円増
ドコモの営業収益は8.2%増の3兆2821億円、営業利益は1.5%増の4821億円だった。増収の大半はスマートライフ事業で、収益は6249億円から8372億円へ2123億円増えた。このうち金融は2222億円から3568億円への60.6%増で、ドコモはドコモSMTBネット銀行の連結影響や、dカードの契約数と単金の拡大を要因に挙げている。
営業利益の増減を見ると、スマートライフの成長が606億円の増益要因となった。これに対し、個人向けの通信事業は477億円の減益要因だった。内訳は販促強化費用の増加が276億円、ネットワーク強靱化費用の増加が78億円、付帯サービス関連コストや人件費などその他費用の増加が77億円、モバイル通信サービス収入の減少が46億円である。法人事業は収益が3.4%増の9696億円だったが、一過性の影響などで56億円の減益要因となった。
個人名義のモバイル通信サービス収入は、前年同期には221億円の減収だったが、今回は46億円の減収まで幅が縮まった。ドコモは通期で増収に転じる見通しを示した。1契約当たりの収入を示すARPUは7〜9月期に4040円で、前年同期より80円増えた。通期予想も4010円から4040円に上げた。7〜9月期の新規契約数は前年同期比33%増で、番号持ち運び(MNP)の転入超過も続いている。料金プラン「ドコモMAX」の契約は10月27日時点で500万を超えた。
携帯電話サービスの契約数は、MVNOや通信モジュールを含めて9月末に9068万6000件となり、3月末の9306万5000件から減った。3月末の数字には、3月31日にサービスを終えたFOMAの227万6000件が含まれている。
通期の上方修正はドコモ分だけ
通期予想の修正は次のとおりである。
| 項目 | 5月8日の予想 | 11月4日の予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 15兆600億円 | 15兆800億円 | 200億円増 |
| 営業利益 | 1兆7100億円 | 1兆7300億円 | 200億円増 |
| 当期利益 | 9800億円 | 9940億円 | 140億円増 |
| 設備投資額 | 2兆4300億円 | 2兆4730億円 | 430億円増 |
決算短信は修正の理由を、総合ICT事業の販売好調に伴う収入増を織り込んだためとしている。各社別でも、ドコモの営業収益(6兆8410億円)と営業利益(9630億円)がそれぞれ200億円上がっただけで、NTTデータグループ、NTT東日本、NTT西日本、NTTアーバンソリューションズの予想は変えていない。修正後の予想でも、当期利益は前期より4.1%減る見込みである。同じ中間期の決算では、JR東日本中間期、営業益14%増の2629億円 運賃改定で通期予想を上げ年88円に増配、日立中間期、売上収益17%増の5兆6140億円 通期予想を上げ中間配当32円にでも予想の引き上げがあった。
NTTデータグループの通期の営業利益予想は4700億円で、中間期の進捗率は30.7%だった。予想の達成には、下期に3258億円の営業利益が要る計算になる。
設備投資額の増額430億円は、全額がドコモ分である。ドコモの通期の設備投資額は9000億円となり、営業利益の上方修正額の200億円を上回る額を投資に充てる。NTTは増額の目的を、通信量の増大に対応した「モバイルネットワーク品質改善の確実な実行」と説明している。ドコモの4〜9月期の設備投資は3970億円で前年同期より11.7%増え、この半年で5GとLTEを合わせて4500局の基地局を構築した。
増配を続ける一方、有利子負債は増加
中間配当は1株2.7円で、前年同期の2.65円から増やした。支払開始は11月30日の予定である。年間配当の予想は5.4円で据え置き、実現すれば16期連続の増配となる。5月に決めた上限2000億円の自己株式取得は、10月末までに1049億円を実行した。取得期間は2027年3月31日までである。
財務面では、総資産が3月末の46兆7213億円から9月末に48兆7333億円へ増え、株主資本比率は20.8%から20.3%に下がった。ノンリコース債務を除く有利子負債額は15兆4580億円から17兆2326億円へ、半年で1兆7746億円増えている。
キャッシュ・フローでは、ドコモSMTBネット銀行の連結影響などを除いた説明資料の数字で、有形固定資産などの取得による支出が1兆73億円から1兆2072億円に増えた。EBITDAは同じ基準で1兆7405億円から1兆6315億円に減っており、投資の増加と利益の減少が同時に進んだ半年だった。銀行を含む連結の営業キャッシュ・フローは464億円で、前年同期より9314億円少ない。9月末の現金及び現金同等物は2兆1727億円で、このうち9487億円はドコモSMTBネット銀行の連結分である。
