国税庁が9月に公表した令和7年分の民間給与実態統計調査で、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が487万円となった。前年の478万円から9万1000円増え、5年連続の増加で過去最高となった。男性は597万円、女性は342万円だった。
「平均給与」は誰の給与を集めた数字か
この調査は統計法に基づく基幹統計で、昭和24年分から続き、今回が77回目になる。数えているのは民間の事業所が支払った給与で、国や地方自治体の職員は入らない。
よく引き合いに出される「平均給与487万円」は、給与所得者全体の平均ではない。年の途中で就職したり辞めたりした人を除き、1年を通じて同じ勤務先に勤めた5163万人だけを母数にした数字である。この5163万人は前年より26万人増え、男性が2934万人、女性が2229万人だった。
平均給与の内訳は、毎月の給料と手当が412万円、賞与が75万円。賞与は令和6年分の74万6000円から令和7年分は74万9000円へと増え、2年連続で増えた。
調査はすべての事業所を調べるのではなく、従事員数などで8つの層に分けて抽出するサンプル調査で、今回は2万771の事業所から回答を得た。給与総額の標準誤差率は全体で1.24%と示されている。
5年連続の増加 コロナ禍の433万円から54万円増えた
平均給与は令和2年分の433万円を底に、令和3年分443万円、令和4年分458万円、令和5年分460万円、令和6年分478万円、令和7年分487万円と上がってきた。新型コロナウイルスの感染が広がった令和2年分から54万円増えた計算になる。ただし国税庁は、平成25年分以前は推計の方法が違うと注記している。
正社員と正社員以外で349万円の差 最低は宿泊・飲食の275万8000円
働き方による差は大きい。正社員(正職員)の平均給与は559万円で、パートやアルバイトを含む正社員以外は210万円。差は349万円ある。人数は正社員が3422万人で8万人減り、正社員以外は1305万人で49万人増えた。
業種別で最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の854万4000円で、金融業・保険業725万6000円、情報通信業681万9000円が続く。最も低いのは宿泊業・飲食サービス業の275万8000円で、前年より1.3%下がった。医療・福祉424万円と運輸業・郵便業482万5000円も前年を下回っており、業種平均の486万6000円が1.9%伸びる中で3業種が減った。厚生労働省の調査では転職した人が会社を辞めた理由の最多が「賃金が低かった」だったが(中途採用を新卒より優先したい企業が40.0% 厚労省の転職者実態調査 辞めた理由の最多は「賃金が低かった」25.5%)、伸びの差はその背景の一つになる。
所得税額は17.4%増 納める人の割合は73.1%から80.9%へ
給与の総額は247兆6479億円で前年より6兆2091億円(2.6%)増えた。これに対し源泉徴収された所得税額は13兆1262億円で、1兆9429億円(17.4%)増えている。給与総額に占める税額の割合は4.63%から5.30%に上がった。
所得税を源泉徴収で納めた人は4175万人で422万人増え、その割合は前年の73.1%から80.9%になった。この割合は令和5年分が86.3%、令和6年分が73.1%と大きく落ち込んでいた。
国税庁の調査結果は、税額が増えた理由には触れていない。ただ、令和6年度税制改正による定額減税は令和6年分の所得税だけに適用された措置で、本人と同一生計配偶者・扶養親族1人につき3万円を、令和6年6月1日以後に最初に支払われる給与の源泉徴収税額から差し引く仕組みだった。令和7年分にはこの控除がない。
配偶者控除か扶養控除を受けた人は1122万人で、前年より53万人(4.5%)減った。扶養している人がいる人1人あたりの平均扶養人員は1.39人。扶養の基準そのものも動いており、令和7年分の年末調整からは扶養の年収の上限が引き上げられている(年末調整、12月から扶養の「年収の壁」が123万円から136万円に 給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円へ 勤労学生は150万円から163万円)。
給与階級別にみると、男性は年間400万円超500万円以下が487万人で最も多く16.6%、女性は200万円超300万円以下が417万人で18.7%を占めた。
