「国民の休日」は、国民の祝日ではない。国民の祝日に関する法律(祝日法)第3条第3項が「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日」を休日と定めていて、祝日と祝日に挟まれた平日が自動的に休みになる。2026年は9月22日がこれにあたり、内閣府の令和8年(2026年)の祝日・休日一覧には「祝日法第3条第3項による休日」と記されている。前日の21日が敬老の日、翌日の23日が秋分の日だった。「国民の休日」は一般的な呼び名で、条文にこの名称は出てこない。次に9月22日が休みになるのは、国立天文台の計算では2037年の見込みだ。

条文は一行だけ 振替休日とは別の規定

内閣府のページが引いている祝日法第3条は3つの項からなる。第1項は「『国民の祝日』は、休日とする。」。第2項は「『国民の祝日』が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い『国民の祝日』でない日を休日とする。」で、いわゆる振替休日である。

9月22日の根拠になった第3項は「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日(『国民の祝日』でない日に限る。)は、休日とする。」の一文だけだ。振替休日は、祝日が日曜と重なって消えたぶんを後ろの平日にずらす仕組みである。第3項は、祝日と祝日の間に一日だけ取り残された平日を、そのまま休みにする仕組みだ。内閣府は第3項の休日を「数年に一度、不定期に現れる休日です」と説明している。

祝日ではないので、この日には趣旨がない。祝日法第2条は16の祝日それぞれに趣旨を置いている。たとえば敬老の日は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日だ。第3項の休日にはそうした定めがなく、条文上の名前も単に「休日」である。休みであっても、何かを記念する日ではない。敬老の日が趣旨に掲げる高齢者は、いまや働き手でもある(65歳以上の就業者943万人で22年連続増 働く人の7人に1人 雇われて働く高齢者の76.1%が非正規)。

9月22日が休みになる条件 敬老の日21日・秋分の日23日の年だけ

内閣府は、9月にこの休日が現れる理由を日付の動く範囲で説明している。敬老の日は「9月の第3月曜日」なので9月15日から21日の間で動く。秋分の日は「秋分日」で、9月22日から24日の間で動く。

2つの範囲を重ねると、間に一日だけ平日が残るのは、敬老の日が21日で秋分の日が23日の年に限られる。敬老の日が20日以前なら、22日の前日は祝日ではない。秋分の日が22日なら、敬老の日の翌日がそのまま祝日になり、隙間ができない。秋分の日が24日まで下がると22日と23日の2日が空き、どちらの日も「前日と翌日が祝日」という条件を満たさない。休みが2日に増えるのではなく、休日そのものが生まれない。

2020年はその例だ。敬老の日は9月21日だったが、秋分の日が9月22日で、2つの祝日が隣り合った。内閣府の一覧で実際に9月22日が第3項の休日になったのは2009年、2015年、2026年の3回である。国立天文台暦計算室も、2009年の9月22日を第3項の例に挙げている。

5月4日から9月へ この休日が現れる場所が移った

内閣府の一覧をさかのぼると、第3項の休日は長く5月4日の決まりごとだった。1988年から2006年まで、5月4日は憲法記念日(5月3日)とこどもの日(5月5日)に挟まれ、日曜にあたった1997年と2003年を除いて休日として載っている。その後の法改正で5月4日は祝日の「みどりの日」になり、一覧でも2007年から「みどりの日」と記されている。それ以前のみどりの日は、1989年から2006年まで4月29日だった。

代わりに9月が舞台になった。内閣府の一覧で敬老の日は2002年まで毎年9月15日だったが、2004年は20日、2005年は19日、2006年は18日と年ごとに動いている。「9月の第3月曜日」に改められたためで、第3月曜日が21日まで下がり、秋分の日が23日にそろう年だけ22日が休みになる。2026年は21日が月曜、23日が水曜で、土日から数えて19日から23日までの5連休になった(11年ぶり5連休の高速道路、10キロ以上の渋滞279回を予測)。

いまの祝日の並びを見ると、2日違いで並ぶ可能性のある祝日の組み合わせは9月の敬老の日と秋分の日しかない。5月の連休は3日・4日・5日がすべて祝日になり、それ以外の祝日は離れている。祝日法が改正されない限り、第3項の休日は9月にしか現れない。

次は2037年と2043年の見込み 秋分の日は前年2月に決まる

内閣府が公表している令和9年(2027年)の一覧では、敬老の日が9月20日、秋分の日が9月23日で、間に2日の平日がはさまるため第3項の休日はない。

その先は、まず敬老の日が9月21日(月曜)になる年を数える。2050年までは2037年、2043年、2048年の3回だ。次に秋分の日を当てはめる。国立天文台は将来の秋分日を計算で示していて、2037年と2043年は9月23日(水曜)、2048年は9月22日(火曜)としている。この計算どおりなら、2037年と2043年は9月22日(火曜)が休日になり、19日の土曜から23日までの5連休になる。2048年は22日が秋分の日そのものになり、第3項の休日は生まれない。

ただし国立天文台は、地球の運行は常に変化しているため、将来の結果が計算どおりになるとは限らず、あくまで参考にしてほしいとしている。祝日としての秋分の日は、国立天文台が前年2月の最初の官報に載せる「暦要項」で正式に決まる。2026年分も、2025年2月3日の発表で秋分の日が9月23日と示され、9月22日が第3項の休日になることもあわせて記されていた。2037年の9月22日が休みになるかは、2036年2月の官報で確定する。

2026年の祝日・休日は18日、2027年は17日

内閣府の一覧を数えると、2026年の休みは計18日だった。祝日法第2条の16の祝日に、第2項の振替休日である5月6日と、第3項の休日である9月22日の2日が加わる。2027年は16の祝日に、春分の日(3月21日)が日曜にあたるため第2項で休みになる3月22日が加わり、計17日になる。第3項の休日はなく、2026年より1日少ない。

祝日の日付が特別法で動いた年もある。内閣府によれば、2020年と2021年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会にあわせ、海の日・スポーツの日・山の日の3つが移った。2020年は海の日が7月23日、スポーツの日が7月24日、山の日が8月10日。2021年は海の日が7月22日、スポーツの日が7月23日、山の日が8月8日で、山の日が日曜だったため8月9日が第2項の休日になった。休みの並びは毎年の暦と法律の両方で決まり、第3項の休日はその組み合わせから数年おきに生まれる。