経済産業省は6日、電気工事士試験の受験手数料を引き上げる電気工事士法施行令の改正案をまとめ、意見募集を始めた。インターネットなどで申し込む電子申請の場合、第一種電気工事士試験は1万3000円から1万5500円に、第二種電気工事士試験は1万1100円から1万2300円になる。人件費や物価、試験会場の設営運営費、技能試験の材料費が上がり、今の手数料では2027年度(令和9年度)の試験を続けるのが難しくなる見込みだという。手数料は2025年11月にも引き上げられており、案どおりなら約1年2か月で2度目の改定となる。12月に閣議決定し、2027年1月上旬に公布・施行する予定で、意見は12月6日午後8時まで受け付ける。

第一種は1万5500円、第二種は1万2300円に

改正案は、施行令第13条の手数料の表のうち、電気工事士試験の2行の金額を書き換える。経産省の概要によると、新しい額は次のとおり。

試験・申込方法 2025年11月の改定前 現行 改正案
第一種・電子申請等 1万900円 1万3000円 1万5500円
第一種・郵送(書面) 1万1300円 1万4400円 1万7000円
第二種・電子申請等 9300円 1万1100円 1万2300円
第二種・郵送(書面) 9600円 1万2500円 1万3800円
電気工事士試験の受験手数料(1回あたり、非課税)出典: 経済産業省「電気工事士法施行令の一部を改正する政令案」の概要、e-Gov法令検索の電気工事士法施行令(2025年11月13日時点と現行の条文)

今回の上げ幅は、電子申請の場合で第一種が2500円、第二種が1200円。現行の額と比べると、第一種は約19%、第二種は約11%の増額になる。同じ表にある特種電気工事資格者認定証などの交付・再交付・書き換えの手数料は、新旧対照表で「略」とされ、金額は変わらない。

案文の附則は「この政令は、公布の日から施行する」とだけ定め、経過措置は置いていない。

理由は人件費・会場費・技能試験の材料費

電気工事士法第10条は、試験を受けようとする人は「実費を勘案して政令で定める額」の手数料を納めると定めている。手数料の額は、試験にかかる費用をもとに国が決める仕組みだ。

経産省は概要の「現状及び改正の経緯」で、現行の額を決めた後も「人件費、物価、試験会場設営運営費及び技能試験材料費等の上昇」が続き、今の手数料では令和9年度に試験を続けて実施することが難しくなる見込みだと説明した。そのうえで、「今後も受験機会を確保するため」に改正するとしている。案文に付けた理由も、試験の実施に必要な費用の現状を踏まえて手数料の額を改める必要がある、という趣旨にとどまる。費用の内訳や、どの費目がどれだけ上がったかは、公表資料には示されていない。

技能試験は、学科試験の合格者と免除者が受ける実技試験で、受験者は作業用の工具を持参し、配線図で与えられた問題を支給される材料で一定時間内に完成させる。第二種の技能試験は47都道府県すべてで、土曜か日曜に分けて行われる。

1年前にも上げたばかり、前回前の1.4倍に

e-Gov法令検索で施行令の改正履歴をたどると、電気工事士試験の手数料は2025年11月14日に公布・施行された政令(令和7年政令第374号)で引き上げられている。電子申請の場合、第一種は1万900円から1万3000円に、第二種は9300円から1万1100円になった。2023年3月末時点や2024年末時点の条文でも額は同じで、今回の案はこの改定から約1年2か月後の施行を見込む。

案どおり改まれば、2025年11月の改定前と比べ、電子申請の手数料は第一種で1.42倍、第二種で1.32倍になる。

前回の引き上げ後の2026年度(令和8年度)は、試験センターの日程案内で第一種1万3000円、第二種1万1100円(いずれもインターネット申込み)の額で試験が行われた。第二種の上期試験の受験申込者は10万2031人で、2025年度上期の9万3520人を上回った。第一種の上期は2万1772人で、前年度上期の2万545人より多かった。

年18万人が申し込む第二種、仕事に直結する資格

電気工事士は、電気工事士法第3条で、一定の電気工事の作業に就くのに免状が要る国家資格だ。試験センターの説明では、第二種は主に一般住宅や小規模な店舗などの「一般用電気工作物等」の工事に、第一種はそれに加えて工場やビルなどの「自家用電気工作物」(最大電力500キロワット未満の需要設備)の工事に従事できる。免状を持たずに作業に就くと、3か月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金の対象になる。

試験は経済産業大臣が行う国家試験で、実際の事務は大臣の指定を受けた一般財団法人電気技術者試験センターが担っている。法第10条第2項は、指定試験機関が事務を行う試験の手数料をその機関の収入とすると定めており、受験者の払う手数料が試験の運営費になる。国家試験の事務を指定試験機関に任せる仕組みは、ほかの資格にもある(行政書士試験の合格決定、知事から指定試験機関へ委任可能に 総務省が省令案)。

試験センターの統計によると、2025年度の第二種の受験申込者は上期・下期の合計で18万5056人。学科試験の合格者は7万8711人、技能試験の合格者は7万1471人だった。第一種の受験申込者は5万937人、技能試験の合格者は1万6509人だった。いずれも上期と下期で同じ人が申し込んだ場合は重ねて数えている。

2027年度上期の申し込みは2月12日から

試験センターがすでに公表している2027年度の日程では、第一種の上期試験の申し込みは2月12日から3月1日まで、第二種の上期試験は3月15日から4月5日まで受け付ける。政令が予定どおり1月上旬に公布・施行されれば、どちらの上期試験も施行後に申し込みが始まる。

上期の学科試験(CBT方式)は、第一種が4月1日から5月8日まで、第二種が4月20日から6月4日までの期間に受ける。技能試験は第一種が7月3日、第二種が7月17日か18日。下期は、第一種が7月26日から8月12日まで、第二種が8月16日から9月2日まで申し込みを受け付け、技能試験は第一種が11月20日、第二種が12月11日か12日に行う。

2027年度の学科試験は、CBT方式(試験会場のパソコンで解答する方式)で実施する。申し込みは原則としてインターネットで受け付け、受験手数料はクレジットカード、コンビニ、ペイジーで払う。書面での申し込みは、インターネットを使えないなどやむを得ない事情がある場合に限り、受付終了日の10日前までに試験センターへ連絡するよう求めている。

意見は、e-Govパブリック・コメントのページから12月6日午後8時まで提出できる。行政手続法に基づかない任意の意見募集で、所管は経産省産業保安・安全グループ電力安全課。