経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会と消費者庁、国民生活センターは9月29日、「電気・ガスの契約トラブルなどに気をつけましょう(令和8年9月版)」を連名で公表した。インターネットで電気やガスを申し込む際、大手の会社に申し込んだはずが別の会社と契約していた、という相談が多数寄せられているとして、どの企業のWebサイトにアクセスしているかをよく確認するよう呼びかけた。

「検索結果の一番上」から知らない会社へ

3機関が挙げた相談の例は2つある。1つは「引っ越しの際に、インターネットで大手電気会社と契約したつもりが、知らない会社と契約していた」というもの。もう1つは「インターネット検索結果の一番上に表示されたサイトを通じて、大手ガス会社を希望して手続を進めていたが、契約の際になって知らない会社が契約先として表示された」というものだ。

いずれも、申し込んだ相手が思っていた会社と違っていた、という点が共通する。3機関は、こうしたケースでは「利用者が意図せず『仲介サイト』を利用していた可能性がある」と説明した。

申込サイトと仲介サイトは別物

電気やガスの申し込みを受け付けるWebサイトには2種類ある。小売事業者が自ら運営する「申込サイト」と、第三者が複数の小売事業者のサービスを取り次ぐ「仲介サイト」だ。

仲介サイトそのものが問題なわけではない。3機関も、多種多様なサービスの中から生活スタイルに合うものを選びたい人が「効率よく複数のサービスの情報を収集することができる」と利点を認めている。実際、資源エネルギー庁の登録小売電気事業者一覧によると、電気事業法に基づく登録事業者は令和8年9月14日現在で820社ある。一社ずつ比べるのは現実的ではなく、比較の受け皿が求められるのは自然な流れだ。

問題は説明の不足にある。3機関は「一部の仲介サイトには、仲介サイトである旨の説明や、どの小売事業者のサービスを仲介しているかの説明が不十分なものもあります」と指摘した。契約したい会社が決まっている場合は、その事業者の申込サイトにアクセスしているかを確かめることが重要だとしている。

ネット経由の入り口が消費者トラブルの起点になる構図は、他の分野でも広がっている。消費者庁の分析では、訪問販売のトラブル、「飛び込み」から「ネット広告を見て自分で呼んだ」へ 消費者庁分析、9年で4.1%から36.3%にという変化が起きている。解約手続でも、サブスク契約者の17.9%が解約トラブルを経験 「解約ページが見つからない」46.0% 60歳代は23.3%で最も高い 消費者白書という結果が出ている。

指針は「速やかに訂正を働きかけよ」と求める

小売事業者の側にも、放置してよいという扱いにはなっていない。経済産業省の「電力の小売営業に関する指針」は5ページの「望ましい行為」の項目に、価格比較サイトなどで第三者によって虚偽や誤解を招く情報提供が行われていることを小売電気事業者が把握した場合、「速やかに当該情報の訂正を働きかけることが需要家の混乱や誤解を防止する観点から望ましい」と書いている。

さらに、自らの広告媒体として使っている価格比較サイトで誤解を招く情報提供を把握しながら、「その状態を長期間にわたり不当に放置し、働きかけを行わない場合には、電気の使用者の利益の保護に支障が生じるおそれがあり、問題となる」と踏み込んだ。「問題となる行為」は電気事業法上の業務改善命令や業務改善勧告の原因になり得る行為を指す。ガスの小売営業に関する指針にも、ほぼ同じ文言が置かれている。

電気の相談は2期連続で増加、ガスは減少

公表資料には、電力・ガス取引監視等委員会がまとめた四半期別の相談件数も載った。電気の契約トラブルなどに関する相談は2026年度4〜6月期が627件で、前年同期にあたる2025年度4〜6月期の545件から82件増えた。2025年度10〜12月期の447件を底に、1〜3月期591件、4〜6月期627件と2四半期続けて増えている。

一方、ガスは2026年度4〜6月期が60件で、前年同期の93件から減った。電気に比べて件数自体が1桁少ない。

電気の小売は平成28(2016)年4月1日、ガスの小売は平成29(2017)年4月1日に、それぞれ家庭向けを含めて全面自由化された。会社を選べるようになった一方で、選び方の入り口がインターネットに移り、そこでの表示の分かりにくさが相談の形で表面化している。

3機関は、困ったときの相談先として消費者ホットライン(局番なしの188)を案内した。電気・ガスの契約に関する制度などについては、電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(03-3501-5725)を挙げている。