公明党は10月3日午後、東京都新宿区の公明会館で第18回全国大会を開き、新代表に岡本三成衆院議員を選出した。党規約の規定に基づき常任役員会が推挙し中央幹事会が推薦した岡本氏が、出席代議員の挙手総員で信任を得た。岡本代表はあいさつで「公明党はきょう新たなスタートを切ります。中道改革連合に参画していた衆院議員が再結集し、衆参そろった国政政党としての新出発です」と述べた。
岡本代表は衆議院の名簿で「おかもと みつなり」と読み、比例東京ブロック選出の当選6回。前任の竹谷とし子氏について、岡本代表は「8カ月間にわたり、公明党の先頭に立って獅子奮迅の戦いをしてくださった」と述べ、その竹谷氏を代表代行に起用した。
新執行部は幹事長に西田実仁氏 「党ユース」の設置を党規約に
岡本代表は、赤羽一嘉、山本香苗の両副代表、谷合正明中央幹事会会長ら新役員35人を指名し、大会で承認された。幹事長は西田実仁氏、政務調査会長は中野洋昌氏。大会後に開かれた第1回中央幹事会では、幹事長指名人事として中川康洋氏が国会対策委員長、河西宏一氏が選挙対策委員長に就いた。
大会ではもう一つ、党の仕組みを変える議案が通っている。若い世代の発想や声を党運営につなげる特別組織「党ユース」の設置に関する党規約の一部改正案で、提出されて可決された。岡本代表は年内にも「公明党ユース」を立ち上げると表明し、「若者自身の『自律性』を尊重し、そこで生まれた提案を党の意思決定に直接つなげる仕組みを作ります」「若者を公明党に合わせてもらうのではありません。若者の力で公明党を進化させてまいります」と述べた。欧州などの政党にある若手組織を参考にしつつ「さらに進んだ国内初の仕組みにしていきます」としている。
党の掲げる政策は、昨年11月に中道改革の旗印として示した5本柱を引き継ぐ。①現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築②選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現③生活の豊かさに直結する1人当たりGDPの倍増④現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化⑤政治改革の断行と選挙制度改革の実現、の5つである。①については、医療や介護、教育など生活に不可欠な公的サービスへのアクセスを保障するという「ベーシック・サービス」の理念を位置づけ、2040年を見据えた社会像「2040ビジョン」の最終取りまとめを来年夏までに完成させるとした。
比例のみの定数削減は「断じて容認できません」
代表選出の2日後にあたる10月5日、第222回国会(臨時会)が召集された。岡本代表があいさつで名指しした臨時国会の焦点の一つが、衆院議員の定数削減である。
岡本代表は「選挙制度改革も重要な課題です。衆院議員の定数削減を巡っては、小さな声を切り捨てる『比例区のみの削減』は、断じて容認できません」「衆院の選挙制度と定数のあり方はセットで議論すべきです」と述べた。参院の「1票の格差」是正については、全国を複数のブロックに分けた大選挙区制を提唱し、合区の解消もあわせて求めるとした。
削減の中身は、自民・維新が6月に提出した法案で具体的に示されている。衆院定数削減法案、6月の提出から採決されず閉会中審査 減らす45人はすべて比例代表 協議が1年でまとまらなければ自動的に定数420人で伝えたとおり、減らす45人はすべて比例代表で、小選挙区には手を付けない。岡本代表の「比例区のみの削減」という言い方は、この法案の構造をそのまま指している。
一方、高市早苗首相は同じ10月5日の所信表明演説で「また、衆議院の議員定数削減についても、今国会での実現に向け、しっかり御議論いただくことを、期待しています」と述べた。政府・与党が今国会での決着を求め、公明党が比例のみの削減を拒むという構図である。
食料品1%案は「あまりに非効率」 恒久的な引き下げを主張
もう一つの焦点が消費税である。政府は来年4月から2年間に限り、食料品の消費税率を1%にする方針で、その中身は食料品の消費税、2027年4月から2年間1%に 本体1000円の食品は1080円から1010円へ 酒類・外食と新聞の定期購読は対象外で伝えた。
岡本代表はこの政府案を「物価高対策としてはあまりに非効率です。いま求められるのは即効性ある具体策です」と批判した。そのうえで「政府案は別の言い方をすれば、物価高対策に10兆円を使う、その手段の提案です」とし、この10兆円をどう使えば物価高対策として国民の期待に応えられるかを、全国から集まった代議員に問いかける形をとった。公明党としては「消費税率の減税は一時的な物価高対策ではなく、『生きるための食』を支える福祉政策として、財源を確保した上で恒久的に引き下げるべきです」との立場を示した。
政府が導入を検討する所得連動型給付は「給付付き税額控除への入口」と位置づけ、給付の対象外となる人や働くことが困難な人への対応策を早急に示すよう求めた。また「金融市場は、現政権の責任感が見えない積極財政に警鐘を鳴らしています」とし、金利上昇と円安が進めば生活者を苦しめるとも述べた。
これに対し高市首相は所信表明演説で、「切れ目のない物価高対策として、かつ、中低所得者の皆様の負担を直接軽減するため、『消費税・支援金法案』の準備を進めています」と説明し、財源については「市場の信認を得られるよう、特例公債に頼らずに確保することとしており、御心配には及びません」と述べている。
非核三原則の堅持を要求 衆院に「公明党」の会派はない
外交・安全保障では、岡本代表は「人間の安全保障」を基軸に対話による平和外交を展開するとし、政府・与党が年内に安全保障関連3文書を改定する方針について「その中で『非核三原則』を見直すのではないかとの懸念が指摘されています」と述べ、「公明党は非核三原則の堅持を強く求めます」とした。
もっとも、高市首相の所信表明演説は「防衛力の抜本的強化のため、年末までに、『三文書』を見直します」と述べるにとどまり、非核三原則への言及はなかった。岡本代表が示したのは、政府が表明した方針への反論ではなく、指摘されている懸念に先回りして予防線を張る形の要求である。
こうした要求がどこまで通るかは、議席の数に左右される。衆議院が公表した会派名及び会派別所属議員数(令和8年9月28日現在)によると、自由民主党・無所属の会が315人で、次が統一会派「中道」の47人。以下、日本維新の会36人、国民民主党・無所属クラブ28人、参政党15人、チームみらい11人、日本共産党4人、志士の会2人と続く。この一覧に「公明党」という会派名はない。岡本代表自身の会派も「中道」であり、公明党は衆院に独立した会派を持っていない。経緯は衆院に統一会派「中道」結成、47人で自民に次ぐ第2会派に 公明出身27人と民主改革18人ら 公明党は28人の復党を承認し衆参49人で伝えた。岡本代表も、臨時国会で「この志を同じくする仲間と共に統一会派『中道』を結成し、結束して国政の諸課題に立ち向かってまいります」と述べている。
参議院のほうは独立した会派がある。参議院が公表した第222回国会の会派別所属議員数(令和8年10月5日現在)では、公明党は21人(うち女性2人)で、自由民主党・無所属の会101人、立憲民主・無所属39人、国民民主党・新緑風会25人に次ぐ4番目の規模である。衆参あわせた国会議員の数で見れば、政府・与党の賛同を得ずに法案を動かせる位置にはない。岡本代表が「より『開かれた党』として与野党の垣根なく幅広く連携し」「『政界再編の軸』となり」と繰り返したのは、この議席数を前提にした言い方でもある。
なお岡本代表は、来年春の統一地方選で「公明議員の約半数が改選となります」と述べ、今年12月の茨城県議選を含む統一外地方選、来年春の統一選、秋の東北復興選挙での全員当選を呼びかけた。
