パナソニックホールディングス(HD)は10月30日、2026年4〜9月期(中間期)の連結決算(国際会計基準)を発表した。営業利益は3632億円で、前年同期の1650億円の2.2倍になった。生成AIを動かすデータセンター向けの蓄電システムやコンデンサ、半導体製造装置向けの機器の販売が伸び、6つの事業部門のうち5部門が増収となった。あわせて2027年3月期(2026年4月〜2027年3月)の通期業績予想を上方修正し、営業利益の予想を7月30日公表の5900億円から7100億円に引き上げた。業績の見直しを受け、年間配当予想も1株54円から70円に増やした。
中間期の営業利益は2.2倍の3632億円
決算短信によると、4〜9月期の売上高は4兆925億円で、前年同期の3兆8205億円から7.1%増えた。営業利益は120.1%増の3632億円、税引前利益は109.7%増の3730億円だった。親会社の所有者に帰属する中間純利益は2770億円で、前年同期の1424億円から94.5%増えた。基本的1株当たり中間純利益は118円62銭(前年同期は61円00銭)。
9月末の資産合計は10兆3076億円、親会社の所有者に帰属する持分は5兆3668億円で、親会社所有者帰属持分比率は3月末の51.2%から52.1%に上がった。
7〜9月期(第2四半期)だけを取り出すと、売上高は2兆736億円で前年同期比8%増えた。本業のもうけを示す指標として同社が示す「調整後営業利益」(売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた額)は904億円から2132億円に、営業利益は781億円から1807億円に増えた。同社は説明会資料で、第2四半期の利益として過去最高を更新したとしている。
調整後営業利益が1228億円増えた内訳も示した。販売の増加による増益が600億円、価格改定や合理化などによる増益が740億円だった。固定費は戦略投資や物価上昇の影響があったものの、前年度に実施した構造改革の効果330億円などで210億円減った。一方、銅や樹脂、メモリの価格高騰などで原材料・物流費が640億円かさんだ。円安による為替の影響は110億円、米国関税の影響は216億円のプラスだった。営業利益の段階では、ドラム式洗濯乾燥機のリコール費用などで「その他損益」が202億円悪化した。
電池と電子部品の利益が伸び、家電は減益
部門別に見ると、利益の伸びが大きかったのは電池の「エナジー」と電子部品・制御機器の「インダストリー」だった。決算短信のセグメント情報によると、4〜9月期のエナジーの売上高は6459億円(前年同期は4469億円)、セグメント利益は965億円(同331億円)で、利益は2.9倍になった。説明会資料によると、車載電池は米カンザス工場の稼働拡大で北米工場の販売が増え、米国関税の還付の影響もあって大きく増益となった。産業・民生向けでは、データセンター向け蓄電システムの需要が増えた。
インダストリーは売上高6838億円(同5735億円)、セグメント利益869億円(同463億円)だった。AIインフラ向けのコンデンサや多層基板材料に加え、半導体製造設備向けのサーボモーターやセンサーの販売が増えた。インダストリーのAI関連事業の第2四半期の売上高は886億円で、前年同期の1.6倍だった。
部門別のセグメント利益(4〜9月期)(億円)
前年同期今期
数値で見る(単位: 億円)
| 項目 | 前年同期 | 今期 |
|---|---|---|
| コネクト | 289 | 581 |
| EW | 272 | 573 |
| HVAC | 193 | 308 |
| エナジー | 331 | 965 |
| インダ | 463 | 869 |
| スマート | 154 | 73 |
ほかの部門も、家電を除いて増益だった。航空機向け機器や物流ソフトのブルーヨンダーを抱える「コネクト」は売上高7212億円、利益581億円で、前年同期の289億円から倍増した。電材などの「エレクトリックワークス(EW)」は売上高5834億円、利益573億円(同272億円)、エアコンやコールドチェーン(低温物流)機器の「HVAC & CC」は売上高7585億円、利益308億円(同193億円)だった。
家電の「スマートライフ」は売上高が6566億円から6440億円に減り、利益は154億円から73億円に減った。国内は小型家電を中心に堅調だったが、中国の大型家電や欧州のAVC商品の販売が減った。ドラム式洗濯乾燥機のリコール費用もこの部門に計上している。
通期予想を上方修正、年間配当は70円に
通期の連結業績予想は、売上高を7兆8000億円から8兆4000億円に、営業利益を5900億円から7100億円に、税引前利益を5900億円から7200億円に、親会社の所有者に帰属する当期純利益を4500億円から5400億円にそれぞれ引き上げた。調整後営業利益の予想は6500億円から7800億円になる。予想どおりになれば、前期の実績(売上高8兆487億円、営業利益2364億円、当期純利益1895億円)に比べ、営業利益は3倍、純利益は2.8倍になる。前期の営業利益は構造改革費用1745億円を含んでおり、その分が今期はなくなる。
| 項目 | 前期実績 | 7月30日の予想 | 今回の予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8兆487億円 | 7兆8000億円 | 8兆4000億円 |
| 調整後営業利益 | 4474億円 | 6500億円 | 7800億円 |
| 営業利益 | 2364億円 | 5900億円 | 7100億円 |
| 当期純利益 | 1895億円 | 4500億円 | 5400億円 |
| 年間配当 | 40円 | 54円 | 70円 |
出典: パナソニック ホールディングス「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信」「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」(年間配当の「7月30日の予想」欄は5月12日公表の予想)
説明会資料によると、調整後営業利益を1300億円上げる内訳は、販売の増加で400億円、価格改定・合理化などで710億円、為替で360億円、米国関税の影響で250億円のプラスだった。前回の見通しで全体に見込んでいた中東の影響やメモリ価格などの高騰リスク200億円も、全額取り除いた。一方、材料の高騰などで原材料・物流費は570億円、固定費は50億円のマイナスを見込む。通期の想定為替レートは1ドル155円で、前回の145円から円安方向に見直した。下期は1ドル150円を想定する。
部門別の調整後営業利益の見通しは、エナジーが2000億円、インダストリーが1900億円、エレクトリックワークスが1180億円、コネクトが1150億円、スマートライフが750億円、HVAC & CCが600億円。インダストリーは前回から500億円、エナジーは270億円引き上げた。同社は、2028年度の目標として掲げていた調整後営業利益7500億円以上を、2年前倒しで達成することを目指すとしている。自己資本利益率(ROE)の見通しは前回の8%から10%に上げた。
配当予想の修正に関する発表によると、期末配当の予想を1株27円から43円に16円引き上げた。中間配当はすでに27円(前年同期は20円)と決めており、11月30日に支払いを始める。年間配当は従来予想の54円から70円になり、前期実績の40円から30円の増配となる見込みだ。
同社は配当方針について、連結業績に応じた利益の配分を基本とし、連結配当性向30%を目安に安定的・継続的な配当に努めるとしている。修正後の通期予想の基本的1株当たり当期純利益は231円26銭で、年間70円の配当はその約30%に当たる。通期の利益予想を2割引き上げたことが、そのまま配当の引き上げにつながった形だ。
AI向けの供給能力を前倒しで拡大
需要の拡大に合わせ、生産能力の増強も進める。説明会資料によると、インダストリーのAI関連事業の通期売上高見通しを、前回の3100億円から3600億円に引き上げた。多層基板材料では中国・蘇州工場とタイ・アユタヤ工場で第2期の新棟の建設を決め、導電性高分子コンデンサでは宇治工場(京都府)とインドネシア・バタム工場で生産ラインの増設や新棟の立ち上げを進める。四日市工場(三重県)には次世代半導体用材料の開発拠点を新設する。
エナジーでは、データセンター向け蓄電システムのセル生産について国内の車載電池向けラインからの切り替えを順次進めており、モジュールではメキシコの第2工場が9月に稼働を始めた。
パナソニックHDにとっては、メモリの値上がりが原材料・物流費を押し上げる要因の一つになっている。メモリを作る側の決算は別の記事で伝えた(関連記事:キオクシアHD、初の配当は1株90円 中間期純利益2兆1979億円)。7月30日の第1四半期決算の説明会で、パナソニックHDの和仁古明グループCFOは、データセンター需要に伴う周辺領域での需要拡大について「一時的ではなく、中長期的に継続すると考えている」と答えていた。
