総務省は10月28日、米軍や自衛隊の施設がある市町村に国が配る2026年度分の「国有提供施設等所在市町村助成交付金」(基地交付金)と「施設等所在市町村調整交付金」(調整交付金)の交付額を決めた。基地交付金は297団体に307億4000万円、調整交付金は51団体に78億円で、合計は385億4000万円。いずれも前年度と同じ額だった。両方を受ける団体を1つと数えると対象は298市町村で、前年度から1つ増えた。新たに加わったのは佐賀市で、基地交付金3億7987万円を受ける。1団体あたりの交付額が最も多いのは山口県岩国市の25億1332万円だった。

総額は前年度と同じ385億4000万円

総務省の報道資料によると、2026年度分の内訳は、基地交付金が307億4000万円(対象297団体)、調整交付金が78億円(同51団体)。延べ348団体で、重複を除いた実際の団体数は298になる。

総額は2年続けて増えていない。2023年度分と2024年度分は基地交付金が299億4000万円、調整交付金が76億円で、合計375億4000万円だった。2025年度分で基地交付金が8億円、調整交付金が2億円増えて385億4000万円になり、今年度はその額に据え置かれた。対象団体数は2023年度分から2025年度分まで、基地交付金が296、調整交付金が51、実団体数が297で変わっていなかった。今年度は基地交付金の対象が297に増え、実団体数も298になった。

前年度と今年度の市町村別の一覧表を突き合わせると、増えた1団体は佐賀市だった。佐賀市は今年度の一覧表に初めて載り、基地交付金だけを受ける。市内では2025年7月9日、防衛省が陸上自衛隊佐賀駐屯地を開設し、V-22オスプレイを運用する輸送航空隊が木更津駐屯地(千葉県)から移った。今年度分は2026年3月31日時点で市町村内にある施設が基準になるため、開設後初めての算定となった。調整交付金の対象51団体の顔ぶれは変わっていない。

最多は岩国市、横須賀・三沢・福生が続く

市町村別の交付額(基地交付金と調整交付金の合計)は、岩国市の25億1332万円が最も多く、神奈川県横須賀市の23億5067万円、青森県三沢市の21億5779万円、東京都福生市の17億7390万円が続いた。5位の沖縄県沖縄市(14億5764万円)は、調整交付金だけで見ると9億8763万円で全国最多だった。

順位 市町村 基地交付金 調整交付金 合計
1 山口県岩国市 21億9472万円 3億1859万円 25億1332万円
2 神奈川県横須賀市 21億2018万円 2億3048万円 23億5067万円
3 青森県三沢市 13億6276万円 7億9503万円 21億5779万円
4 東京都福生市 15億2665万円 2億4724万円 17億7390万円
5 沖縄県沖縄市 4億7001万円 9億8763万円 14億5764万円
6 神奈川県相模原市 12億6362万円 1億1833万円 13億8196万円
7 神奈川県綾瀬市 9億9010万円 2億7192万円 12億6203万円
8 沖縄県嘉手納町 3億1295万円 7億9502万円 11億797万円
2026年度分の基地交付金・調整交付金の交付額が多い8市町村(1万円未満は切り捨て)

出典: 総務省「令和8年度国有提供施設等所在市町村助成交付金及び施設等所在市町村調整交付金(交付額一覧表)」

上位の顔ぶれは前年度と同じだが、額はおおむね小さくなった。岩国市は前年度の25億2324万円から約990万円、横須賀市は23億6132万円から約1070万円、三沢市は21億6805万円から約1030万円減った。総額が据え置かれた中で佐賀市が新たに加わり、ほかの団体への配分が少しずつ減った形だ。

前年度から最も増えたのは宮崎県新富町で、2億1368万円から2億4117万円になった。鳥取県境港市、沖縄県名護市(3億4432万円から3億5722万円)も1000万円以上増えた。最も減ったのは栃木県宇都宮市で、1億3880万円から1億2378万円になった。

沖縄県内24市町村に76億円、調整交付金の6割強

都道府県別に合計すると、沖縄県内の24市町村が受ける額は76億5736万円で最も多く、全国の総額の約2割を占める。内訳は基地交付金が28億981万円、調整交付金が48億4754万円。調整交付金の総額78億円のうち62%が沖縄県内の市町村に配られる。沖縄市、嘉手納町、北谷町(5億5315万円)、宜野湾市(4億8291万円)、うるま市(4億6454万円)など、調整交付金の多い団体の上位には県内の市町村が並ぶ。

都道府県別の交付額の合計(2026年度分)(億円)

沖縄76.6神奈川64.0東京41.6青森28.6山口28.2北海道17.6
基地交付金と調整交付金の合計。都道府県内の市町村の額を足し上げた。上位6道県出典: 総務省「令和8年度国有提供施設等所在市町村助成交付金及び施設等所在市町村調整交付金(交付額一覧表)」
数値で見る(単位: 億円)
項目億円
沖縄76.6
神奈川64.0
東京41.6
青森28.6
山口28.2
北海道17.6

2位の神奈川県は7市町で63億9547万円、3位の東京都は特別区分を含む12団体で41億6457万円だった。青森県(28億5950万円)、山口県(28億2222万円)が続く。北海道は対象が53団体と最も多いが、自衛隊の演習場などがある町村に広く配られるため、合計は17億5858万円にとどまる。

沖縄県内の合計は前年度の77億1879万円から約6100万円減った。県内では名護市が増えた一方、沖縄市や嘉手納町、北谷町、金武町などが減った。

資産の価格で7割、事情を考慮して3割を配る

基地交付金は1957年に制定された「国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律」に基づく。国が持つ固定資産のうち、日米安全保障条約に基づいて米軍に使わせている施設・区域と、自衛隊が使う飛行場、演習場、弾薬庫、燃料庫、通信施設が所在する市町村に、毎年度、予算の範囲内で配る。額は資産の価格と市町村の財政状況などを考えて決め、総務相は交付の前に地方財政審議会の意見を聴かなければならない。担当は総務省自治税務局の固定資産税課だ。

配り方は政令が定める。総額の10分の7は、その年の3月31日時点で市町村内にある対象の土地・建物・工作物の価格(国有財産台帳に載った額)に応じて割り振る。残る10分の3は、施設の種類や用途、市町村の財政状況などを考えて、特に必要があると認める市町村に総務相が配分する。地方交付税の算定で基準財政収入額が基準財政需要額を5億円より多く上回る団体は、資産の価格に応じた分から一部が差し引かれる。

もう一つの調整交付金は、法律ではなく総務省の交付要綱に基づいて配られる。今年度の対象51団体のうち24団体が沖縄県内の市町村で、北海道で受けるのは千歳市だけだった。

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