2027年度(令和9年度)に医学部の臨時定員を増やす私立大学は21校で、増員は本紙の集計で合わせて296人となった。文部科学省が10月27日に掲載した学則変更予定一覧で分かった。10月9日に公表された認可申請の一覧は23校・314人で、日本大学の15人と久留米大学の3人が今回の一覧に載っていない。一覧に理由の記載はなく、残る21校の人数は申請と同じだった。

申請の23校から21校に

学則変更予定一覧は、私立大学が医学部の収容定員を増やすために学則を変える予定をまとめた資料だ。文科省の大学設置・学校法人審議会のページでは、「答申」の「収容定員変更関係」の欄に10月27日付で載っている。令和9年度分は、10月9日に「諮問」の欄へ認可申請の一覧が掲載されていた。

二つの一覧を突き合わせると、申請の整理番号10番の日本大学と23番の久留米大学が、予定一覧には無い。校数は23校から21校へ減り、増員の合計は314人から296人へ18人減った。

前の年度と比べると、今回の差がはっきりする。令和8年度分は、令和7年10月の申請の一覧も、10月28日の予定一覧も、ともに24校だった。

国立大学の側に変更は無い。10月27日の参考資料に載る国立大学の計画は37校で、増員の合計は534人と、10月9日の資料と同じだった。

21校の一覧

増員が最も多いのは岩手医科大学の35人で、順天堂大学の34人、自治医科大学と昭和医科大学の23人、埼玉医科大学の20人が続く。21校の附帯事項は、いずれも「特になし」だった。

大学 所在地 令和8年度の定員(人) 増員前(人) 増員(人) 令和9年度の定員(人)
岩手医科大学 岩手県矢巾町 130 95 35 130
自治医科大学 栃木県下野市 123 100 23 123
獨協医科大学 栃木県壬生町 126 110 16 126
埼玉医科大学 埼玉県毛呂山町 130 110 20 130
順天堂大学 千葉県印西市、東京都文京区 137 105 34 139
昭和医科大学 東京都品川区、神奈川県川崎市、山梨県富士吉田市 133 110 23 133
帝京大学 東京都板橋区 120 110 10 120
東京医科大学 東京都新宿区 125 113 12 125
東邦大学 東京都大田区 123 110 13 123
日本医科大学 東京都文京区 125 110 15 125
北里大学 神奈川県相模原市 126 110 16 126
聖マリアンナ医科大学 神奈川県川崎市 117 110 7 117
東海大学 神奈川県平塚市、伊勢原市 118 110 8 118
金沢医科大学 石川県内灘町 113 110 3 113
愛知医科大学 愛知県長久手市 115 105 10 115
藤田医科大学 愛知県豊明市 122 110 10 120
大阪医科薬科大学 大阪府高槻市 112 110 2 112
関西医科大学 大阪府枚方市 121 110 6 116
近畿大学 大阪府堺市 107 95 15 110
兵庫医科大学 兵庫県西宮市、神戸市 112 108 4 112
川崎医科大学 岡山県倉敷市 124 110 14 124
計(21校) 296
令和9年度(2027年度)から医学部の定員を増やす私立大学21校(合計は本紙が集計。昭和医科大学と東京医科大学の増員前の人数は学則上の入学定員ではなく募集定員)

出典: 文部科学省「令和9年度からの私立大学医学部の収容定員の増加に係る学則変更予定一覧(令和8年10月27日)」

東京都内の6校は、定員増を抑える特定地域の規定について、除外規定の特例を使う。順天堂大学、昭和医科大学、帝京大学、東京医科大学、東邦大学、日本医科大学で、増員は計107人にのぼる。申請の段階では、日本大学を含む7校だった。

地域別では、九州の私立大学が一覧から無くなった。申請の23校のうち九州の大学は久留米大学だけで、予定一覧の最も西は岡山県の川崎医科大学である。

載らなかった2校の18人は地域枠

日本大学の申請は、増員前の120人に15人を加えて135人とする内容だった。令和8年度の定員は135人で、申請どおりなら同じ人数を保つことになる。久留米大学の申請は、増員前の110人に3人を加えて113人とする内容で、令和8年度の定員は114人だった。

文科省が10月9日に示した各大学の取組の概要によると、2校の増員分はいずれも地域枠である。日本大学の内訳は埼玉県5人、新潟県4人、茨城県3人、静岡県3人で、久留米大学は福岡県3人だった。

地域枠は、都道府県が医療に関する計画に基づいて奨学金を設け、大学が地域医療を担う意思を持つ人を選抜する仕組みだ。増員分が無くなれば、該当する県の枠にも影響する可能性がある。ただ、各県の枠がどう扱われるかは、今回の資料からは読み取れない。

なぜ一覧に載らなかったのかは、文科省の公表資料では分からない。予定一覧のページと資料の注に、2校についての言及は無い。審議の結果なのか、大学が申請を取り下げたのか、後から一覧に加わるのかも確認できていない。

手がかりになるのは、日本大学が予定一覧の掲載後に示した資料である。厚生労働省の検討会に11月4日付で出した資料は、「2027年度入学者地域枠入試(申請中を含む)」として、臨時定員の地域枠を載せている。学校推薦型選抜(公募制)で新潟県2人、埼玉県3人、茨城県2人、静岡県2人、3月に試験を行う選抜で新潟県2人、埼玉県2人、茨城県1人、静岡県1人という内訳だ。合計15人で、申請の増員数と一致する。学校推薦型選抜の1次試験は12月12日と記されている。資料は、どの県の枠が申請中なのかを区別しておらず、認可の見通しにも触れていない。

2校はいずれも、2027年度の募集要項を公開している。日本大学は学校推薦型選抜(公募制)の地域枠について、新潟県(2種類)、埼玉県、茨城県、静岡県、栃木県の6種類の要項を医学部のサイトに載せており、6種類とも「認可申請中」と表示している。掲載日の記載は9月28日から10月15日で、予定一覧より前だ。出願期間は11月17日から27日までで、埼玉県の募集人員は3名とある。

久留米大学の2027年度の学生募集要項は、福岡県特別枠推薦型選抜の募集人員を3名とし、地域枠に該当すると説明している。増員を申請した3人と同じ人数だが、この3名が増員分にあたるかは要項から読み取れない。表紙には「記載事項が変更される可能性があります」とある。

予定一覧に載らなかったことについての大学側の説明は、本紙が11月7日に確認した範囲では見当たらなかった。日本大学医学部の地域枠選抜案内は「2027年度 日本大学医学部地域枠選抜案内(認可申請予定)」と題したまま、「決定しましたらお知らせいたします」と記している。同学部のお知らせ一覧にも、予定一覧や定員の変更に触れた項目は無い。久留米大学の受験情報サイトは、医学科の入学定員を114名と掲載している。

全体の定員はどうなるか

文科省の大学別一覧によると、10月9日時点の計画は、医学部を置く81大学の定員の合計を、臨時増員を除いて8396人、増員940人を加えて9336人とするものだった。令和8年度の9377人より41人少ない。増員の内訳は国立37校が534人、公立8校が92人、私立23校が314人である。

2校の増員分をそのまま差し引くと、増員は68大学・940人から66大学・922人に、定員の合計は9318人になる。地域枠は66大学・902人から64大学・884人という計算だ。これらは本紙の試算で、文科省が示した数字ではない。公立大学の数字は10月9日の資料のものを使っている。

令和9年度の医学部の総定員は、令和7年度の9393人を上限とすることが決まっている。計算上の9318人は、この上限を75人下回る。

申請の段階の内訳と、地域枠の仕組みの詳しい説明は、2027年度に医学部の臨時定員を増やす私大23校 計314人、国公立含め68大学で940人で扱った。

臨時定員は令和9年度限り

今回の増員は、文科省の資料で「令和9年度限り」とされている。令和8年度末が期限だった臨時増員の枠組みを、令和9年度末まで1年間延長した形だ。予定一覧の注は、増員を令和14年度までの期限付きの収容定員増と位置づけている。

その先の方向は、厚生労働省が検討している。11月4日の医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会の資料は、令和10年度の臨時定員について「我が国全体として削減を図る方向性」を示し、「医師多数県等の一律の区分によらず」削減に取り組む案を掲げた(医学部の臨時定員、2028年度は「医師多数県」に限らず削減へ 厚労省案 地域枠は恒久定員内へ)。

受験生にとって、定員の増減は出願先を決める材料になる。日本大学の地域枠の学校推薦型選抜は、11月17日に出願が始まる。2027年度の入試を考える人は、日本大学と久留米大学の募集要項や地域枠の案内が更新されるかを確かめる必要がある。文科省の問い合わせ先は、高等教育局高等教育企画課大学設置・評価室である。