厚生労働省は9月18日、令和8年度(2026年度)の地域医療介護総合確保基金のうち介護分について、1回目の内示を各都道府県あてに行ったと発表した。基金の規模は全国で276億2500万円、このうち国が負担する内示額は184億1600万円だった。都道府県別では神奈川県が53億1900万円で最も多い。

神奈川・千葉・大阪の3府県で全体の45%

内示額(国費)の多い順に並べると、神奈川県35億4600万円、千葉県26億1700万円、大阪府21億4400万円となる。基金規模でみた上位3府県の合計は124億6000万円で、全国276億2500万円の45.1%にあたる。

4位以下は広島県17億1900万円、宮崎県13億9000万円、北海道13億1600万円、埼玉県13億1200万円、茨城県10億3100万円の順。人口規模の大きい県が上位に並ぶなかで、宮崎県が5番目に入った。

一方、青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、東京都、富山県、福井県、山梨県、島根県、山口県、愛媛県、高知県、熊本県、大分県の16都県は0円だった。47都道府県のおよそ3分の1にあたる。

今回配られたのは施設整備分だけ

発表には2種類の一覧表が付いている。別添1が「介護分」全体、別添2が「介護施設等整備分」で、この2つは全都道府県で金額が一致している。つまり今回の内示は全額が施設整備分で、介護職員の確保に使う「介護従事者確保分」は含まれていない。昨年度の発表にはあった従事者確保分の一覧表が、今回は付いていない。

そのため、0円だった16都県を「介護に配分がなかった県」と読むのは早い。たとえば東京都は昨年度も施設整備分は0円で、41億7900万円はすべて従事者確保分だった。逆に高知県は昨年度、施設整備分で10億400万円、熊本県は7億5800万円の配分を受けている。今回は1回目の内示であり、厚労省は今後の回について今回の発表では触れていない。

昨年度は令和7年12月12日に、施設整備分382億7000万円と従事者確保分134億8600万円を合わせた517億5600万円を内示していた。今年度は9月の時点で施設整備分276億2500万円が動いたことになり、施設整備に限れば昨年度実績の7割を超える額が3か月近く早く示された形だ。都道府県別では、神奈川県が昨年度の施設整備分12億900万円から4.4倍に増えた一方、大阪府は45億5900万円から32億1600万円に減っている。

消費税を財源に、国が3分の2を負担する仕組み

地域医療介護総合確保基金は、平成26年度(2014年度)に消費税の増収分などを財源としてつくられた制度で、都道府県ごとに基金が置かれている。根拠になっているのは地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号、通称・医療介護総合確保法)で、同法6条は、都道府県が基金を設ける場合に国が財源の3分の2を負担すると定めている。今回の内示額184億1600万円が基金規模276億2500万円のちょうど3分の2になっているのはこのためで、残る3分の1は都道府県が出す。

都道府県は毎年度、区域ごとの目標や事業内容を書いた「都道府県計画」をつくって国に提出し、国がそれを見て配分を決める。市町村分は市町村計画として都道府県が取りまとめる。対象事業は6区分あり、介護に関わるのは「介護施設等の整備に関する事業」と「介護従事者の確保に関する事業」の2つ。施設整備分が想定しているのは、厚労省の資料に「地域密着型サービス等」と書かれた施設の整備費だ。地域密着型サービスは介護保険法8条14項が定める区分で、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など9種類が挙げられている。市町村が事業者を指定し、原則としてその市町村の住民が使う、住み慣れた地域で暮らし続けるための小規模なサービス群である。

介護分の予算は524億円から430億円へ

厚労省の資料によると、基金全体の令和8年度予算額は公費ベースで1390億円。内訳は医療分960億円(うち国費647億円)、介護分430億円(うち国費287億円)である。前年度は全体1433億円、医療分909億円(国費613億円)、介護分524億円(国費349億円)だったので、医療分が51億円増えたのに対し、介護分は94億円減った。国費でみると62億円の減少となる。

介護分の予算は過去に824億円あった年度もあり、そこからは半分程度まで縮んでいる。今年度の国費287億円に対して、1回目の内示で184億1600万円が示されたことになり、年度予算の6割を超える額が9月時点で配分先の見通しに入ったことになる。残りをどう配るかは、2回目以降の内示を待つことになる。