飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間1%に下げ、所得に応じて配る「就業者負担軽減支援金」を設ける政府提出法案が6日、衆院本会議で可決され、参院に送られた。参議院の議案情報によると、採決は起立によるもので、結果は多数だった。与党の自民党と日本維新の会の参院会派は過半数に届いておらず、審議の場は「消費税・支援金法案に関する特別委員会」に移る。
委員会と本会議を同じ日に通過
議案情報に載った経過は次のとおりだ。法案は10月9日に内閣が提出し、10月20日に衆院財務金融委員会に付託された。11月6日に委員会で可決され、同じ日の本会議でも可決された。参院は6日のうちに衆院から法案を受け取っている。
| 日付 | 場所 | 内容 |
|---|---|---|
| 10月9日 | 内閣 | 法案を国会に提出 |
| 10月20日 | 衆院 | 財務金融委員会に付託 |
| 11月6日 | 衆院財務金融委員会 | 可決 |
| 11月6日 | 衆院本会議 | 起立採決で多数により可決 |
| 11月6日 | 参院 | 衆院から受領 |
衆議院の審議中継の記録では、6日の財務金融委員会は午前9時に始まり2時間32分だった。案件には政府案と並んで、国民民主党が提出した対案の衆法1号が載っている。答弁者の欄には高市早苗首相と片山さつき財務相の名がある。本会議は午後1時2分に始まり51分間で、根本幸典財務金融委員長の後に、中道の伊佐進一氏、国民民主党の田中健氏、参政党の牧野俊一氏、チームみらいの峰島侑也氏の4人が発言した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は散会後の取材で、対案は「賛成少数ということで否決」になったと説明している。本会議の討論の様子と与党への批判は国民民主・玉木代表「なぜ賛成討論にすら立たないのか」 食料品減税法案の採決後に与党へに記した。
2年間の減税の後は支援金へ、対象と金額は政令に
法案は大きく2つの柱から成る。内閣官房と財務省の概要によると、1つ目は2027年4月1日から2029年3月31日までの間、飲食料品の消費税率を地方消費税と合わせて1%にする措置だ。現在の税率は8%である。
減税に伴って事業者が取る手続きは、国税庁、免税事業者向けに約16分の説明動画 食料品1%で還付を受ける手続きは2通りで整理している。
2つ目が就業者負担軽減支援金で、毎年1回支給する。受け取るには、勤労所得が政令で定める額を超えること、合計所得金額が政令で定める額以下であることなどの要件を満たす必要がある。支援額も前年の所得や扶養する子どもの数に応じて政令で決める。費用は3分の2以上を国が負担し、残りを都道府県と市区町村が半分ずつ負担する。
政府は、この減税を支援金の2029年度の本格導入までの「つなぎ」と位置づけている。10月27日付の答弁書によると、税率を1%にとどめたのは、0%より事業者のシステム改修の期間が短く、2027年4月に実施できることなどが理由だ。残る1%相当分の範囲で、支援金を先に導入する。
財源について、概要は「特例公債に頼ることなく、歳出・歳入全般の見直しにより確保する」と記す。内閣府には支援金を担当する「租税・社会保険料負担に関する総合調整本部」を置く。
反対の論点は「中間層の負担」と「中身が分からない」
玉木氏は「4党から反対討論をやりました」と述べた。国民民主が挙げた最大の反対理由は、2年後に税率を1%から8%に戻す際、支援金の対象外となる中間層の負担が大幅に増える点だ。もう一つの問題として、対象の所得階層や金額が「未だに全く分かりません」と指摘した。農業者や外食事業者への影響についても、十分な回答が無いまま採決に至ったとしている。
公明新聞によると、中道に属する公明党の赤羽一嘉副代表は4日の財務金融委員会で、政府答弁で「参考値」として示された所得上限額350万円前後では制度の目的を達成する上で適切ではないと主張し、上限の引き上げを求めた。
政府の説明は異なる。答弁書は、高市首相の国会答弁を引いて「二年後には確実に税率を戻す」とし、時限措置なので「税率を元に戻すことを持って負担増になるとの考え方はそもそも馴染まない」との立場を示した。本格導入後の支援金については「支援金の対象者の大宗は、飲食料品の消費税率引下げの効果を上回る支援を受けられます」と説明している。
支給要件は「法案審議における御議論や恒久財源の確保状況、所得等に応じた対象者数の推計などを踏まえて、支給開始に間に合うよう政令で定める」という。支援金の総額も「具体的な支給対象者の範囲、支援額を検討していく中で決まっていく」としており、答弁書の時点で金額は示されていない。
参院の与党は過半数に4人届かず
衆院と参院では勢力が大きく異なる。衆院の会派別議員数(9月28日現在)は、定数465のうち自民党・無所属の会が315人、日本維新の会が36人で、2会派で351人に上る。これに対し、参院(11月6日現在)は在籍247人のうち自民党・無所属の会が101人、日本維新の会が19人で、合計120人にとどまる。在籍の過半数である124人に4人届かない。
| 会派 | 議員数 |
|---|---|
| 自由民主党・無所属の会 | 101人 |
| 立憲民主・無所属 | 39人 |
| 国民民主党・新緑風会 | 25人 |
| 公明党 | 21人 |
| 日本維新の会 | 19人 |
| 参政党 | 15人 |
| 日本共産党 | 7人 |
| いのちの党 | 5人 |
| 日本保守党、沖縄の風、チームみらい・無所属の会、社会民主党 | 各2人 |
| 各派に属しない議員 | 7人 |
| 合計 | 247人 |
憲法59条は、法律案は両議院で可決したときに法律になると定める。参院が衆院と異なる議決をしても、衆院が出席議員の3分の2以上で再び可決すれば法律になる。定数の465人が出席した場合の3分の2は310人で、与党2会派の351人はこれを上回る。参院が法案を受け取ってから、国会休会中を除いて60日以内に議決しないときは、衆院は否決とみなすことができる。
今の臨時国会は10月5日に召集され、会期は69日間で12月12日までとなる。6日の受領から60日後は会期末より後になる。
参院は特別委員会で審議、確認できていない点も
参院の審議は、4日の本会議で設置が決まった特別委員会が受け持つ。与野党の国会対策委員長は10月30日、委員長を自民党の委員が務め、委員数を40人とすること、衆院以上の審議時間を確保することで合意した。立憲民主党の発表によると、首相の複数回以上の出席について野党の求めを最大限尊重すること、地方公聴会と中央公聴会の開催、参考人質疑、野党対案の並行審議も合意に含まれる。立憲の徳永エリ政務調査会長は5日、「来週からは参議院でも審議が始まるという状況」と述べた。具体的な審議日程を、本紙は参院の公表資料で確認できていない。
衆議院の議案審議経過情報は7日未明の時点で本会議の結果が空欄で、各会派の賛否は記録で確認できていない。起立採決のため議案情報に議員ごとの賛否は載らず、個々の議員の投票行動も本紙は確認できていない。
討論に立った4人のうち、党が全文を公表した田中氏の内容は国民民主、食料品の消費税1%法案に反対討論 「中間層が大幅な負担増」に記した。財務金融委員会に首相が出席するまでの経緯は消費税減税法案、6日の衆院財金委に首相が1時間出席 同日採決は中道が応じずにある。
成立には、参院で与党以外の協力を得るか、衆院で再可決するかのいずれかが要る。
減税を2年で終えて税率を戻すという政府の方針は、消費税を社会保障の財源として守る点で国益に沿う。ただ、税率が8%へ戻る2029年4月に誰が支援金を受け取るのかが示されなければ、家計はその後の負担を見積もれない。政府は参院の特別委員会で、政令に委ねた対象の範囲を幅で示すべきではないか。
