8日午前1時4分ごろ、静岡県西部を震源とする地震があり、愛知県知多市で震度5強を観測した。気象庁によると、震源の深さは約40キロ、地震の規模(マグニチュード)は5.7で、津波の心配はない。気象庁は緊急地震速報(警報)を発表した。消防庁が午前2時にまとめた第2報は、人的被害と住家被害、火災をいずれも「確認中」とした。愛知県は災害対策本部を設け、知多市は市内4か所に避難所を開設した。

被害は確認中、知多市は4か所に避難所

消防庁の第2報によると、知多市消防本部への119番通報は「通常より多い」状況だった。人的被害、住家被害、火災の欄は「確認中」で、重要施設の被害と消防機関からの報告は「現時点で被害報告なし」とされた。第2報は速報の扱いで、数値は今後変わることがあるとしている。本紙が8日午前4時ごろに消防庁の災害情報の一覧を確かめた時点で、公表されていた最新の報はこの第2報だった。

愛知県は発生と同時刻の午前1時4分に災害対策本部を設置した。消防庁も同時刻に国民保護・防災部長を長とする災害対策本部を設け、第2次応急体制を取った。午前1時5分には、震度5弱以上を観測した長野、岐阜、静岡、愛知の4県に、適切な対応と被害の報告を求めた。

知多市は午前1時20分に災害対策本部を設置した。市のページによると、青少年会館と、東部、岡田、旭の各まちづくりセンターの計4か所で避難所を開設している。

瀬戸市は震度5弱を観測したと知らせ、午前3時40分の時点で市内の指定避難所は開設していないとした。市は、地震で土砂災害が起きる可能性があるとして崩れやすい斜面に近づかないよう求め、家財が散乱している場合の片付けは無理のない範囲で、明るくなってから行うよう呼びかけた。

浜松市の午前2時30分現在の報告では、人的被害と建物被害は「現時点でなし(調査中)」だった。断水は無いが一部で水の濁りがあり、電気とガスの被害は無い。鉄道はサンライズ出雲に遅れが発生した。道路は国道152号の秋葉トンネルと国道362号の小石間(春野)の2か所で事前の通行止めを準備し、緊急輸送道路の巡回を進めていた。市は災害対策準備室の体制を取り、緊急避難場所は開設していない。

知多市緑町で5強、5弱は4県の11市町村

気象庁が午前1時12分に発表した震源・震度情報によると、震度5強を観測したのは知多市緑町の1地点だけだった。気象庁以外の機関が設置した観測点である。震度5弱は愛知、長野、岐阜、静岡の4県の11市町村、14地点で観測された。

震度 市町村(観測地点の数が複数のときは括弧で記載)
5強 愛知県知多市
5弱 愛知県瀬戸市、半田市、刈谷市、豊田市(3地点)、東海市、みよし市、東郷町、新城市(2地点)、長野県売木村、岐阜県恵那市、浜松市浜名区
4 名古屋市中区、豊橋市、岡崎市、常滑市、長野県飯田市、浜松市中央区、静岡県掛川市、湖西市など71市区町村
3 岐阜市、津市、静岡県牧之原市など120市区町村
11月8日午前1時4分ごろの地震で観測された主な震度

出典: 気象庁「震源・震度情報」(11月8日午前1時12分発表)

震度4の71市区町村の内訳は、愛知県43、長野県16、静岡県7、岐阜県4、三重県1である。揺れは広い範囲に及び、震度1以上を観測した市区町村は東京都や大阪府を含む29都府県の710に上った。東京都千代田区は震度1、大阪市中央区は震度2だった。

震央地名は静岡県西部だが、最も強い揺れを観測したのは西隣の愛知県の知多半島だった。理由についての気象庁の説明は、本紙が確かめた時点で確認できていない。

気象庁の震度階級関連解説表は、震度5強について「大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる」と説明している。屋内では棚の食器類や書棚の本で落ちるものが多くなり、固定していない家具が倒れることがある。屋外では窓ガラスが割れて落ちることや、補強されていないブロック塀が崩れることがあるという。

検知から7.7秒後に警報、予測は5弱から5強へ

気象庁の記録によると、地震波を検知したのは午前1時4分41.8秒だった。2.6秒後の第1報はマグニチュードを4.4と推定し、まだ予報の段階だった。7.7秒後の第6報でマグニチュードを5.5と推定し、警報に切り替えた。この時点の予測は、愛知県西部が震度5弱程度、静岡県西部と愛知県東部が震度4程度だった。

警報は、2点以上の地震観測点で地震波を観測し、最大震度5弱以上か長周期地震動階級3以上を予想したときに発表する。強い揺れが予想される地域と、震度4が予想される地域の名前が伝えられる。

検知から15.2秒後の第13報で、愛知県西部の予測は震度5強程度に上がった。発表は第19報まで続き、最後の第19報は検知から87.0秒後で、マグニチュードは6.0、深さは50キロと推定していた。その後の地震情報の値はマグニチュード5.7、深さ約40キロで、最大震度は予測と同じ5強、地域も同じ愛知県西部だった。

予測が実際の地震と大きく離れた例には、10月の緊急地震速報の過大予測、2020年の再発防止機能が働かず 気象庁が謝罪がある。今回は、予測と観測の最大震度が一致した。

震央地名「静岡県西部」で5弱以上は初

気象庁の震度データベース(2026年11月6日までの収録分)で、1919年以降に震央地名が「静岡県西部」の地震を調べると、最大震度4以上は4回で、いずれも震度4にとどまっていた。今回の5強は、この震央地名で最大震度5弱以上を観測した初めての例となる。

発生日 震央地名 深さ マグニチュード 最大震度
2026年11月8日 静岡県西部 約40キロ 5.7 5強
2020年9月27日 静岡県西部 45キロ 5.1 4
2007年6月1日 静岡県西部 13キロ 4.3 4
2001年2月23日 静岡県西部 32キロ 5.0 4
1997年3月16日 愛知県東部 39キロ 5.9 5強
1983年3月16日 静岡県西部 40キロ 5.7 4
震央地名「静岡県西部」で最大震度4以上だった地震と、1997年の愛知県東部の地震

出典: 気象庁「震度データベース検索」「震源・震度情報」

愛知県内で見ると、震度を計測震度計で自動的に観測するようになった1996年4月以降、県内で震度5弱以上を観測した地震は2回あった。1997年3月16日の愛知県東部の地震(マグニチュード5.9、最大震度5強)と、2000年10月31日の三重県南部の地震(マグニチュード5.7、最大震度5弱)である。今回は26年ぶりで、県内で震度5強を観測したのは1997年以来となる。知多市で震度5弱以上を観測した記録は、データベースには無かった。

1997年の地震の震央は、緯度と経度で比べると今回の震央の十数キロ西で、深さも39キロと近い。気象庁の被害地震の一覧によると、この地震では4人が負傷し、住家の一部破損2棟などの被害が出た。

同じデータベースで過去の例と比べた記事には、千葉県北東部でM5.5、横芝光町で震度5弱も被害報告なし この震源で5弱以上は7年ぶりがある。

今回の地震の後では、午前2時3分ごろに愛知県東部の深さ約40キロを震源とするマグニチュード3.3の地震があり、最大震度2を観測した。津波の心配はなかった。8日午前4時ごろの気象庁の地震情報の一覧に、これ以降の東海地方の地震は載っていない。

南海トラフの調査の条件はM6.8以上、原発と鉄道は未確認

気象庁は南海トラフ地震臨時情報の「調査中」を発表する条件の一つに、監視領域内でのマグニチュード6.8以上の地震の発生を挙げている。今回の規模はこの値を下回る。ほかに、ひずみ計の変化などの条件があるが、本紙が8日午前4時ごろに気象庁のサイトを確かめた範囲で、臨時情報の発表は確認できていない。この地震と南海トラフ地震の関係についての気象庁の見解も確認できていない。

政府の地震調査研究推進本部は、愛知県に被害を及ぼす地震の一つに、南海トラフ沿いで起きる海溝型の巨大地震を挙げている。1944年の東南海地震(マグニチュード7.9)などでは県内全域で強い揺れが生じ、名古屋市付近で大きな被害が出たという。

中部電力浜岡原子力発電所がある静岡県御前崎市の震度は2だった。同社のプレスリリース一覧に、8日午前4時ごろの時点でこの地震についての掲載は無かった。東海道新幹線など東海地方の鉄道の運行への影響は、浜松市が報告したサンライズ出雲の遅れのほか、運行会社の発表を確認できていない。