政府は令和8年10月9日、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」を閣議決定した。一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与について、8月7日の人事院勧告どおり改定を行うと定めた。同じ10月9日には鈴木英敬総務副大臣が都道府県知事などに通知を発出し、地方公務員の給与改定も閣議決定の趣旨に沿って対処するよう要請した。
「勧告どおり」の中身は月給3.3%と年0.05月分の上積み
閣議決定が「勧告どおり」とした人事院勧告は、8月7日に国会と内閣へ提出されたものだ。民間給与との較差(官民較差)は1万5056円で、率にすると3.51%。これを俸給表に反映する際の行政職俸給表(一)の平均改定率は3.3%で、人事院は定期昇給分を加えたモデル試算では月収で約4.9%の改善になると説明している。初任給は総合職・一般職ともに9500円引き上げ、再任用のフルタイム勤務職員は行政職俸給表(一)で平均8.5%の改定となる。
期末手当・勤勉手当(ボーナス)は年間4.65月から4.70月へ、0.05月分増える。本年度は12月期の期末手当と勤勉手当をそれぞれ0.025月分、令和9年度以降は6月期と12月期にそれぞれ0.0125月分を配分する。月給とボーナスはいずれも令和8年4月実施にさかのぼる。国家公務員の給与の内訳は国家公務員の平均給与月額43万9356円 前年の42万4979円から1万4377円増 うち8万3099円は手当で、最も大きいのは地域手当の4万5518円のとおりで、手当の比重が大きい。
閣議決定は給与以外にも及ぶ。勤務時間と休暇については勧告どおり、令和9年度に取得事由を問わない年7日の年次無給休暇と、時間単位の代休制度を新設する。人事院が勧告に先立って行った民間調査では、休暇を使い切った社員に「柔軟に対応」する企業は94.5% ただし欠勤扱いが96.1%、その9割超は無給 人事院の民間企業調査という結果が出ており、無給での休暇取得は民間の実態をなぞった制度設計といえる。特別職の国家公務員の給与も一般職との均衡を考慮して同じ趣旨で扱うが、閣僚などが国会議員を兼ねる場合に行政庁から支給される給与は、引き続き支給しないことを確認した。
地方には「給与法の改正を待って」「専決処分は避けて」と要請
総務副大臣通知(総行給第71号・総行公第93号・総行女第37号)は、各都道府県知事、各指定都市市長、各都道府県議会議長、各指定都市議会議長、各人事委員会委員長が宛先で、都道府県内の市区町村への周知も求めている。地方公務員法第59条と地方自治法第245条の4に基づく技術的助言であり、国が地方の給与を直接決めるものではない。
通知は、各団体が人事委員会の勧告と報告を踏まえ、地域の民間給与の状況を勘案して対処することを基本に据えた。そのうえで、改定の実施時期は国の給与法改正の措置を待って行うことを基本とし、給与条例の改正は議会で十分審議して行い、長の専決処分によらないよう求めている。会計年度任用職員については、常勤職員の改定に準じて実施時期を含めて改定することを基本とし、給与水準の決定では地域の実情に最低賃金が含まれることに留意するよう明記した。給与の適正化では、等級別基準職務表に適合しない級へ格付けする「わたり」の見直しや、勤勉手当・昇給に人事評価の結果を反映させていない団体の是正も求めている。公務員給与の規模は国と地方の公務員人件費、2026年度は29.7兆円 国家公務員は58.7万人で5兆6691億円 行政機関の定員30万8197人は17年ぶりの多さのとおりで、地方分が大きな割合を占める。
地域手当は7区分から5区分へ、転居手当を新設
通知の別紙2・別紙3は、令和9年度の地域手当の級地区分を示した。見直し前は1級地20%から7級地3%までの7区分だったが、見直し後は1級地20%、2級地16%、3級地12%、4級地8%、5級地4%の5区分になる。1級地20%は東京都特別区のみ。2級地16%は東京都(特別区以外)、茨城県つくば市、神奈川県の横浜市・川崎市・藤沢市・厚木市、大阪府の大阪市・吹田市が入る。これまで支給されていなかった地域(0%)が2級地の16%へ移るなど、支給割合が大きく変わる地域もあり、通知は著しく給与水準が上昇する場合には住民の理解と納得が得られるよう適切に対応することを求めた。
手当では、令和9年4月1日から、現行の単身赴任手当の加算額を分離・再編して転居手当を新設する。転居を伴う転勤を行った職員を広く対象とし、距離区分に応じて額を決める。人事院の試算では東京から大阪に異動する場合の年額は約22万円、単身赴任者は約49万円で、単身赴任者には二重生活の生計費を補助する基礎額として別途年間36万円を支給する。広域異動手当は支給割合を距離区分に応じて5%・10%から8%・16%へ引き上げ、令和8年4月1日にさかのぼって適用する。通知は、この引き上げによって地方でも広域異動手当を新設して異動の円滑化に対処する必要が生じたと指摘した。
