人事院が公表した令和8年国家公務員給与等実態調査によると、給与法の適用を受ける常勤職員の平均給与月額は2026年4月1日現在で43万9356円だった。前年の42万4979円から1万4377円増えた。職員数は24万8729人で、前年の24万9149人から420人減った。平均年齢は41.7歳、平均経験年数は19.7年である。
この調査は、一般職の職員の給与に関する法律(給与法)などの適用を受ける職員の給与の実態を把握し、人事行政の基礎資料を得るために毎年行われている。2026年1月15日時点で在職していた常勤職員25万7154人から、1月16日から4月1日までの間の離職者など8425人を除き、この間の昇給・昇格を反映させた数字である。1月16日から4月1日までに採用された新規採用者1万1538人や、在外公館に勤務する職員、育児休業中の職員などは含まれていない。
給与の19%近くは手当が占める
平均給与月額43万9356円の内訳をみると、基本給にあたる俸給は35万6257円で、残る8万3099円は手当である。手当が給与全体に占める割合は18.9%になる。
手当の中で最も大きいのは地域手当などの4万5518円だった。次いで、管理職に支給される俸給の特別調整額が1万1889円、扶養手当が8653円、住居手当が7519円、単身赴任手当や寒冷地手当などその他が9520円と続く。
受けている人数でみると、地域手当は24万8729人のうち20万8795人で83.9%にあたる。通勤手当は19万9807人で80.3%、扶養手当は8万6177人、住居手当は7万1837人、寒冷地手当は2万3160人、単身赴任手当は1万6833人だった。地域手当は民間賃金水準の高い地域に勤務する職員に支給される手当で、支給地に勤める職員が多数派であることを示している。
俸給表によって2.6倍の開き
給与は職務の種類ごとに定められた俸給表によって決まる。最も人数が多いのは一般的な行政事務を担う行政職俸給表(一)の13万9564人で、平均給与月額は42万8451円、平均年齢41.7歳、平均経験年数19.4年だった。
事務次官や局長などが適用される指定職俸給表は977人で、平均給与月額は112万5422円、平均年齢57.3歳、平均経験年数33.8年である。行政職俸給表(一)の42万8451円と比べると2.63倍になる。医師などが対象の医療職俸給表(一)は590人で87万5594円と高く、これは初任給調整手当などを含む「その他」が18万7098円に上るためだ。一方、用務員や自動車運転手などが対象の行政職俸給表(二)は1590人で34万8191円、平均年齢51.3歳と、年齢が高い一方で給与水準は低い。
税務署などに勤める税務職俸給表は4万8398人で45万5522円、警察官や刑務官などの公安職俸給表(一)は2万2043人で41万5450円、海上保安官などの公安職俸給表(二)は2万2812人で43万9144円だった。
行政職の3人に1人が東京勤務
行政職俸給表(一)の13万9564人を勤務地の都道府県別にみると、東京都が4万9566人で35.51%を占めた。3人に1人以上が東京勤務という計算になる。
2位は北海道の8849人(6.34%)、3位は大阪府の7361人(5.27%)で、愛知県5646人(4.05%)、福岡県5207人(3.73%)、埼玉県4728人(3.39%)が続く。一方、少ない県は鳥取県605人(0.43%)、滋賀県619人(0.44%)、福井県624人(0.45%)、奈良県645人(0.46%)などだった。
東京への集中は平均給与を押し上げる方向に働く。地域手当は賃金水準の高い地域で支給割合が高くなるため、支給地に勤める職員が多ければ全体の平均も上がる。勤務地が給与に直結する制度であることは、国家公務員の52.6%が転勤に否定的 10万7662人調査 「絶対に行きたくない」は持ち家が49.4%で最多 人事院が公務員白書で特集で示された転勤への抵抗感とも関係する論点だ。
調査は給与勧告の土台になる
この調査が毎年行われるのは、人事院の給与勧告の基礎資料になるからだ。国家公務員は労働基本権が制約されているため、その代償措置として人事院の勧告に基づいて給与が決まる仕組みになっている。国家公務員法第28条の情勢適応の原則により、民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本とする。
人事院は2026年8月7日、この調査で把握した4月分給与を民間と比較し、1万5056円(3.51%)の較差があるとして解消を勧告した。行政職俸給表(一)の平均改定率は3.3%で、級ごとには1級4.0%、2級3.6%、3級3.4%、4級3.1%、5〜10級3.0%とした。初任給は一律9500円引き上げ、総合職(大卒)は25万1500円、一般職(大卒)は24万1500円、一般職(高卒)は20万9800円となる。ボーナスにあたる期末手当と勤勉手当は、年間4.65月分から4.70月分へ0.05月分引き上げるとした。
ただし勧告がそのまま給与になるわけではない。実施には国会での給与法改正が必要で、内閣が法案を提出して審議を受ける。つまり今回の調査で示された43万9356円は改定前の水準であり、勧告どおり法改正が成立すれば、この額はさらに上がることになる。
採用の入り口では、国家公務員総合職の申込1万8281人 専門試験のない「教養区分」が48.8%で半数に迫る 専門試験を課す区分は1万740人から8078人へのように受験区分の様変わりが起きている。人事院は今回の勧告で、本府省の事務次官級から課長級について職務・職責をより重視した給与体系を先行して導入する方針も示しており、人材確保を給与面から支える措置が続いている。
