総務省は9月24日、地方税共同機構が地方公金の収納事務を扱う際に守るべき安全性・信頼性の基準などを、同日付で公布・施行したと発表した。地方税の納付書に印刷されている統一QRコード「eL-QR」の仕組みを、水道料金や介護保険料といった税以外の公金にも広げるための最後の制度整備にあたる。この日から、準備の整った自治体は順に受け付けを始められるようになった。
納付書のQRコードを読み取れば、窓口に行かなくてよくなる
eL-QRは、地方税の納付書に印刷された統一規格のQRコードで、2023年4月に地方税の収納向けに導入された。地方税以外の公金についても、自治体の判断でeLTAX(地方税共同機構が運用する地方税ポータルシステム)を使って機構に収納事務を行わせる、という方針は2023年3月の関係府省庁連絡会議で決まっていた。その際、住民や事業者に納付方法の煩雑さを生じさせないよう、地方税と同じeL-QRを使う方法に統一することが基本とされた。今回はその方針が制度として整った形になる。
今回の制度整備で、この仕組みが地方税以外の公金にも使えるようになった。総務省が2月10日付の通知で自治体に示した対象は、大きく3つの区分に分かれる。どの自治体でも取扱件数が多い国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料。納付する人が市区町村の外にも広く散らばっている道路占用料や行政財産の目的外使用許可の使用料、港湾法上の占用料、河川法上の流水占用料など。そして普通会計に属するすべての公金に加え、公営事業会計のうち水道料金と下水道使用料である。
国民健康保険料は、2024年度で加入者1人あたり10万7856円に上っている。国民健康保険料、2024年度は1人あたり10万7856円 前年度から6.8%上昇 加入者の所得は2.1%減、滞納は185万世帯で見たとおり滞納世帯も185万に達しており、払う手段が増えること自体が収納率に影響しうる。総務省は2月の通知で、住民や事業者の利便性向上だけでなく、金融機関と自治体の双方で非効率・高コストと指摘されてきた収納事務の効率化にもつながると説明している。
初日に始めるのは15% 2028年4月までに81%
もっとも、9月24日から全国どこでもQRコードで水道料金が払えるようになるわけではない。自治体側が収納管理システムを改修する必要があるためだ。
総務省が4月1日時点の取り組み方針を全国1788の都道府県・市区町村に照会した調査によると、9月24日に開始すると答えたのは15%。2026年度中(9月25日以降)に始めるのが19%、2027年度中が35%、2028年4月が12%で、ここまで合わせて約81%になる。残る19%は2028年5月以降と答えた団体で、eL-QRの導入を予定していない団体も含まれる。
この調査は、道路占用料、行政財産目的外使用許可使用料、港湾占用料、河川占用料、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料、水道料金、下水道使用料の9種類について、団体ごとに最も早い開始時期を集計したものだ。前回の2025年12月1日時点の調査では、2028年3月までに開始すると答えた団体が62%だった。締め切りの取り方が1か月ずれるため単純比較はできないが、半年ほどで開始を見込む団体の割合は上がっている。総務省は、システム改修費が2025年度に創設されたデジタル活用推進事業債の対象になることを挙げ、まだ時期を決めていない団体にも2028年4月からの開始を検討するよう求めている。
求められる安全基準 クラウドは政府の評価制度に載った事業者から
今回公布・施行された基準は、地方自治法第243条の2の7第4項に基づく総務省令で定める基準として、地方税共同機構が公金とその情報を扱う際の安全性・信頼性の要件と、収納事務を外部に委託する場合に委託先へ求める役務を定めている。総務省は7月23日から8月26日まで意見を募り、14件の提出があった。
公表された意見と回答からは、基準の中身がうかがえる。クラウドサービスを使う場合、機構は原則として政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のクラウドサービスリストか、ISMAP-LIUのリストに載った事業者を選ぶ。インターネット経由で届いた支払情報や納付情報は、テキスト形式に変換するなどの「無害化処理」を経て取り込む。運用保守や払込に使う端末を操作するときは複数の者で行うなど、不正操作と誤操作を防ぐ措置を講じる、といった内容だ。
提出された意見には、リストに載っていない事業者を例外的に選ぶ場合の理由の記録を義務づけるべきだ、情報漏えい時に納付者本人へ通知する規定を設けるべきだ、といった追記の提案があった。総務省はいずれも「個別具体の状況に応じて判断されるべきもの」などとして基準案そのものは修正せず、運用を検討する際の参考にすると回答している。
eL-QRを支えるeLTAX(地方税ポータルシステム)は、地方税のeLTAX、19日0時から5日間止まる 24日朝に新システム 24時間365日稼働へ、水道料金もQRでキャッシュレス納付のとおり9月に新システムへ切り替わったばかりで、24時間365日の稼働に対応した。公金収納の開始日は、その切り替えが終わった直後に設定されている。
