こども家庭庁は9月29日、10月を「里親月間」と位置づけ、里親制度の広報啓発を集中的に実施すると発表した。10月1日に朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の朝刊へ全面広告を出し、10月中に全国放送のテレビCMを流す。10月3日には東京都港区のベルサール虎ノ門でシンポジウムを開き、10月18日にはJFN系38局のラジオ番組で制度を紹介する。

同庁の資料集「社会的養育の推進に向けて」によると、親と一緒に暮らせず里親とファミリーホームに預けられている子どもは令和6年度末で8499人だった。乳児院と児童養護施設に入っている子どもを合わせた代替養育全体3万2260人に占める割合、いわゆる里親等委託率は26.3%である。

10年で16.5%から26.3%へ

里親等委託率は平成26年度末の16.5%から令和6年度末の26.3%まで、10年間で上がり続けた。内訳を見ると、児童養護施設に入所している子どもは2万7041人から2万1472人へ5569人減り、全体に占める割合は75.5%から66.6%に下がった。乳児院は2876人から2289人へ、割合は8.0%から7.1%になった。一方で里親等に預けられた子どもは5903人から8499人へ2596人増えている。

代替養育が必要な子どもの総数自体も、3万5820人から3万2260人へ3560人減った。同じ時期に、夫婦が実際に持つつもりの子どもの数は初めて2人を割っている(第17回出生動向基本調査 未婚者の結婚意思は男性75.1%・女性77.8%に低下 夫婦の予定子ども数1.95人で初の2人割れ)。

里親制度は、保護者の病気や虐待、経済的な事情などで家庭での養育が難しい子どもを、里親の家庭に迎えて育てる仕組みだ。1947年に制定された児童福祉法に基づいて創設され、翌1948年10月4日に運営の要綱が施行された。この日が「里親デー」の由来で、現在は10月全体が里親月間になっている。里親には養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親の4種類がある。養育里親には子ども1人につき月9万円、虐待や非行、障害のある子どもを預かる専門里親には月14万1000円の里親手当が支払われ、これとは別に食費や被服費などの一般生活費が乳児で月6万5910円、乳児以外で月5万7080円支給される。

登録1万8038世帯のうち、預かっているのは5411世帯

里親として自治体に登録している世帯は1万8038世帯ある。しかし実際に子どもを預かっている世帯は5411世帯で、登録の3割にとどまる。差し引き1万2627世帯は、登録していながら委託を受けていない計算になる。最も数の多い養育里親では、登録1万5392世帯に対して委託を受けているのは4350世帯だった。

登録した世帯と実際の委託が結びついていない状態は、制度の担い手を増やす広報だけでは委託率が上がらないことを示している。こども家庭庁は里親のリクルートから研修、委託後の支援までを一括して担う「フォスタリング業務」への補助を設け、新規登録件数に応じた加算も用意している。

なお4種類の里親には重複して登録している世帯があるため、種類ごとの世帯数を足しても総数とは一致しない。ファミリーホームは養育者の家庭で5〜6人の子どもを育てる仕組みで、令和6年度末に全国505か所、1862人が暮らしている。

委託率は荒川区9.3%から新潟市・福岡市55.3%まで

里親等委託率は自治体によって大きく異なる。全国平均が26.3%である一方、80の都道府県・市・区別で見ると、最も低い荒川区が9.3%、最も高い新潟市と福岡市が55.3%で、6倍の開きがある。児童相談所を設置する自治体ごとに委託の進め方や里親を支える体制が違うため、同じ制度の下でも子どもが家庭で育つ確率が住む地域で変わっている。

国の目標は乳幼児75%、いまは29.4%

政府は令和7年6月6日のこども政策推進会議で決めた「こどもまんなか実行計画2025」で、遅くとも令和11年度までに乳幼児の里親等委託率を75%以上、学童期以降を50%以上にする目標を掲げている。

これに対し令和6年度末の実績は、3歳未満児が29.4%、3歳以上から就学前が36.3%、学童期以降が23.9%だった。乳幼児は目標の半分に届かず、学童期以降は目標の半分にも満たない。すべての年齢区分で委託率は上昇しているものの、残り3年余りで乳幼児を29.4%から75%へ引き上げるには、全年齢の委託率を10年で16.5%から26.3%へ上げてきたこれまでのペースを大きく超える必要がある。

児童福祉法は、家庭で育てられない子どもについて、まず家庭と同様の養育環境で継続的に育てられるよう措置し、それが適当でない場合にできる限り良好な家庭的環境で育てるよう定めている。就学前の子どもについては家庭と同様の環境を原則とすることが通知で明確にされており、乳幼児の目標が75%と高く設定されているのはこの原則を反映したものだ。

里親・ファミリーホームに加えて、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設、児童自立生活援助事業所で暮らす子どもは、合わせて約4万2千人いる。