総務省は9月28日、公立病院の新しい経営強化ガイドラインと地方財政措置を検討する「令和8年度 持続可能な地域医療の確保に向けた公立病院の経営強化に関する検討会」を開くと発表した。第1回会合は9月29日午後3時30分から午後5時30分まで開く。同省がまとめた公立病院の令和6年度決算では、経常損失を出した病院の割合が83.3%と、前年度の70.4%から悪化していた。
赤字の病院が3年で3割から8割へ
総務省の「公立病院の令和6年度決算の状況」によると、経常損失を出した病院の割合は令和3年度が27.6%、令和4年度が34.1%で、当時は7割前後の病院が黒字だった。それが令和5年度に70.4%、令和6年度に83.3%へと急に増え、黒字の病院は16.7%にまで減っている。
全体の経常損益は3952億円の赤字で、前年度の2099億円の赤字から1853億円分悪化した。純損益は4059億円の赤字である。経常費用に対する経常収益の割合を示す経常収支比率は93.4%で、前年度の96.4%から下がった。経常的な費用100円に対し、収入が93円40銭しかない状態である。
過去の赤字が積み上がった累積欠損金は1兆9992億円で、前年度の1兆6974億円から17.8%増えた。令和元年度の1兆9908億円を上回り、直近6年間で最も大きい。
コロナの補助金が消え、人件費は増えた
悪化した理由は収入と支出の両側にある。収入では、新型コロナウイルス対応の空床確保などに充てられてきた国庫(県)補助金が、前年度の1259億円から319億円へ74.7%減った。令和3年度には6224億円が入っていたので、その大半が失われたことになる。
支出では、職員給与費が前年度の2兆7288億円から2兆8662億円へ1374億円増え、薬品や診療材料などの材料費も1兆2930億円から1兆3328億円へ398億円増えた。診療報酬は公定価格で決まるため、物価や賃金が上がっても病院の側が値上げで吸収することはできない。医業収益(他会計繰入金を除く)4兆6821億円に対し医業費用は5兆7238億円で、1兆416億円の費用超過となっている。
不足分は自治体の一般会計からの繰り入れで埋められており、他会計繰入金は6923億円と前年度の6595億円から5.0%増えた。公立病院の赤字はそのまま自治体財政の負担になる。地方自治体が返していく借金は179兆5246億円 令和8年版地方財政白書 赤字決算の自治体はゼロ、財政再生団体は夕張市だけで示されたとおり自治体本体の決算は総じて黒字だが、病院事業はその外側で赤字を抱えている。
病院は844、病床は20万を割った
公立病院そのものも減っている。令和6年度の公立病院数は844で、前年度の854から10減った。平成19年度の961と比べると117少ない。病床数は19万8549床で、前年度の20万1916床から3367床減り、統計のある平成19年度以降で初めて20万床を下回った。
次のガイドラインづくりが始まる
いま各自治体が従っているのは、令和4年3月29日に総務省が策定した「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」である。自治体は令和4年度または令和5年度中に「公立病院経営強化プラン」を作り、その対象期間は令和9年度までを標準とされていた。つまり現行プランは再来年度に期限を迎える。
現行ガイドラインは、基幹病院に急性期機能を集約して医師や看護師を確保し、それ以外の病院は回復期や初期救急を担うという役割分担を柱に据えていた。医師の時間外労働規制への対応や、新興感染症への備えも盛り込まれている。今回の検討会は、この次に来る枠組みと、それを支える地方財政措置を議論する場になる。
検討会の座長は地方財政審議会会長の小西砂千夫氏が務める。構成員は大学教授のほか、千葉大学医学部附属病院副病院長の井上貴裕氏、岩手県立病院等事業管理者の吉田陽悦氏ら9人で、厚生労働省医政局地域医療計画課長がオブザーバーとして加わる。財政再生団体として病院を縮小した夕張市の財政再生計画、今年度4度目の変更に総務相が同意 消防ポンプ車の更新を2年前倒し 322億円の再生債返済は今年度で終わるのような事例を広げないためにも、赤字が8割を超えた現状にどう財政措置で応えるかが焦点になる。
