総務省は、衆議院の小選挙区の区割りを調べる衆議院議員選挙区画定審議会の第14回会合を9月30日午前10時から総務省5階の選挙部会議室で開いたと公表した。議事要旨によると、令和7年国勢調査人口(確定値)に基づく計算結果の概要が報告され、都道府県知事への意見照会について審議が行われた。審議会は6月16日から8月31日までの7回で全47都道府県の選挙区のレビューを終えており、次の段階である知事への意見照会に入っている。

較差2.275倍、2倍を超えたのは10年で初めて

会合に出された資料によると、区割りの基準となる「日本国民の人口」は全国で1億1951万770人だった。令和2年国勢調査の1億2374万3639人から3.42%、平成27年国勢調査の1億2534万2377人から4.65%減っている。ここでいう日本国民の人口とは、国勢調査の総人口から外国人人口を差し引いた人口で、外国人を含む総人口の1億2297万2528人とは別の数字である。衆院の小選挙区は289あり、議員1人当たりの日本国民の人口は41万3532人。令和2年の42万8179人、平成27年の43万3711人から減り続けている。

選挙区ごとに見ると、人口が最も多いのは福岡2区の55万8760人、最も少ないのは石川3区の24万5613人で、多いほうを少ないほうで割った「1票の格差」は2.275倍になった。令和2年国勢調査では最大の福岡2区54万7664人と最少の鳥取2区27万3973人で1.999倍、平成27年国勢調査では最大の神奈川16区55万4516人と最少の鳥取2区28万3502人で1.956倍だった。過去2回はいずれも2倍の手前で収まっており、2倍を超えたのは10年で初めてとなる。

石川3区の2倍にあたる49万1226人を上回る選挙区は40ある。令和2年国勢調査でも平成27年国勢調査でも、この条件に当てはまる選挙区は0だった。議員1人当たりの人口が最も少ない県の最少選挙区である鳥取1区と比べると、その2倍にあたる51万5314人を超える選挙区は18、逆に鳥取1区(25万7657人)を下回る選挙区も4ある。確定値の詳しい内訳は1票の格差、衆院小選挙区は2.2750倍 2倍以上が40選挙区 最多の福岡2区55万8760人、最少の石川3区24万5613人で扱っている。

審議会が6月に決めた5段階の手順

審議会は今回の国勢調査を受けた作業を、あらかじめ手順を決めて進めている。速報値に基づく試算結果が報告された6月3日の第5回会合で、①各選挙区のレビュー②都道府県知事への意見照会③区割り改定案の作成方針(いわゆる区割り基準)の審議・決定④決定した区割り基準に基づく具体的な区割りの審議⑤勧告、という流れで進めることが確認された。

①のレビューは、全国を7つに分けて6月16日から8月31日までの7回で行われた。6月16日は北海道と東北6県、7月1日は茨城から千葉までの5県、7月21日は東京・神奈川と北陸4県、7月29日は山梨から三重までの6県、8月6日は滋賀から和歌山までの6府県、8月25日は中国・四国の9県、8月31日は九州・沖縄の8県で、それぞれ人口と選挙区の現状が点検された。これで47都道府県すべてが一巡したことになる。

②の知事への意見照会は、9月4日の第13回会合で審議が始まり、今回の第14回で続けられた。審議会の設置年月日は1994年4月11日で、所掌事務は「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告を行う」と定められている。委員は7人で、国会議員以外の者から両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命し、任期は5年である。

期限は2027年5月、各県の選挙区の数は動かさない

資料は、残る作業の枠組みを2点示している。1点目は期限で、区割り改定案の勧告は、国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に行うものとされている(衆議院議員選挙区画定審議会設置法第4条第2項)。今回の起点は速報値が公示された2026年5月29日で、期限は2027年5月になる。確定値が公表された9月末の時点で、残りは8か月ほどしかない。

2点目は変えられる範囲で、今回の区割り改定案の作成にあたっては、各都道府県の選挙区の数は変更しないものとされている(同法第3条第3項)。都道府県をまたいで選挙区の数を振り替えることはせず、各県に割り当てられた数を保ったまま県内の線引きを引き直す作業に限られる。なお、改定案の作成には速報値ではなく確定値を使う。

審議会はこれまでに5回の勧告を出している。1994年8月11日の画定案の勧告に続き、2001年12月19日、2013年3月28日、2017年4月19日、2022年6月16日に改定案を勧告した。このうち2013年以降の3回は、勧告とあわせて「関係都道府県知事意見について」が公表されており、知事への意見照会が勧告に至るまでの定まった段取りとして繰り返されてきたことが分かる。

国会の側でも衆院の選挙制度が論点になっており、10月5日に召集される臨時国会では臨時国会は10月5日召集 9月29日の持ち回り閣議で決定し召集詔書を公布 衆院の選挙制度改革と比例定数削減が焦点のとおり定数の議論が予定されている。区割り審議会が扱うのは小選挙区の線引きで、国会で議論される定数そのものの見直しとは別の手続きとして進んでいる。